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    Hakuaisan(GWT)

    @Hakuaisan

    二次創作てんこ盛り野郎

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    Hakuaisan(GWT)

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    〈カミブクロ様のタタリヤの幼虫を見ていたら思い付いたので書きました。 byハクアイ〉

    ※軽度の嘔吐あり

    「パパみて、ひろった」
    「ぎゃぁぁあぁぁああぁ!!」
    散歩中、麻人が何かを見つけて拾いに行ったと思ったら得体の知れない生き物だった。麻人の両手に収まるほどの小ささで、丸いフォルムに傘を被っており、顔らしき部分に二重の円がある。思わず裏声で叫んでしまったが、直ぐに我に返る。
    「なんだこいつ?」
    「こっちにいた」
    指を差したところにいたのは、麻人が拾ったのと同じやつが二匹いた。短い手足でよちよちと動いている。この三匹を見ていると祟り屋が浮かんでくるのだが何故だろうか。
    「パパ」
    「飼うのは無しだ」
    そう言った途端、麻人の顔から笑みが消える。飼いたかったのは図星だったか。
    「そっか・・・ダメ?」
    「くっ・・・ダメだ」
    うるうるとした瞳で訴えてくるが俺はNoと答える。この瞳に何度誘惑されたことか。
    「元居た場所に返しておけ」
    「・・・わかった」
    渋々といった感じで麻人は謎の生き物を元の場所に返す。
    〈KK 帰りにトイレットペーパーと洗剤買ってきて〉
    不意にスマホの通知が鳴り、画面を開くと暁人から買い物を頼まれた。
    「ちゃんと返したか?」
    「うん」
    戻ってきた麻人を見るが特に隠している様子はなかった。さっきまで生き物が居た場所には何も居らず、麻人が何処かに逃がしたのだろうと思っていた。
    〈了解〉
    俺は返信をしてスマホを仕舞うと、麻人の手を握る。
    「麻人」
    ヌメッとした触感に俺は顔を歪ませた。暁人から頼まれたものとついでにウェットティッシュを買って手を拭く。
    「ちゃんと返したよな?」
    「うん」
    不安になり聞くが、やっぱり隠している様子もない。
    「ただいまー」
    「戻ったぞ」
    「お帰り~」
    家に戻ると暁人が出迎える。
    「KK、頼まれたもの買ってきた?」
    「この通りだ」
    「あれ?ウェットティッシュなんか頼んでないけど」
    「散歩中に麻人が変なもん見つけてそれ触った手で俺の手握ってきたんだよ」
    「災難だったね~」
    「他人事みたいに言いやがって」
    暁人の態度に苛立ちを覚えるが俺は麻人がいなくなっていることに気づく。
    「麻人は?」
    「先に部屋戻るって」
    普段なら一緒に手洗いをするが珍しいことがあるんだなと思いつつ買ってきたものを暁人に渡した。
    ****
    「アキー」
    「おー戻ったか」
    毛繕いをしていると麻人が部屋に戻ってくる。最近は寒さで余り外に出掛けられず、麻人の部屋で1日を過ごしてしまう。てかここに慣れてしまった自分に未だに困惑している。
    「アキ、きょうひろったの」
    「お前何拾ったん?」
    「・・・んぐっ」
    「!?」
    聞いた途端、麻人は自分の口に手を入れた。
    「お、お前、何して」
    何かを探すかのように麻人は口の中に入れた手を押し込んでいく。
    「おえぇ・・・」
    「えぇ・・・」
    麻人が手を引き抜き吐き出すところを見てドン引きする。出てきたのは胃液にまみれた傘のようなものを被った球体状の何かだった。しかも三つ。手や足らしきものがあり、生きているのかパタパタと動かしていた。
    「お前飲み込んで隠してたのか」
    「うん」
    口を拭う麻人に俺は開いた口が塞がらなかった。謎の生き物を体内に隠すという発想が、俺には到底出来ないものだ。
    「パパがダメっていうんだもん」
    「あーね」
    容易に想像が出来た。
    「そいつらどーすんだよ、隠しててもいつかバレるぞ」
    「大丈夫、ママつかえばいいから」
    「そうかyんっ!?」
    「パパにいわないでよ、すてられちゃうかもしれないから」
    俺の口を片手で子供とは思えないほどの力で塞ぎ、赤く輝いた瞳で睨み付ける。手が震え、身体が思うように動かなくなる重圧感に襲われる。
    「いわないよね?」
    麻人は手を離すが、瞳は赤いままだ。
    「い、言いません」
    「・・・」
    麻人の瞳の色が元の母親似に戻ると、ニコッと微笑む。
    「よかった」
    重圧から解放された俺は麻人の言葉に冷や汗をかいていた。
    ****
    チラシの束を資源回収用の袋にいれようと持っていたところ、潰した箱を入れる袋を漁っている麻人を見つけて声を掛ける。
    「麻人~何してるの?」
    「・・・あっ、ママ」
    ビクッと震えた後に恐る恐る僕の方を向く。
    「何探してるの?」
    「はこ」
    「どれくらいの?」
    「このくらい」
    両手で大きさを伝える。僕は袋から分解した箱を取り出すとまた組み立てて麻人に渡す。
    「これでいい?」
    「うん!」
    「よかった」
    麻人が笑顔を見せてくれるとこっちも幸せな気分になる。
    「タオルも使う?」
    「えっ、いいの?」
    「パパには内緒にしてあげるから」
    「ありがとう、ママ!」
    「その代わりママにも見せてね」
    「わかった」
    箱とタオルを持って部屋に入る。部屋では狐の姿のアキが、体毛の中に謎の丸い生き物を住まわせていた。
    「拾ったの?」
    「うん、でもパパがダメっていうの」
    「パパは妖怪嫌いだから仕方ないもんね」
    アキの体毛を掻き分けて、生き物を手に取る。傘のようなものを被り顔の辺りに円がある。驚いたことに三匹も拾ってきた。
    「こんなに拾ってきたの?」
    「て、それを胃に隠してた」
    「・・・」
    アキの言葉に頭が一瞬真っ白になる。
    「胃に隠した?飲み込んだってこと?麻人が?この生き物を?こんなに小さくてか弱い生き物を?飲み込んだ?隠した?体内に?麻人?大丈夫?ねえ?」
    不安になって麻人の肩を掴んで聞く。
    「だいじょうぶ」
    麻人の笑顔で不安が解れて、口元が緩んだ。
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