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    佳芙司(kafukafuji)

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    リンク集【https://potofu.me/msrk36

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    POIPOI 71

    ルーキー研修が終わった6年後という設定のパラレルワールドというか近未来パロディというかなんかそういうラブコメ話になる予定の冒頭部分。

    #オスアキ

    二四才アキラと三〇才オスカー(アキラ視点) 大人になるというのは、初恋を諦めた時のことをいうのかもしれない。

     ヒーロー研修が終わりに近付いた頃、司令部からミリオン州外の州警察へ短期交換インターンを打診された。
     今やエリオス所属のヒーローに求められるものは、災害救助や国内外のテロ組織対策、並びに日常の犯罪や事故への対応など多岐に渡る。消防、警察、民間警備会社、更に国軍まで幅広く分け隔てなく連携を取り合い、安全と平和の為に協力し合うのが当たり然になって久しい。
     遠方へのインターンを、日本では“武者修行”というそうだ。これは司令の言葉である。
     相互に送り合う人員が揃っているタイミングでなければ、こういった辞令は出されない。自分自身でも悪くないと思うのであれば、経験を積む良い機会だと思い切って受けてみてはどうだろうか。これは相談した者達の助言だ。
     双方耳を傾けた俺は、なるほどなぁと尤もらしく頷いて、じゃあせっかく声を掛けてもらったし、と司令部に辞令を受ける旨を伝えた。それがもう四年前になる。
     俺は初めて会った頃のオスカーの年齢に漸く追い付いた。

     ***

     初めは短期という事で、一年間の勤務だった。
     半年も経たぬ内にその州警察での活動期間をもう一年続けてほしい、と司令部から通達があった。手続きのタイミングが合わぬままずるずると延長が掛かって、結局その州警察署には二年半在籍した。
     晴れてミリオン州に戻る事になるのかと思いきや、今度は別地方にある新設されたエリオス運営のアカデミーで非常勤講師兼ヒーローとして任務にあたるよう辞令が出た。初めは納得がいかなかったが、歳の近いアカデミー生との交流が良い刺激となり、慌ただしくも充実した日々を過ごして、気が付けばそんな生活が一年半続いていた。このままもう少し今の仕事を続けたいとも考えている。そろそろ今後のキャリアについて計画を始めるのに良い頃合いだろう、天才の俺は既に将来を見据えている。
     ――なんていうのは全部建前だ、出来れば暫くミリオン州に帰りたくないというだけで。

     エリオス所属ヒーローの昇格や人事についてはエリオスチャンネルだけでなく一般的な国内向けニュースとして目に触れる機会が多い。ネット配信のライブニュースで『現トリプルエーランクのオスカー・ベイルがメジャーヒーローに昇格』と一報が出た時はそこそこ世間は賑わっていたように思う。主に“彼は誰だ?”という方向で。なにせヒーロースーツがフードを目深に被って活動する事を前提にデザインされているから、ミリオン州市民以外の認知度は決して高くなかった。地方アカデミーで生徒との雑談の話題として『俺がルーキーとして入所した時オスカーが担当メンターだったんだぜ』と話しても反応が薄かったくらいだから察するに余りある。
     つまりミリオン州の外にいる分には、オスカー・ベイルの事を詳しく知っているのは俺だけだった。
     これはミリオン州にいては体験出来ない未知の感覚だったから、手軽に他人には渡したくないものになるのは必然だった。独占欲と分類される感情だという事についてはすぐに諦めがついたし、この頃にはもう自分の感情を落ち着いて分析出来るようになっていた。ルーキー研修の日々の賜物といえるだろう。
     つまりはまぁ、当時そういう目でメンターの事を見ていたし、そういう気持ちを寄せていたというのはもう否定出来ない事実である訳で。
     だからもう暫くの間はミリオン州に帰りたくないし近寄りたくない。



    .
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    佳芙司(kafukafuji)

    REHABILI園子さんは正真正銘のお嬢様なので本人も気付いてないような細かなところで育ちの良さが出ている。というのを早い段階で見抜いていた京極さんの話。
    元ネタ【https://twitter.com/msrnkn/status/1694614503923871965】
    京園⑰

     思い当たるところはいくらでもあった。
     元気で明るくて表情豊か。という、いつかの簡潔な第一印象を踏まえて、再会した時の彼女の立ち居振る舞いを見て気付いたのはまた別の印象だった。旅館の仲居達と交わしていた挨拶や立ち話の姿からして、慣れている、という雰囲気があった。給仕を受ける事に対して必要以上の緊張がない。此方の仕事を理解して弁えた態度で饗しを受ける、一人の客として振る舞う様子。行儀よくしようとしている風でも、慣れない旅先の土地で気を遣って張り詰めている風でもない。旅慣れているのかとも考えたが、最大の根拠になったのは、食堂で海鮮料理を食べた彼女の食後の後始末だった。
     子供を含めた四人の席、否や食堂全体で見ても、彼女の使った皿は一目で分かるほど他のどれとも違っていた。大抵の場合、そのままになっているか避けられている事が多いかいしきの笹の葉で、魚の頭や鰭や骨を被ってあった。綺麗に食べ終わった状態にしてはあまりに整いすぎている。此処に座っていた彼女達が東京から泊まりに来た高校生の予約客だと分かった上で、長く仲居として勤めている年輩の女性が『今時の若い子なのに珍しいわね』と、下膳を手伝ってくれた際に呟いていたのを聞き逃す事は勿論出来なかった。
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    佳芙司(kafukafuji)

    MOURNING前にピクシブに投稿してたやつ
    Like a bolt from the blue.(HeriosR/キース×ブラッド)

    「とにかく聞いてくれ、俺は昨日お前等と飲んで、リリーが帰った後にジェイと二軒目に行ったんだ、其処でもしたたか飲んじまって、まぁその時は後悔してなかったんだけど、会計済ませた後になってから段々吐き気を催す方向に酔いが回っちまったんだ、何度も泥酔の修羅場を潜り抜けてきた俺も流石にヤバいなと思って意識がある内にブラッドに連絡したんだ、俺はその時リニアの駅前のベンチにいたから大体の場所と、あとマジヤバい水飲みたいって事も伝えた、ちゃんと伝わってたのかどうか不安だったけどとにかくもう何とかしてくれーって気持ちだった、意識飛びそうなくらい眠気もあったけど、スられちゃ困ると思ってスマホと財布を握り締めて俺は大人しく待ってた訳だよ、そしたら着信があってさ、出たらブラッドなの、アイツなんて言ったと思う? 『項垂れてだらしなくベンチに座っているお前を見つけた。今そっちに向かう』って言ってさ、だらしなくって余計な事言いやがって、こっちはもう気分は最悪だってのによ、んで正面見たらさ、いたんだよ、真っ直ぐこっち見て、人混みの中を颯爽と歩いてくるブラッドがさ……なんかもう、今お前が歩いてるのはレッドカーペットの上ですか? ってな具合に迷いなくこっち来んの、しかも上手い具合に人の波も捌けててさ、もう何がなんだか分かんねーんだけど、目が離せなくて、ぼーっとしてる間にブラッドは俺の近くに来て、またアイツなんて言ったと思う? 『待たせたな』とかクッソ気障な事言いやがったんだよ笑いながら、いや待ってたけど、待ちかねてたけどさぁ、その確信を持った態度は何? って、唖然としちゃうってもんだよ、しかもこっちが何も言わないでいたら一言も言えないくらい体調が悪いのかって勘違いしたのかどうかは知らねーけど、わざわざ近寄って『立てるか?』とか訊いてくるし、いや立てるからって思って立ち上がろうとしたらさ、情けねーけど腰抜かしてたみたいで、よろけちまったんだよ、でもアイツは平然とこっちの腕引いて、オマケにアイツ、腰まで抱いて支えてきてさ、もう大混乱だよ明日雹でも降るんじゃねーのって思った、この天変地異の前触れを予感して困惑する俺を尻目にアイツは『手のかかる奴だな』とか笑いやがってさぁ」
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    ohoshiotsuki

    MAIKING死神ネタでなんか書きたい…と思ってたらだいぶ時間が経っていまして…途中で何を書いているんだ…?って100回くらいなった。何でも許せる方向け。モブ?がめちゃくちゃ喋る。話的に続かないと許されないけど続き書けなかったら許してください(前科あり)いやそっちもこれから頑張る(多分)カプ要素薄くない?いやこれからだからということでちゃんと続き書いてね未来の私…(キャプションだとめちゃくちゃ喋る)
    隙間から細いオレンジ色の空が見える。じんわりと背中が暖かいものに包まれるような感覚。地面に広がっていくオレの血。ははっ…と乾いた笑い声が小さく響いて消える。ここじゃそう簡単に助けは来ないし来たところで多分もう助からない。腹の激痛は熱さに変わりそれは徐々に冷めていく。それと同時にオレは死んでいく…。未練なんて無いと思ってたけどオレの本心はそうでも無いみたいだ。オレが死んだらどんな顔するんだろうな…ディノ、ジェイ、ルーキー共、そしてブラッド―アイツの、顔が、姿が鮮明に思い浮かぶ。今にもお小言が飛んできそうだ。
    …きっとオレはブラッドが好きだったんだ
    だから―
    ―嫌だ、死にたくない。

    こんな時にようやく自覚を持った淡い思いはここで儚い夢のように消えていく…と思われたのだが――
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