12/5手綱の主が帰るのを待つ メフィスト様と共にバベルへやってきたらナルニア様と鉢合わせた。メフィスト様はナルニア様と報告に向かわれるということで、私は食堂で待機しようと頭を下げて歩き始めると隣に誰か来た。
見上げたら魔関署のイケメンで、……名前、知らない……見たことはあるし、たぶんエライ悪魔……。
たぶんエライ悪魔は私の顔を見て溜息を吐いてから、
「魔関署の牙隊、アミィ・アザミ。ナルニア様の御用が終わるまで共に待機させてもらう」
とぶっきらぼうに言った。
「メフィスト様の秘書です。私は食堂に参りますがアミィ様もそちらでよろしいですか?」
「かまわん」
ぶっきらぼうなイケメンことアミィ様はハチャメチャに無愛想な顔をしつつも私と歩調を合わせてついてくるので、たぶんただの不器用さんなのだろう。
けど後ろから忙しない足音がして振り返ると、メフィスト様が口をへの字にして追いかけてきた。
「メフィスト様、いかがなさいましたか?」
かわいい顔してんなと思って聞いたら、ちょっと表情を崩してから
「急いで終わらせてくるね」
と言う。かわいいなあ!!私の主!!!
「お待ちしております」
再度見送ってから、食堂に向かおうとするとアミィ様は無表情ながらも待っていてくれた。
「……どうにも、主従の距離には見えないな」
「かわいいでしょ、私のご主人様」
「は?」
「失礼しました。参りましょう」
思わず本音が出てしまい、アミィ様がポカンとする。ごめんね、あまりのかわいさに自慢したくなっちゃった。
食堂で手帳を開いてこの後の予定を確認していると、同じようにアミィ様も向かいの席でなにやらノートに書いている。別に会話はない。けどしばらくして誰か入ってきたと思ったらアミィ様とヒソヒソ話し始めた。服装から察するにアミィ様の部下とか、そんなん。
「急用のため失礼する」
「お疲れ様です」
「……君は露骨だな」
「えっ」
なんそれ。たぶん全然褒められてないんだけど、アミィ様はなにが面白いのかちょっと笑って去っていった。
やがてメフィスト様が戻られたのでホッとした。やっぱりよくわからんイケメンより、よく知った私のイケメンが一番だな。
けど仕事中の甘えは許さない派なので、甘えたがるメフィスト様を連れてさっさと帰ろう。家でならいくらでも甘えさせる所存なので。