12/8威光の影で暗躍する係でいさせてほしい というわけで年末である。貴族会へのお誘いが山のように来ているので、私の判断で行く行かないをざっくりわける。判断基準は規模と地域、地域から予想される参加者である。
さらに大貴族会の開催もあって、そちらは必須なのでそちらとの日程も鑑みてキツくならないものを……できるだけ……面倒くせえ……。
「どれに出るか決まった?」
「概ね。こちら確認をお願いします」
「君はどういう立場で出るの?」
「基本的にはメフィスト様の付き人という扱いになります。それであれば招待状がなくともお側におれますので」
「……」
メフィスト様がめちゃくちゃ不満そうな顔をした。いや、笑顔なんだけど。けど目が全然笑っとらんな。こわっ。
「あの……?」
「それ、出る必要ある?」
目の据わったメフィスト様に私は出来る限り真顔で言った。
「そもそも、私も招待する理由ってなんだと思いますか」
「……わかった。任せる」
おわかりいただいて何よりである。私を招待する理由なんて、メフィスト様に近づく踏み台くらいしかない。なにしろ私は身分としては研修中の学生であり、貴族の出だけど田舎貴族&分家だから貴族とかいうのもおこがましい。
けど新13冠メフィストに最も近い悪魔である。その有用性を理解する貴族からは喉から手が出るほど取り込みたかろう。
つまり、私が招待されている貴族会はそれだけ魑魅魍魎が跳梁跋扈する煮凝りみたいな会なわけですね。
行きたいか? それ。と、私は超遠まわしにメフィスト様に進言し、メフィスト様も止めとこ!!!とご納得いただいたわけだ。話の早い我が主です。
「それはそれとして、貴族会用の衣服も仕立てにいかないとですね」
「カッコイイの選んで」
「お任せ!!!ください!!!」
「声が大きい」
私はニコーっと笑って見繕っておいたカタログを出す。メフィスト様は思いっきり苦笑いだけど、これは譲れない。
メフィスト様の!!服!スーツは!!私が選ぶ!!
「この辺りいかがですか? ウエストのラインがきれいなんです。こちらはですねーちょっとクラシカルな作りですけどその分肩周りがしっかりしてるので背の高いメフィスト様なら絶対カッコイイと思うんです。あと」
「……好きにしな?」
「お任せください!!!」
じゃあ近い内に採寸と仕立てに参りましょうとお願いをして、それも好きにしていいとのことなので勝手に決めておく。
「あ、一個だけ」
「はあい」
「君のドレスも仕立てようね」
「着ていきませんよ? 私はスーツで控えておりますので」
「……家で着て」
「嫌ですけど」
「ダメ。エスコート出来ない分、家で着て」
メフィスト様が断固譲らなかったのでドレスも作ることになった。勿体無いなーって思うけど、それはそれ。私はカタログを見てニマニマする。