おすかーさんのことをあきらくんが略+ちょっと追記(書きかけ) 俺は今、とんでもない問題に直面している。
なんとあのアキラが俺に今、恋愛感情を抱いている──可能性があるのだ。
当然『俺の勘違いだ、いやしかし』というループはすでに何百何千と繰り返した。
だがこれも当然、俺一人では結論は出ない。俺は常識がない上に、色恋沙汰も不得意だ。
そんな俺がこの可能性に直面するに至った理由についてだが──何といっても最近のアキラの、あの瞳だ。輝きが違う。常日頃から己の夢を語るその目は活力に溢れ、聞いているこちらも元気をもらっていた。だが、最近はあの目から、出会ったころの何倍もの眩しさを感じる。
『……我ながら自意識過剰な理由だ』
けれど、どうしても”そう”としか思えない。
あの赤毛のルーキーが俺を見る目が、どうしても他と違い過ぎているような気がしてしまう。
試しに、頭の中であの赤髪のルーキーが、のぼせたような顔で何かしらの決定的な言葉を恥ずかしそうに俺に口にする状況を思い浮かべ、絶句した。
『………………こ、拒める自分を少しも想像できない!』
なぜだ? 俺はこれほどまでに押しに弱い人間だったのか? 或いは肉欲が強かったのか? 自分のことがまったくわからなくなってしまった。
『これは……恥を忍んで相談するしかない』
俺はこの件について話をするため、ある人物に連絡を取ることにした。
◎●◎
オレは今、とんでもない問題に直面している。
なんとあのオスカーが――
「……つまりアキラ、お前はオスカーが自分にそういう意味での好意を抱いてるかもしれないから俺から見てどうなのかこっそり教えてくれと、そう言いたいんだな?」
「そうだよ! だからそう言ってんじゃねーか!」
憤慨するオレに対し、ブラッドはただ「ふむ」と何かを考えるように椅子の背もたれに背中を深く預け、黙って隣のオスカーのプライベートスペースを見つめた。視線の先にいたハリネズミのアレキサンダーは、ケージの中で昼寝していたのだが、ブラッドの視線に気づいたのか、忙しなくウロウロし始めた。じっと見られたことを何かしらの挑発と受け取ったのだろうか。もうすでに脱走の企てを立てているのかもしれない。
「俺からは何とも言えんな」
「……シュヒギムってやつか?」
「違う。いくら長い時間行動を共にしていても、はっきり言葉にされてないことなど分からんという意味だ」
「……そりゃそうだけどよ」
オレは当てが外れてがっくりと肩を落とした。
そう。オレのメンターことオスカーがここのところおかしいのだ。
前述のとおり、なんだか見たことない顔でこちらを見てくる。
何か用でもあるのかと聞けば「何もない」と答え、そそくさと後から来たアッシュとスパーリングを始めちまう(スパーリングはオレと先に約束してたってのに!)
「……アキラ。お前はどうしたいんだ?」
「え、どうって」
「オスカーが真実お前をそういった意味で好意的に見ているとして、それを迷惑に思うか? メンターを変えてほしいか?」
「な……そ、そんなわけねえだろ! オスカーはレッドサウスの──オレのメンターだ!」
そう答えたオレに対し、ブラッドは驚いたように瞬きをしたあと「そうか」と何かを考えこむように目を閉じた。
「逆に、お前は……どう、なんだ?」
「へっ?」
「お前は、オスカーのことをどう思っているんだ?」