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    キ・リン

    @qilin03iq
    中華ドラマ陳情令の曦澄で作文しています。
    ドラマ視聴済、アニメ視聴中、原作履修中。
    特記がない場合、各作文はつながっていません。都合よく、自分が楽しいように書いています。

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    キ・リン

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    「沐接」5P
    母親節の話。

    #曦澄

    2021/5/9

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    related works

    takami180

    PROGRESS恋綴3-2(旧続々長編曦澄)
    転んでもただでは起きない兄上
     その日は各々の牀榻で休んだ。
     締め切った帳子の向こう、衝立のさらに向こう側で藍曦臣は眠っている。
     暗闇の中で江澄は何度も寝返りを打った。
     いつかの夜も、藍曦臣が隣にいてくれればいいのに、と思った。せっかく同じ部屋に泊まっているのに、今晩も同じことを思う。
     けれど彼を拒否した身で、一緒に寝てくれと願うことはできなかった。
     もう、一時は経っただろうか。
     藍曦臣は眠っただろうか。
     江澄はそろりと帳子を引いた。
    「藍渙」
     小声で呼ぶが返事はない。この分なら大丈夫そうだ。
     牀榻を抜け出して、衝立を越え、藍曦臣の休んでいる牀榻の前に立つ。さすがに帳子を開けることはできずに、その場に座り込む。
     行儀は悪いが誰かが見ているわけではない。
     牀榻の支柱に頭を預けて耳をすませば、藍曦臣の気配を感じ取れた。
     明日別れれば、清談会が終わるまで会うことは叶わないだろう。藍宗主は多忙を極めるだろうし、そこまでとはいかずとも江宗主としての自分も、常よりは忙しくなる。
     江澄は己の肩を両手で抱きしめた。
     夏の夜だ。寒いわけではない。
     藍渙、と声を出さずに呼ぶ。抱きしめられた感触を思い出す。 3050

    takami180

    PROGRESS長編曦澄17
    兄上、頑丈(いったん終わり)
     江澄は目を剥いた。
     視線の先には牀榻に身を起こす、藍曦臣がいた。彼は背中を強打し、一昼夜寝たきりだったのに。
    「何をしている!」
     江澄は鋭い声を飛ばした。ずかずかと房室に入り、傍の小円卓に水差しを置いた。
    「晩吟……」
    「あなたは怪我人なんだぞ、勝手に動くな」
     かくいう江澄もまだ左手を吊ったままだ。負傷した者は他にもいたが、大怪我を負ったのは藍曦臣と江澄だけである。
     魏無羨と藍忘機は、二人を宿の二階から動かさないことを決めた。各世家の総意でもある。
     今も、江澄がただ水を取りに行っただけで、早く戻れと追い立てられた。
    「とりあえず、水を」
     藍曦臣の手が江澄の腕をつかんだ。なにごとかと振り返ると、藍曦臣は涙を浮かべていた。
    「ど、どうした」
    「怪我はありませんでしたか」
    「見ての通りだ。もう左腕も痛みはない」
     江澄は呆れた。どう見ても藍曦臣のほうがひどい怪我だというのに、真っ先に尋ねることがそれか。
    「よかった、あなたをお守りできて」
     藍曦臣は目を細めた。その拍子に目尻から涙が流れ落ちる。
     江澄は眉間にしわを寄せた。
    「おかげさまで、俺は無事だったが。しかし、あなたがそ 1337

    takami180

    PROGRESS恋綴3-5(旧続々長編曦澄)
    月はまだ出ない夜
     一度、二度、三度と、触れ合うたびに口付けは深くなった。
     江澄は藍曦臣の衣の背を握りしめた。
     差し込まれた舌に、自分の舌をからませる。
     いつも翻弄されてばかりだが、今日はそれでは足りない。自然に体が動いていた。
     藍曦臣の腕に力がこもる。
     口を吸いあいながら、江澄は押されるままに後退った。
     とん、と背中に壁が触れた。そういえばここは戸口であった。
    「んんっ」
     気を削ぐな、とでも言うように舌を吸われた。
     全身で壁に押し付けられて動けない。
    「ら、藍渙」
    「江澄、あなたに触れたい」
     藍曦臣は返事を待たずに江澄の耳に唇をつけた。耳殻の溝にそって舌が這う。
     江澄が身をすくませても、衣を引っ張っても、彼はやめようとはしない。
     そのうちに舌は首筋を下りて、鎖骨に至る。
     江澄は「待ってくれ」の一言が言えずに歯を食いしばった。
     止めれば止まってくれるだろう。しかし、二度目だ。落胆させるに決まっている。しかし、止めなければ胸を開かれる。そうしたら傷が明らかになる。
     選べなかった。どちらにしても悪い結果にしかならない。
     ところが、藍曦臣は喉元に顔をうめたまま、そこで止まった。
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    recommended works

    sgm

    DONE酔って陽気になって「渙渙」って呼ばれたい兄上(馬鹿力)
    Qにはいつだって夢が詰まってる。
     誰だ。この人に酒を飲ませたのは。
     ……俺だな。
     今まさに自分の身に降りかかっている惨状に溜め息を吐いて、江澄は手にある酒杯を煽った。いっそ自分も酒精に理性を奪われてしまっていれば楽になれただろうに、真後ろに酔っ払いがいる状態では、酔うに酔えない。むしろ酔いもさめた。
     卓の上に散乱した酒壷と元は酒杯だったものの残骸を見つめて眉間にしわを寄せた。途端、後ろから伸びて来た指が、ぐりぐりと眉間の皺を伸ばそうと押してくる。
     痛い。この馬鹿力め。
     怒鳴る気すら失せて、煩わし気に手を払うと、くすくすと楽し気な笑い声が聞こえてくる。
    「おい、藍渙。そろそろ放してくれ」
     椅子に座り、膝の上に自分を乗せて後ろから抱きかかえている藍曦臣に無駄だと分かりながらも声をかけた。顎でも乗せたのか、ずっしりと肩が重くなる。
    「なぜだい? こんなに楽しいのに」
    「そうか。あなたは楽しいか。それはよかった。だが、放しても楽しいと思うぞ」
     俺は楽しくない、という言葉は辛うじて飲み込んだ。
     藍曦臣は酒精を飛ばして水のようにして飲むことができる、と魏無羨から聞いていたため、藍曦臣が珍しく茶ではなく、江澄の酒壷 3901

    sgm

    DONEジェイド・ダイナスティの冒頭の御剣の術を見てたら、あれ、割と剣の上でいろいろできるでは?てなりました。
    夜空でかち合う曦澄。
     思い立ってしまってから行動に移すのは自分でも驚くほどに早かった。それほどまでに切羽詰まっていたということか、と三毒の先を姑蘇の方面へと向け、空高く飛びながら江澄は自嘲した。
     ここのところ忙しくて、三か月ほど藍曦臣に会えていない。仕事でも私事でも。文は交わしているし、三か月会えないことなど珍しくもない。そもそも金丹の力によって加齢は一般の人間よりも緩やかなのだから高々三か月会えない程度大したことではない。けれど、色々と重なった結果、江澄は疲れてしまった。
     金凌が蓮花塢に訪れていないため、手軽な癒しである仙子も吸えない。かといって仙子で癒しを取りたいから蓮花塢まで来い、などと金凌を呼び出すわけにもいかない。
     ならばせめて、顔見知りの商家で飼っている犬で癒しを得ようと視察ついでによれば、ちょうど今発情期で誰彼構わず足にしがみついて腰を振るので、頼むからそっとしてやってくれ。宗主の足に自分の犬がしがみついているのなど申し訳なくて見ていられない、と泣きつかれてしまっては無理に近づいて撫で繰り回すわけにはいかない。
     手頃な癒しを取り上げられ、仕事は山済みで、ついでに今日の夕餉で愛用の茶杯 3687

    takami180

    DOODLEお題箱の「攻めがずっと強いガチャ」より
    澄にかぷかぷ甘噛みされる曦 澄を食べてしまう獣は自分の方なのにと思いながら曦は自由にさせている

    ちょっとずれたけど、出来上がってる曦澄です。
    かぷり、と耳を噛まれて藍曦臣は身を震わせた。
     先ほどまで隣で庭を見ていた江澄の顔がすぐ近くにある。
     瞳はつややかな飴の光沢を宿し、うっとりとした声が名を呼んだ。
    「藍渙」
     かぷり、ともう一度耳を噛まれる。
     藍曦臣は微笑して、江澄の腰に手を回した。
    「どうしました? 庭を見るのに飽きましたか」
    「ああ、飽きた。それよりも、あなたがおいしそうで」
    「おや、夕食が不足していましたか」
     江澄はふんと鼻を鳴らして、今度は衣の上から肩を噛む。
     予定よりも飲ませすぎたかもしれない。藍曦臣は転がる天子笑の壷を横目で見た。
     ひと月ぶりの逢瀬に、江澄はくっきりと隈を作ってやってきた。それも到着は昼頃と言っていたのに、彼が現れたのは夕刻になってからだった。
     忙しいところに無理をさせた、という罪悪感と、それでも会いにきてくれたという喜びが、藍曦臣の中で綾となっている。
     今晩はしっかりと寝んでもらおうと、いつもより多目の酒を出した。江澄には眠ってもらわなければいけない。そうでないと、休んでもらうどころの話ではなくなってしまう。
    「おいしいですか?」
     江澄は肩から顔を上げ、藍曦臣の豊かな髪を腕 1073

    takami180

    PROGRESS続長編曦澄1
    あなたの名を呼びたい
     山門の手前に白い校服を見つけて、江澄は眉をひそめた。それまでよりも大股でずんずんと進み、笑顔で拱手する藍曦臣の前に立つ。
    「何故、ここにあなたがいる!」
    「あなたに会えるのが楽しみで」
    「俺はあなたの見舞いに来たんだ。その本人が出迎えちゃだめだろう!」
     猾猿の封じ込めに成功して十日、江澄ははるばる蓮花塢から雲深不知処に出向いていた。
     幸い雲夢は遠く、猾猿の災禍は及んでいない。一方、姑蘇の地は大荒れで、例年並みに戻った気候が、さらに作物の育成に悪影響を与えている。
     江澄は江宗主として、藍宗主に見舞いを出した。小麦や稗も大量に送ってある。
     その礼状とともに、藍曦臣から江澄宛の文が届いた。怪我の様子をうかがい、健康を祈る文面には一言も会いたいとは書いていなかった。同様に、藍曦臣自身の怪我についても触れていない。
     江澄は即座に返事をしたためた。
     三日後に見舞いに行く、と。
    「もう痛みはありません。ご心配をおかけしました」
     寒室に通されると、藍曦臣はてきぱきと茶を用意した。「いらないから大人しくしていろ」という江澄の苛立ちには、笑顔で「まあまあ」と返されただけだ。
    「それよりも、 1880

    takami180

    PROGRESS続長編曦澄11
    これからの恋はあなたと二人で
     寒室を訪れるのは久しぶりだった。
     江澄は藍曦臣と向かい合って座った。卓子には西瓜がある。
     薄紅の立葵が、庭で揺れている。
    「御用をおうかがいしましょう」
     藍曦臣の声は硬かった。西瓜に手をつける素振りもない。
     江澄は腹に力を入れた。そうしなければ声が出そうになかった。
    「魏無羨から伝言があると聞いたんだが」
    「ええ」
    「実は聞いていない」
    「何故でしょう」
    「教えてもらえなかった」
     藍曦臣は予想していたかのように頷き、苦笑した。
    「そうでしたか」
    「驚かないのか」
    「保証はしないと言われていましたからね。当人同士で話し合え、ということでしょう」
     江澄は心中で魏無羨を呪った。初めからそう言えばいいではないか。
     とはいえ、魏無羨に言われたところで素直に従ったかどうかは別である。
    「それだけですか?」
    「いや……」
     江澄は西瓜に視線を移した。赤い。果汁が滴っている。
    「その、あなたに謝らなければならない」
    「その必要はないと思いますが」
    「聞いてほしい。俺はあなたを欺いた」
     はっきりと藍曦臣の顔が強張った。笑顔が消えた。
     江澄は膝の上で拳を握りしめた。
    「あなたに、気持ち 1617