『囚われの君』銀河の上を歩くように軽やかにブレイバーンは歩く。
赤に緑の粒子が混じる髪を靡かせ、まるで角のように凛々しい金色の眉。
ギリシャ彫刻のように現実味の無い美しい顔と、衣服の上からでもわかる肉体美は、誰もを魅了するが、ブレイバーンは足を止めることなく真っ直ぐに歩く。
「今回のテーマは人形についてか」
ブレイバーンは小説家だ。
SF作品を得意とし、多くのユニバースを産み出していた。
人形
オートマター
自らの意思で動くもの
脳内で情報を整理し、歩きながら物語の世界に自らの意思で会いに行く。
そうして、自宅でその情報をパソコンの原稿用紙にまとめる。
それがブレイバーンの執筆スタイルだった。
ブレイバーンは真っ直ぐに歩く。
目的地は、人形店。
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