1/2足して割って、中吉くらい?「魔神くじ、ですか」
「そうそう。今人気なんだって。引きに行こうよ」
年始早々にメフィスト様に誘われたのは魔界で今人気だというおみくじだった。なんでも今年一年の運勢が書いてあって、それがかなり詳細かつシビアな内容で面白いらしい。
初日はほぼ寝て過ごしてしまったので二日目にお出かけするのもやぶさかではない。揃って認識阻害眼鏡をかけて、くじが引けるという魔神様のお社に向かう。
「わ、すごい並んでますね」
「昨日はもっとすごかったらしいよ。出掛けにテレビでいってた」
「今も相当並んでるのに」
2人で列に並ぶ。列の横に屋台が出ていて、ちゃっかりしてるなと思いつつ、あれこれ買ってしまった。
「メフィスト様、この焼き串美味しいですよ」
「ん、あ、ほんとだ。こっちのホットワインも美味しい……けど、やめておこうね」
「帰りに買って帰りますか?」
「あんまり飲むと勃たなくなるからヤダ」
「……さようですか」
そんな感じで一時間弱くらいで順番が来た。まずは魔神様に手を合わせて感謝と祈りを捧げる。それからくじを引く。
「……おおう」
「ふうん。どうだった? ……うわ」
メフィスト様が大吉で私は大凶だった。メフィスト様は自分の分を見てニコニコだったのに、私の手元を見て顔を引きつらせている。すみませんね……。
「全体的に気をつけて生きろと書いてあります」
「……うん。気をつけて。君に何かあると、困るから……」
「事故や事件に巻き込まれやすいそうです」
「……帰ろっか」
「あ、恋愛運がいいみたいです。身近な方が大切に思ってくれていると」
「うん。そだね。えっ、知ってるよね?」
メフィスト様が少し不満気に私の手を取った。
「知ってますよ。でもメフィスト様の恋愛運に不安になりがちって書いてます」
「えっ、うわ、ほんとだ」
2人で顔を見合わせて苦笑する。それから良くない結果のおみくじは瘴気を吸い取る木にくくると良いというアナウンスを受けて、木にくくってきた。
「よし、真っ直ぐに帰ろう」
「そうですねえ。あ、焼きそば買っていいですか? あとリンゴ飴とわたあめと」
「うん、もう好きなだけ買って帰ろう」
手を繋いで歩き出す。2人の運を掛けあわせたら、まあたぶん普通、やや良いくらいになるだろう。