呼ぶ声 なにをしているの?とアメリアが尋ねた時、CASEは一瞬躊躇うような様子を見せた。
人間のような顔はなく、緑色の無機質な文字の羅列と四角四面でひんやりとした金属の体しか持たないロボットに対して、"人間らしい"躊躇いを感じるのは可笑しいかもしれない。アメリアはふとその考えに囚われ、我ながら愕然とした。自分以外の知的生命のいないこの荒涼とした大地で、ついに、気が可笑しくなってしまったのか。それとも、優秀な何者かによって創り出されたこの目の前のロボットに、生命が宿ったのかと思った。
「通信を」
"人間らしい"躊躇いと感じるだけの空白を置いて考えたCASEの声は、相変わらず抑揚のない平坦な声色だったが、その内容は興味を引くには十分だった。
2847