2/15そういう服の取り扱い「この間さ、やたらエッチな給仕服着ていたでしょう?」
「……はい」
休みの日の朝。主――メフィスト様がなんか言い出した。こんなに天気がいいのに、私の主は何を言っているんだろう。
「それで、俺も調べたんだよね。そういう服について」
いらんことを。
先に余計なことをしたのが私である手前、口には出さないけど、なんとなく何を言われるかお察しである。
「それで、最近下着のサイズが合わないって言っていたでしょう」
「言いましたねえ」
「なので、サイズの合う下着と併せて、そういう下着を買おうね」
「……はあ」
そっちかあ。エッチなコスプレ衣装を取り寄せたから、今日届くとかそういう話かと思ったら。
「乗り気じゃない?」
「いきなり話されて、テンションに付いていけないです」
「それもそうだ。でも一緒にカタログを見たらテンション上がるよ」
上がるかなあ。
ていうかカタログってなんだ。取り寄せたのか。
リビングのローテーブルにメフィスト様がドサッとエッチな下着のカタログを広げた。
……広げるほどたくさんあった。
「うわ」
「俺もとりあえず取り寄せただけで中は見てないんだよね。うわ」
「すごいですねえ。なんにも隠せてない」
「わー、穴開いてる」
「あの、その写真と私を見比べるの止めてもらっていいですか?」
「俺はこれがいいです」
……このスケスケヒラヒラを――?
「これ、風呂上りに着るじゃないですか」
「うん」
「その後コトが済んだら普通の下着で寝ていいんですかね」
メフィスト様は「どうかな」と首を傾げた。
どうかなって何。
「君、だいたい寝落ちするだろう?」
「ええ、誰かさんのせいで、概ね寝落ちします」
「朝起きて、これ着てたらまたテンション上がるよね」
「買うのを止めましょう」
「それにさ」
続けんのかよ。メフィスト様のテンションが無駄に高くて、話を聞いてくれない。
「いつもカチッとしたスーツ姿だろう? その下にこれ着てたらすごくエッチでいいと思います」
「買うのを止めましょう」
「ヤダ! 買います!!」
結局メフィスト様が勝手に選んで注文していた。なにが届くんだろうなあ。
必ず私が受け取って隠しておこうと心に決めた。