ゆめうつつ体が揺れたような気がして目が覚めた。
(あれ……)
まだ半分眠りの世界に意識を残したままキースは瞼を開く。どこかぼやりとしたままの視界で真っ先に目に入ったのは夜空――ではなく。
(ああ、ブラッドの頭か……)
夜を共にし隣で眠っていたブラッドが、今はキースに背中を向けた姿勢になっている。そのせいでキースの視界を占める大半は藍鉄色の後頭部越しの、まだ薄暗い部屋。先程の揺れはおそらくブラッドが寝返りを打ったせいで、そのせいで目が覚めて――思う間にとろりと眠気が忍び入ってくる。その前に。
室内にライムグリーンの光が揺れる。ほぼ無意識の、ブラッドに意識があったなら確実に叱られる横着さでブラッドの体を反転させて腕に閉じ込める。
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