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    sgm

    @sgm_md
    相模。思いついたネタ書き散らかし。
    ネタバレに配慮はしてません。
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    sgm

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    Twitterに上げてた蓮花塢恒例。夏のラジオ体操と曦澄。雲夢在住モブ少女(5)視点。
    8/10のみオーダーができるっていう豊島屋さんの鳩印鑑可愛いよね。ってとこからできた話。

    #曦澄

    夏の蓮花塢恒例体操大会 犬印の秘密 雲夢江氏では毎年七月八月になると蓮花塢の近隣住民に修練場を解放して卯の刻から毎日体操をしている。参加は老若男女問わず自由だ。
     十日間参加すると菓子が褒美としてもらえ、二か月休まずに参加すると、庶民ではなかなか手に入れることが難しい珍しい菓子がもらえるということで、幼い子どもから老人まで参加者は多い。
     雲夢江氏の大師兄を手本として、太鼓の音に合わせて全身を動かす体操を一炷香ほど行う。
     体操が終わった後は一列に並んで、参加初日に配られた日付の書かれた紙に江宗主から参加した証拠となる印を押してもらうのだ。
     その印は江宗主が東瀛へと船を出している商人から献上されたもので、可愛らしい鳩の絵と「江晩吟」と宗主の姓と字が彫られたものだった。なんでも八月十日にのみ作ることが許されているという特別な物らしい。ただ、あまりにも鳩が可愛らしいものだから、江宗主の通常業務では利用することが憚られ、また子ども受けが非常に良いこともあり体操専用の印となっているとのことだった。

     さて、一人の少女の話をしよう。
     蓮花塢のそばに祖父母と父母と住んでいる少女の話だ。
     その少女は今年五歳になり初めて朝の体操に参加をした。
     最初は眠くて行くのを嫌がったが、父母も祖父母も参加すること、滅多に食べられないような甘いお菓子をもらえると知っていく気になった。行ってみればなかなか近くで見ることのない江宗主に鳩の印の付いた印を押してもらえること、頭を撫でてもらえることが分かり、この十九日間は毎日皆勤で参加していた。
     今朝も江宗主に会えるのだと、家の誰よりも一番に準備をして早く早くと母を促した。母は苦笑しながらも何故か「今日は江宗主はいらっしゃらないかもねぇ」と言う。少女は母の言う意味が分からずに首を傾げた。江宗主がいなかったことなど今までにないのだ。何故、母はそんなことを言うのか。理由を問うと「藍宗主が昨日からいらしたみたいだから」とだけ笑って言っていた。何故その「らんそうしゅ」とやらが来ると江宗主がお休みになるのかやはりわからず少女は再び首を傾げた。
     きっと母の勘違いだろう。江宗主は誰よりも強いし偉いし綺麗なのだ。お休みなんてするはずがない。そう思いながら、少女は蓮花塢まで走った。
     果たして母の言う通り江宗主はいなかった。
     常ならば大師兄がその日から参加する人のために説明をしている時にやってきて、体操が始まると上手くできない人に教えたり、ちゃんとやらない人を注意したりしているのにいつまでたっても姿が見えない。そして、江宗主の代わりに少女が見たことのない人がいた。白くて大きくて額に長くて細い抹額をした髪の長い綺麗な人だった。
     体操が終わってもやっぱり江宗主は来てくれなかった。少女は肩を落としながら今日の印を押してもらう列に並ぶ。江宗主の代わりに白くて大きな人が押してくれるらしい。
     今日は二十日目だから江宗主に鳩の印を押してもらって頭を撫でてもらい、主管という人からお菓子をもらえる日だったのに、と少しばかり口を尖らせる。自分の番になり口を尖らせたまま白くて大きな人に紙を差し出した。押された印は江宗主の鳩とは異なり、犬の絵が彫られて「藍曦臣」と書かれていた。少女はまだ字が読めないからこの字がなんと読むのかなんの意味があるのかはよくわからなかった。そのため江宗主と同じように白くて大きな人も頭を撫でてくれたので、その間になんて書いてあるのか聞いてみた。
    「らんしーちぇんですよ。私の字です」
     白くて大きな人は、にこやかに笑いながら答えてくれた。少女は「らんしーちぇん」と口の中で呟いてみる。今朝母が言っていた「らんそうしゅ」というのがこの人なのではないだろうか? そう閃き尋ねると、「らんしーちぇん」は大きく頷いた。
     この人のせいで江宗主は今朝来てくれなかったのか。そう思うと少しばかり恨めしい気持ちもあるが、犬の絵が可愛いのでまぁ良いか。きっと明日は江宗主が来てくれるだろう。一日ぐらい「らんしーちぇん」でもいい。そう思ってその日は主管から貰った見たこともない菓子に目をキラキラさせながら帰路へとついた。その菓子は母曰く姑蘇の菓子だそうだ。
     その翌日。そしてその翌日も白くて大きな「らんしーちぇん」がいて、江宗主は朝の体操に来なかった。少女はついに犬の絵が付いた印を押してもらう時に「らんしーちぇん」に尋ねた。「宗主はご病気ですか? それともお怪我ですか?」と。少女にとって三日も江宗主が体操に来ないことなど考えられなかったのだ。病気や怪我。もしかして死んでしまったのかもしれない。そんな想像を勝手にして悲しくなりべそをかきながら尋ねた。すると、「らんしーちぇん」は首を振った。
    「江宗主はご病気でも、怪我もされてないですよ。ただちょっと、寝坊しているだけだよ」
     寝坊? 少女は「らんしーちぇん」の言葉が信じられなかった。江宗主が寝坊などするはずがないのだ。しかも三日もなんて。少女は疑わし気な目を隠そうともせずに「らんしーちぇん」を睨み「どうして?」と尋ねた。
    「うーん。疲れているから、かな? 起こすのが少し忍びなくて。私のせいだし。明日はきっといらっしゃるよ」
     「疲れ」と少女は呟く。よく祖父母が江宗主は忙しすぎるとか、最近お疲れのようだとか言っているのを聞いたことがあったのだ。だから、寝坊した。それならば本当なのかもしれない。明日は来てくれるのならばよいか。そう思ったが、再び少女は「どうして?」と尋ねた。どうして明日には来るとこの白くて大きな「らんしーちぇん」は断言が出来るのか。
    「私が今日帰るので」
     「らんしーちぇん」が帰ると江宗主が体操にやってくる? 少女は眉を顰めた。それは、つまり「らんしーちぇん」が江宗主を苛めたり、閉じ込めたりしているのだろうか。さらに質問をしようとすると、後ろに立っていた母にいい加減にしなさいと言われてしまったため、少女は渋々その場を離れた。
     帰りながら母にどうして「らんしーちぇんが」いると、江宗主が寝坊をするのか尋ねた。すると母は困ったように眉を寄せて「大人になったら貴方も分かるわよ。私もそうだったから」と諭されてしまった。
     翌日。「らんしーちぇん」が言っていた通り、江宗主が体操に現れた。その代わり白くて大きな姿はどこにもなかった。その日の印を押してもらいながら、少女は江宗主に尋ねる。「ずっとお寝坊だったの?」と。江宗主は苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべて、小さく頷いた。
     それから少女は休むことなく毎日体操に通った。八月三十一日になる間に、二回ほどまた「らんしーちぇん」の犬の印が三日ほど押される機会があり、その時は決まって姑蘇のお菓子がもらえる。少女の中で「らんしーちぇん」が来ると江宗主は寝坊するから体操に参加しなくて、姑蘇のお菓子がもらえる日だと認識された。
     少女は結局十の歳まで毎年夏の朝の体操に参加した。そして参加している間ずっと、頻度と期間に差はあれど、「らんしーちぇん」が来たときは江宗主は寝坊して体操には不参加。姑蘇の菓子がもらえるということは変わらなかった。
     少女が初めて蓮花塢の体操に参加した年から十回夏が経過したある夏の日。少女は街で江宗主と藍曦臣を見かけた。さすがに十五になれば、「らんしーちぇん」が「藍曦臣」で姑蘇藍氏の宗主であることは理解できている。幼い頃の自分は随分と大胆な態度を藍曦臣にとっていたものだ、と懐かしく思いながら、遠目に二人を見ていた。
     ふと少女は藍曦臣と江宗主の表情に気が付き、おや? と思った。普段見かける江宗主の顔とは少しばかり違う。藍曦臣の手が自然に江宗主の腰に回り二人の距離が近くなる。以前江宗主がどこぞの成り上がりの商人に同じことをされた時は、紫電で軽く打っていたが、それがない。満更でもない様子で藍曦臣の手を受け入れている。まるで仲睦まじい恋人同士のようではないか。
     それは、つまり?
     するすると過去の夏の日を思い出し、「らんしーちぇん」との会話を思い出し、母との会話を思い出した。全てが繋がる。「あぁ、そういうことか」と。
     母の「大人になったら貴方も分かるわよ。私もそうだったから」という言葉に妙に納得してしまった。確かに大人になって分かってしまった。藍曦臣が来ている間は江宗主が寝坊する理由が。
     はは、と小さく笑って少しばかり大人になった少女は思う。今年は朝の体操に参加しようか、と。久々に姑蘇の菓子も食べたくなった。
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    sgm

    DONE去年の交流会でP4P予定してるよーなんて言ってて全然終わってなかったなれそめ曦澄。
    Pixivにも上げてる前半部分です。
    後半は此方:https://poipiku.com/1863633/6085288.html
    読みにくければシブでもどうぞ。
    https://www.pixiv.net/novel/series/7892519
    追憶相相 前編

    「何をぼんやりしていたんだ!」
     じくじくと痛む左腕を抑えながら藍曦臣はまるで他人事かのように自分の胸倉を掴む男の顔を見つめた。
     眉間に深く皺を刻み、元来杏仁型をしているはずの瞳が鋭く尖り藍曦臣をきつく睨みつけてくる。毛を逆立てて怒る様がまるで猫のようだと思ってしまった。
     怒気を隠しもせずあからさまに自分を睨みつけてくる人間は今までにいただろうかと頭の片隅で考える。あの日、あの時、あの場所で、自らの手で命を奪った金光瑶でさえこんなにも怒りをぶつけてくることはなかった。
     胸倉を掴んでいる右手の人差し指にはめられた紫色の指輪が持ち主の怒気に呼応するかのようにパチパチと小さな閃光を走らせる。美しい光に思わず目を奪われていると、舌打ちの音とともに胸倉を乱暴に解放された。勢いに従い二歩ほど下がり、よろよろとそのまま後ろにあった牀榻に腰掛ける。今にも崩れそうな古びた牀榻はギシリと大きな悲鳴を上げた。
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    sgm

    DONE江澄誕としてTwitterに上げていた江澄誕生日おめでとう話
    江澄誕 2021 藍曦臣が蓮花塢の岬に降り立つと蓮花塢周辺は祭りかのように賑わっていた。
     常日頃から活気に溢れ賑やかな場所ではあるのだが、至るところに店が出され山査子飴に飴細工。湯気を出す饅頭に甘豆羹。藍曦臣が食べたことのない物を売っている店もある。一体何の祝い事なのだろうか。今日訪ねると連絡を入れた時、江澄からは特に何も言われていない。忙しくないと良いのだけれどと思いながら周囲の景色を楽しみつつゆっくりと蓮花塢へと歩みを進めた。
     商人の一団が江氏への売り込みのためにか荷台に荷を積んだ馬車を曳いて大門を通っていくのが目に見えた。商人以外にも住民たちだろうか。何やら荷物を手に抱えて大門を通っていく。さらに藍曦臣の横を両手に花や果物を抱えた子どもたちと野菜が入った籠を口に銜えた犬が通りすぎて、やはり大門へと吸い込まれていった。きゃっきゃと随分楽しげな様子だ。駆けていく子どもたちの背を見送りながら彼らに続いてゆっくりと藍曦臣も大門を通った。大門の先、修練場には長蛇の列が出来ていた。先ほどの子どもたちもその列の最後尾に並んでいる。皆が皆、手に何かを抱えていた。列の先には江澄の姿が見える。江澄に手にしていたものを渡し一言二言会話をしてその場を立ち去るようだった。江澄は受け取った物を後ろに控えた門弟に渡し、門弟の隣に立っている主管は何やら帳簿を付けていた。
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    PROGRESS長編曦澄17
    兄上、頑丈(いったん終わり)
     江澄は目を剥いた。
     視線の先には牀榻に身を起こす、藍曦臣がいた。彼は背中を強打し、一昼夜寝たきりだったのに。
    「何をしている!」
     江澄は鋭い声を飛ばした。ずかずかと房室に入り、傍の小円卓に水差しを置いた。
    「晩吟……」
    「あなたは怪我人なんだぞ、勝手に動くな」
     かくいう江澄もまだ左手を吊ったままだ。負傷した者は他にもいたが、大怪我を負ったのは藍曦臣と江澄だけである。
     魏無羨と藍忘機は、二人を宿の二階から動かさないことを決めた。各世家の総意でもある。
     今も、江澄がただ水を取りに行っただけで、早く戻れと追い立てられた。
    「とりあえず、水を」
     藍曦臣の手が江澄の腕をつかんだ。なにごとかと振り返ると、藍曦臣は涙を浮かべていた。
    「ど、どうした」
    「怪我はありませんでしたか」
    「見ての通りだ。もう左腕も痛みはない」
     江澄は呆れた。どう見ても藍曦臣のほうがひどい怪我だというのに、真っ先に尋ねることがそれか。
    「よかった、あなたをお守りできて」
     藍曦臣は目を細めた。その拍子に目尻から涙が流れ落ちる。
     江澄は眉間にしわを寄せた。
    「おかげさまで、俺は無事だったが。しかし、あなたがそ 1337

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    PROGRESS恋綴3-2(旧続々長編曦澄)
    転んでもただでは起きない兄上
     その日は各々の牀榻で休んだ。
     締め切った帳子の向こう、衝立のさらに向こう側で藍曦臣は眠っている。
     暗闇の中で江澄は何度も寝返りを打った。
     いつかの夜も、藍曦臣が隣にいてくれればいいのに、と思った。せっかく同じ部屋に泊まっているのに、今晩も同じことを思う。
     けれど彼を拒否した身で、一緒に寝てくれと願うことはできなかった。
     もう、一時は経っただろうか。
     藍曦臣は眠っただろうか。
     江澄はそろりと帳子を引いた。
    「藍渙」
     小声で呼ぶが返事はない。この分なら大丈夫そうだ。
     牀榻を抜け出して、衝立を越え、藍曦臣の休んでいる牀榻の前に立つ。さすがに帳子を開けることはできずに、その場に座り込む。
     行儀は悪いが誰かが見ているわけではない。
     牀榻の支柱に頭を預けて耳をすませば、藍曦臣の気配を感じ取れた。
     明日別れれば、清談会が終わるまで会うことは叶わないだろう。藍宗主は多忙を極めるだろうし、そこまでとはいかずとも江宗主としての自分も、常よりは忙しくなる。
     江澄は己の肩を両手で抱きしめた。
     夏の夜だ。寒いわけではない。
     藍渙、と声を出さずに呼ぶ。抱きしめられた感触を思い出す。 3050

    takami180

    PROGRESS恋綴3-5(旧続々長編曦澄)
    月はまだ出ない夜
     一度、二度、三度と、触れ合うたびに口付けは深くなった。
     江澄は藍曦臣の衣の背を握りしめた。
     差し込まれた舌に、自分の舌をからませる。
     いつも翻弄されてばかりだが、今日はそれでは足りない。自然に体が動いていた。
     藍曦臣の腕に力がこもる。
     口を吸いあいながら、江澄は押されるままに後退った。
     とん、と背中に壁が触れた。そういえばここは戸口であった。
    「んんっ」
     気を削ぐな、とでも言うように舌を吸われた。
     全身で壁に押し付けられて動けない。
    「ら、藍渙」
    「江澄、あなたに触れたい」
     藍曦臣は返事を待たずに江澄の耳に唇をつけた。耳殻の溝にそって舌が這う。
     江澄が身をすくませても、衣を引っ張っても、彼はやめようとはしない。
     そのうちに舌は首筋を下りて、鎖骨に至る。
     江澄は「待ってくれ」の一言が言えずに歯を食いしばった。
     止めれば止まってくれるだろう。しかし、二度目だ。落胆させるに決まっている。しかし、止めなければ胸を開かれる。そうしたら傷が明らかになる。
     選べなかった。どちらにしても悪い結果にしかならない。
     ところが、藍曦臣は喉元に顔をうめたまま、そこで止まった。
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