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    ちょりりん万箱

    陳情令、魔道祖師にはまりまくって、二次創作してます。文字書きです。最近、オリジナルにも興味を持ち始めました🎵
    何でも書いて何でも読む雑食💨
    文明の利器を使いこなせず、誤字脱字が得意な行き当たりばったりですが、お付き合いよろしくお願いします😆

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    ちょりりん万箱

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    #魔道祖師
    GrandmasterOfDemonicCultivation

    夏の終わり今回の夜狩りはよく吹っ飛ばされ、姑蘇藍氏の若い弟子たちのほとんどの者が打ち身や切り傷だらけで満身創痍だった。
    只今、沢蕪君から許可をもらい、冷泉に浸かっている最中である。
    「イタタ……」
    「冷たいね……」
    冷たい水が、体にも心にも凍みる。
    それを、冷泉の外から冷ややかに夷陵老祖が見下ろしていた。隣で苦笑しながら藍思追も。
    「陣形が悪いからああなるんだ。もう少し考えてやらないと」
    夷陵老祖は腕を組んで、竹にもたれながら人差し指を立てた。
    「陣を組んで終わりじゃないんだぞ、特に大人数の場合は……」
    「わかってますよ!」
    藍景儀ががんばって反論する。
    夷陵老祖・魏無羨は指先に念を込めるとピッと藍景儀に向かって投げた。
    「あたっ!!」
    額にその念が当たり、藍景儀は勢いよく冷泉に転ぶ。
    回りにいた弟子たちもその水飛沫の巻き添えを食らい、ヒー!冷たい!!とあちらこちらから抗議の声が上がった。
    「そういうところが油断なんだよ」
    ふふんと魏無羨は不敵に笑う。
    「反論大いに結構。だけど、その後がいけない」
    魏無羨は大袈裟に肩を竦めてため息を吐いた。
    「後先を考えないと大怪我になる」
    「魏先輩のようにはできませんよ!!」
    藍景儀が顔の水滴を手で払いながら尚も反論する。
    「できないと、自分も怪我をするし、周りも危険に晒す。そして、藍湛の顔に泥を塗る」
    ぐっ、と藍景儀は声を詰まらせた。
    己が怪我をすることはしょうがないと思っている節がこの若者たちには見られる。
    未熟だからかもしれないが、注意しても聞かないなら、狡い言い方しかない。
    「姑蘇藍氏の校服をきて、抹額をつけている以上、お前たちのすることは藍氏がすることだと思われる。そしてお前たちは藍湛の弟子だろ?」
    魏無羨にじっと見られ、弟子たちはもじもじしてお互いの顔を見合わせた。
    今や全仙家を統べる仙督となった藍忘機。
    寡黙な師匠は自分達の憧れの人で、目標だ。
    その藍忘機の顔に泥を塗るようなことはあってはならない。
    痛い所を突かれて誰もが口を閉じた。
    「だから、1つ1つ覚えていかないといけないんだ」
    竹から身を離した魏無羨は、うーんと背伸びをした。
    「さてと、今日はここまで。じゃ、解散~」
    くるっと身を翻し、坂道の方に2、3歩歩くと、あっと魏無羨は声を上げた。
    「そうそう、思い出した」
    弟子たちの方に首だけ向けてニヤリと笑う。
    「昔、藍湛とここで溺れたんだよ」
    「ええっ、ここで!?」
    水は冷たいがそんなに深い所ではない。
    何で?と皆が疑問に思う。
    意地の悪い笑みが更に深くなり、魏無羨の声が低くなる。
    「ここは姑蘇藍氏の裏山と繋がっていて、大きな蛇が得物を狙って水底に潜んでいるんだ」
    「えっ・・・」
    「ほらっ!後ろに!!」
    ザバッと水音を立てて、各自、素早く自分の仙剣に手を伸ばした。
    シ~ンと静まり返り、アハハハハと魏無羨の笑い声が響き渡る。
    「ま、溺れて1日彷徨ったのは本当だけど、蛇はいなかったよ」
    「魏先輩!!」
    非難の声に手をヒラヒラと振りながら、坂道を登り始めた。
    「いい反応してたぞ、その調子。お疲れ様~」
    魏無羨はフンフンと鼻唄を歌いながら行ってしまう。
    「どこまで本気なんだよ、あの人!」
    藍景儀が仙剣から手を放し、怒る。
    「でも、魏先輩と含光君ならあり得るかも。お2人揃うと何か起きそうだよな」
    それはそうだ、と同意の声が上がった。
    あながち、蛇が出たという話も嘘じゃないかもしれないと思わせる。
    「あのお2人は特別だよ。いろいろ大変なことをご経験されてるから」
    藍思追の言葉に、そうだよなと皆がしんみりとなる。
    「何度も危ない事を経験されてるもんな」
    生死を分けるような場面も何度もあった。
    実際、魏無羨は1度死んでいるのだ。
    その間の藍忘機の荒みようは只事ではなかったらしく、先達に聞いても誰もが口をつぐむ。
    「魏先輩、凄い人なんだろうけど、その凄さがどうも伝わってこない」
    腕を組み首を捻る藍景儀に、それはお前が恐いものしらずなんだと友人たちは水をかけた。
    「わっ、やめろ!冷たいだろ!!」
    藍景儀が応戦すると、冷泉は水かけの戦場となった。
    「ちょっと、駄目だよ、みんな」
    藍思追の制止の声は白熱した友人たちには届かない。
    四方八方から飛んで来る水飛沫に当たらないように、藍思追は冷泉から距離を取った。
    ふっと魏無羨が消えて行った坂道を見上げると、下からは見えない位置に黒と白の影が見えた。
    (あ…………)
    このままでは怒られると思い、藍思追が動こうとしたら魏無羨と目が合った。
    魏無羨はふっと笑うと自分の唇の前に人差し指を立てた。
    隣の藍忘機も微笑し、頷く。
    どうやら、騒いでいることにお咎めはないらしい。
    ほっとした藍思追に、魏無羨がまだ身振り手振りを寄越した。
    藍思追を指差し、冷泉を指差す。
    『お前も行け』
    藍思追は、え〰️と心で思ったが、2人から騒いでも良いと許しが出るなど滅多にない。
    覚悟を決めた藍思追は校服を脱ぎ捨てると、藍景儀の側に勢い良く飛び込んだ。
    「景儀!助けに来たよ!」
    「思追〰️!さすが俺の相棒!」
    勢いを取り戻した藍景儀がバシャバシャと水飛沫を周りに振り撒く。
    わー、ぎゃーと冷泉では元気のよい声がひびき渡った。


    夏がもう少しで終わろうとしていた。
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