『波風立てる心』放課後の教室は、夕陽のオレンジ色に染まり、静寂に包まれている。窓際の席で、巻島はいつものクールな表情で雑誌をパラパラめくっていた。そこへ○○は少し緊張した様子で近づいた。
「巻島くん、ちょっと話があるんだけど…」○○は巻島の袖を軽くつまみ、頬をほんのり赤らめた。
「なんショ、○○。そんな顔して、気持ち悪いショ」巻島は口ではそう言うものの、○○を見る目は柔らかく、恋人への愛情が滲んでいた。
「もーひどいなぁ! あのね、週末、温水プール行かない? 二人で…さ」○○は少し照れながら、上目遣いで巻島を見つめた。
「プール?」巻島は片眉を上げ、○○をじっと見つめる。「お前と二人なら…まあ、悪くねぇショ」
内心、○○とのデートならどこでもいいと思いつつ、巻島は軽く笑った。
「やった! じゃあ決まり! 楽しみだね!」○○の弾けるような笑顔に、巻島の心臓が小さく跳ねる。付き合ってても、この無邪気な笑顔には毎回やられてしまう巻島であった。
その夜、巻島は自宅のベッドに寝転がり、ガラケーを手にぼんやりと天井を見ていた。待ち受け画面には、こっそり撮った○○の笑顔が設定してある。「プールデートか…○○と二人、か」ふと、○○の水着姿が頭に浮かんだ。普段は制服かジャージの○○が、水着でプールサイドに立つ姿。ビキニか? ワンピースか? ピンクとか、○○らしい明るい色…いや、意外と大人っぽい色も…?
「ハッ! 何考えてんだ、俺!」巻島はガラケーをパチンと閉じ、頭を振った。だが、頬が熱い。「恋人なんだから、見る権利あんだろ…合法、ショ」と自分に言い聞かせ、○○の水着姿を想像してひとり悶々としていた。
週末、プールサイドで巻島は緑色のラッシュガードに黒のハーフパンツ姿で、そわそわしながら○○を待っていた。ポケットに手を突っ込んで、落ち着かない自分に内心ツッコミを入れる。付き合ってるのに、なんでこんな緊張してるショ、って。
「巻島くん、お待たせ!」
○○の声に顔を上げた瞬間、巻島は息をのんだ。○○が着ていたのは、淡い水色のワンピース水着。シンプルだけど体のラインをさりげなく引き立てるデザインで、濡れた髪が首筋に張り付く姿があまりにも可愛すぎた。笑顔で近づいてくる○○に、巻島の心臓がドクンと高鳴る。
「…お前、それ…反則、ショ///」巻島の声が低く、かすれていた。○○の無防備な笑顔に、胸がざわつく。
「え、変かな? 水着、似合わない?」○○が少し不安そうに水着の裾を気にしながら言う。
「似合わねえわけねえだろ…可愛すぎんだよ///、問題はそこショ」巻島はぶっきらぼうに呟き、慌てて羽織っていた緑色のラッシュガードを脱いだ。「ほら、これ着とけショ!」そう言って、○○の肩にラッシュガードをかけた。
「え、巻島くん、プールだよ? 動きづらいって!」○○が笑いながらラッシュガードをずらそうとする。
「いいから着てろショ! こんなお前、他の奴に見せたくねぇショ!///」巻島は目をそらし、耳まで赤くなっていた。恋人だからこそ、○○のこの姿を独り占めしたかったのである。
「ふふ、巻島くん、嫉妬してる?」○○がからかうように笑うと、巻島は「うるさい、ショ!」と返すけど、口元が緩んでいる。
「…ほら、行くショ///」巻島は○○の手を握り、ちょっと強めに引いた。プールサイドで水面に映る二人の影は、恋人らしい距離感で寄り添っていた。○○が着た巻島のラッシュガードは少し大きく、袖から覗く手が妙に愛おしくて、巻島はまた内心でドキドキしていた。