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    佳芙司(kafukafuji)

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    ルーキー研修が終わった6年後という設定のパラレルワールドというか近未来パロディというかなんかそういうラブコメ話になる予定の冒頭部分。

    #オスアキ

    二四才アキラと三〇才オスカー(アキラ視点) 大人になるというのは、初恋を諦めた時のことをいうのかもしれない。

     ヒーロー研修が終わりに近付いた頃、司令部からミリオン州外の州警察へ短期交換インターンを打診された。
     今やエリオス所属のヒーローに求められるものは、災害救助や国内外のテロ組織対策、並びに日常の犯罪や事故への対応など多岐に渡る。消防、警察、民間警備会社、更に国軍まで幅広く分け隔てなく連携を取り合い、安全と平和の為に協力し合うのが当たり然になって久しい。
     遠方へのインターンを、日本では“武者修行”というそうだ。これは司令の言葉である。
     相互に送り合う人員が揃っているタイミングでなければ、こういった辞令は出されない。自分自身でも悪くないと思うのであれば、経験を積む良い機会だと思い切って受けてみてはどうだろうか。これは相談した者達の助言だ。
     双方耳を傾けた俺は、なるほどなぁと尤もらしく頷いて、じゃあせっかく声を掛けてもらったし、と司令部に辞令を受ける旨を伝えた。それがもう四年前になる。
     俺は初めて会った頃のオスカーの年齢に漸く追い付いた。

     ***

     初めは短期という事で、一年間の勤務だった。
     半年も経たぬ内にその州警察での活動期間をもう一年続けてほしい、と司令部から通達があった。手続きのタイミングが合わぬままずるずると延長が掛かって、結局その州警察署には二年半在籍した。
     晴れてミリオン州に戻る事になるのかと思いきや、今度は別地方にある新設されたエリオス運営のアカデミーで非常勤講師兼ヒーローとして任務にあたるよう辞令が出た。初めは納得がいかなかったが、歳の近いアカデミー生との交流が良い刺激となり、慌ただしくも充実した日々を過ごして、気が付けばそんな生活が一年半続いていた。このままもう少し今の仕事を続けたいとも考えている。そろそろ今後のキャリアについて計画を始めるのに良い頃合いだろう、天才の俺は既に将来を見据えている。
     ――なんていうのは全部建前だ、出来れば暫くミリオン州に帰りたくないというだけで。

     エリオス所属ヒーローの昇格や人事についてはエリオスチャンネルだけでなく一般的な国内向けニュースとして目に触れる機会が多い。ネット配信のライブニュースで『現トリプルエーランクのオスカー・ベイルがメジャーヒーローに昇格』と一報が出た時はそこそこ世間は賑わっていたように思う。主に“彼は誰だ?”という方向で。なにせヒーロースーツがフードを目深に被って活動する事を前提にデザインされているから、ミリオン州市民以外の認知度は決して高くなかった。地方アカデミーで生徒との雑談の話題として『俺がルーキーとして入所した時オスカーが担当メンターだったんだぜ』と話しても反応が薄かったくらいだから察するに余りある。
     つまりミリオン州の外にいる分には、オスカー・ベイルの事を詳しく知っているのは俺だけだった。
     これはミリオン州にいては体験出来ない未知の感覚だったから、手軽に他人には渡したくないものになるのは必然だった。独占欲と分類される感情だという事についてはすぐに諦めがついたし、この頃にはもう自分の感情を落ち着いて分析出来るようになっていた。ルーキー研修の日々の賜物といえるだろう。
     つまりはまぁ、当時そういう目でメンターの事を見ていたし、そういう気持ちを寄せていたというのはもう否定出来ない事実である訳で。
     だからもう暫くの間はミリオン州に帰りたくないし近寄りたくない。



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    ohoshiotsuki

    MAIKING死神ネタでなんか書きたい…と思ってたらだいぶ時間が経っていまして…途中で何を書いているんだ…?って100回くらいなった。何でも許せる方向け。モブ?がめちゃくちゃ喋る。話的に続かないと許されないけど続き書けなかったら許してください(前科あり)いやそっちもこれから頑張る(多分)カプ要素薄くない?いやこれからだからということでちゃんと続き書いてね未来の私…(キャプションだとめちゃくちゃ喋る)
    隙間から細いオレンジ色の空が見える。じんわりと背中が暖かいものに包まれるような感覚。地面に広がっていくオレの血。ははっ…と乾いた笑い声が小さく響いて消える。ここじゃそう簡単に助けは来ないし来たところで多分もう助からない。腹の激痛は熱さに変わりそれは徐々に冷めていく。それと同時にオレは死んでいく…。未練なんて無いと思ってたけどオレの本心はそうでも無いみたいだ。オレが死んだらどんな顔するんだろうな…ディノ、ジェイ、ルーキー共、そしてブラッド―アイツの、顔が、姿が鮮明に思い浮かぶ。今にもお小言が飛んできそうだ。
    …きっとオレはブラッドが好きだったんだ
    だから―
    ―嫌だ、死にたくない。

    こんな時にようやく自覚を持った淡い思いはここで儚い夢のように消えていく…と思われたのだが――
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    佳芙司(kafukafuji)

    CAN’T MAKE【エリオ腐R】一進一退のお付き合い始めたばかりのオスアキ。書き続けるの飽きたので区切りのいいところでおしまい。
    恋人はじめ(オスアキ)あれ? と思った時には遅かった。
    たった今自分は何を言ったんだったか。思い返してアキラは瞬く間に顔を真っ赤に染め上げた。ぱくぱくと口を開いては閉じ、言葉にならない声が口から零れ落ちる。

    「あー、や……そのっ、お、俺は……っ!」

    言い訳しようとアキラは必死になって言葉を探ったが何も見つからない。熱が頬に集中してまともに頭が回らない。どうしようもなくなって両手で顔を覆うしか出来なかった。

    「うううう……」

    ヘナヘナとその場に蹲って回想する。どうしてあんな事を言ったんだ、うっかりにも程がある、馬鹿か俺は。頭の中で自分に文句を言う。しかし後悔してももう遅い。言ってしまった事は取り消せないのだ。

    「アキラ」

    思ったよりも近くから聞こえてきた声に驚いて勢いよく顔を上げると、更に思っていた以上に近くにオスカーの顔があった。じっと目を覗き込むように見られ、思わず後ろに身が引けた拍子にバランスを崩して尻餅をついた。その瞬間オスカーに肩を掴まれたアキラはなんとか背中から倒れずに済んたが、オスカーの顔を見上げる格好になって息を呑む。
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