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    numata

    @numatabata

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    numata

    DOODLE楽団のモブ視点のトル団。トが楽団に入るまでの両片思い話。モブは見守り系ではなく、がっつり二人に関わってきます。序盤の感じが最後まで続きます。団長がちょっとやんちゃかもしれない
    (モブの要素→楽団のベテラン/既婚者子持ち/ノリが適当/世話焼き/団長の友人)
    【トル団】ある弦奏家の言うことには 俺はしがないバイオリン弾きだ。ある町の楽団でそれなりに活躍して、それなりに楽しく、またそれなりにつまらない生活を送っている。
     ところが、平凡な人生の中にも、流れ星みたいにきらっとして、でもちょっとやっかいな出来事というのは降ってくるものだ。
     これから話すものが面白いかどうかは人によると思うが、例のピアノ弾きにまつわる話だと言ったなら、少しは興味もそそられてくれようか。



    (人形みたいな奴だ)
     オーディション会場にあいつが入ってきた時、俺が最初に思ったのがこうだった。ちょっと癖のある金髪、不安そうに伏せた睫毛も金色。ガチガチに緊張した表情は、その柔らかそうな童顔をむしろ無機物っぽく見せている。
     長机に着いている団員らの方も見ずに部屋の真ん中まで進み出たそいつは、ぺこん、とぎこちなく一礼をした。粗末なシャツから、痩せた鎖骨が覗いている。果たして音楽をやる余裕があるほど食えてるのか? 思わず隣に座る団員と顔を見合わせた。
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