1/5休みの最後に甘やかして「は〜〜〜」
テレビの前のソファで、メフィスト様はダラダラしている。なにしろ今日で13月も終わりで、明日からは割と普通に忙しいのだ。
私の方は13月ということで、いつもよりはゆっくりさせて頂いていたけれど、それはそれとして家事は発生するのでメフィスト様ほどは休んでいない。今も干していたリネン類を取り込んで畳んでいる。
「働きたくない」
「左様ですか」
「もうちょっとかまってほしい」
「わたくし、既にほぼ通常営業ですからね」
「……」
主はつまらなさそうな顔でこちらを見ている。このまま放置すると確実に拗ねるので、手を止めてソファの横に腰を下ろした。
「メフィスト様。今の作業を終えたらアイスを持ってきますから一緒に食べましょう」
「……食べさせて」
「承知しました。ワインかウィスキーもご用意しましょうか?」
「両方」
「かしこまりました。チーズとハムもお持ちします」
一瞬で機嫌が直ったのですかさず立ち上がりシーツやらタオルやらを片付ける。厨房でアイスとワインにウィスキー、それからつまみになりそうなものを適当にトレーに乗せて運ぶ。
「お待たせいたしました」
声をかけるとメフィスト様が起き上がるので隣に座る。たぶん甘えたいのだろうから、少しずつ食べさせていくことにする。
バニラアイスにウィスキーを垂らしてスプーンで掬う。どうぞと差し出せばめちゃくちゃ嬉しそうに口を開ける。
あとはもうワインやらハムやら、クラッカーにチーズを乗せたりと間違いのなさそうな組み合わせをタイミングよく口元へ運ぶ簡単なお仕事だ。ワインやウィスキーはいつの間にか手酌でぐいぐい飲んでいる。
「おいしい」
「良うございました」
「アイス、美味しいよ」
スプーンを取り上げられ、口にアイスが突っ込まれる。……飲ませすぎたかなあ。気付けばメフィスト様の顔は赤くて目元がトロっと溶けている。
「メフィスト様。そろそろ切り上げましょうか」
「もうちょっと」
「目が開いていませんよ」
「やだ」
普段、メフィスト様はほとんどお酒を飲まない。食前酒とか寝るときにちょっと舐めるくらいだし、たまに私が飲む練習をするときに一緒に飲むけど、私が弱すぎてメフィスト様がどうなるかまでは知らなかった。
「なにかかけるものをお持ちしますね」
ソファでくんにゃり寝てしまった主の額にキスを落として毛布を取りに行く。たぶん起きたら休みの残りを無駄にしたと凹むだろうから、夜ごはんにはメフィスト様の好きなメニューを用意しておこう。