12/27あなた色に染まる「どしたの、それ」
その日、悪魔学校から帰るとメフィスト様が絶句した。私の黒髪が真っ白になっているからである。
「薬学研究師団の前を通りかかったら魔術薬がかかっちゃいまして」
その薬の効果が、好きなヒトと同じ髪の毛の色になる、というものだった次第である。
「なるほど」
「めちゃくちゃ嬉しそうになさいますね」
「うん。わかってはいたけど、こうやって見える形になると嬉しいなーって」
「左様ですか……」
ちなみに効果は半日ほどだそうなので、寝るくらいには戻っているはず。今日は各師団の活動納めの日だったそうで、どこもどんちゃん騒ぎだった。そのお祭り騒ぎの一環で用意された薬なので効果も短いらしい。
「珍しいけどかわいいから、しばらくそのままでもいいんじゃない?」
「えー、違和感すごいですよ」
なんて言っていたら玄関で呼び鈴が鳴らされる。出たら配達魔で、受け取ると不思議そうな顔をされた。
「メフィスト様の妹さんですか?」
「違います!」
中に引っ込むとメフィスト様がめちゃくちゃ嫌そうな顔をしていた。
「髪、戻そう。今すぐ戻そう」
「えっ、なんですかいきなり」
「兄妹だと思われるのは遺憾なので」
「……左様ですか」
けど、効果はそんなにすぐには切れない。それを説明する前にメフィスト様の指がパチンと鳴って髪が黒く戻った。あー、チェルーシルしたのか。
「やっぱりいつもの方がいいね」
「そですね」
「俺の髪が黒くなったらどう思う?」
「めちゃくちゃカッコイイと思うので写真撮らせてください。あっ今やってみますね、任せてください。ちぇる」
「はい、ストップ!! なんなのその勢いは」
勢いで押せるかと思ったけどダメだった。ついでに無口頭で試そうとしたのも弾かれた。ぐぬぬ。