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    Cxcy75jjuu

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    Cxcy75jjuu

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    じゅそしになったごじょうさん

    またのお越しを「うぃーういっしゅあめりくりっすまっす、うぃーういっしゅあめりくりっすまっす」
    口ずさむ、このフレーズが好きなので、僕は年がら年中歌っている。黒のカソックを着て、こんな歌を歌っていたらまるで教徒だけれど、僕は神に仕えるタイプじゃないし、そもそも一神教って好きじゃないのよね。神様って沢山居てもいいじゃない。宗教論争をしたいわけじゃないので、控えておくけれど、どっちかてと僕は崇め奉られる方なんだよね。
    僕の名前は、五条悟。呪術師にして、史上最悪の呪詛師だ。加茂家のおっさんを越えた。ま、といっても加茂憲利のおっさんは倫理観の欠如したマッドサイエンティストの毛が強くて、呪術界に名前を刻んだのだけれど。僕は違う。単純に方向性が違う。僕は人を殺した。呪力で殺した。呪術で殺した。術式で殺した。この手で殺した。頼まれて、気紛れに殺した。そう、つまり、呪詛師ってわけ。元々僕の首には賞金が掛かっていたけど、それが跳ね上がった。え〜ふっしぎ〜呪術師でも首を狙われたけど、呪詛師でも変わんないんじゃ〜〜〜ん。でも、命を狙われる回数は減った、まともな術師は、僕の首なんか狙わない。だって、圧倒的に僕のが強いし。それに僕は、僕を殺しに来たやつに容赦しない。術師だろうが、非術師だろうが、別け隔てなく殺す。逆に殺さないときは、単純に気乗りしないときだけで、それこそ別け隔てなく殺さない。気紛れだ。
    リンゴーン、世紀末の鐘、リンゴーン。ざんね~ん、世紀末は過ぎてしまいました。また次の世紀末をお待ち下さい。
    「はい」
    草臥れた後輩が出てきた。
    「やっほ〜七海」
    「は」
    七海はびっくりして、目を見開いた。もしや七海クン、仕事上がりダネ!?スーツ似合ってるネッ。てか、時刻は22時だぞ、ブラック企業かよ。
    「入れて」
    「なんですか、急に、というか、なんです、その格好。それに包帯、」
    「説明ありがとう💕」
    推して参る、推参。僕は七海の家の玄関でブーツを脱いで、手に持って上がった。リビングのテレビの前に鎮座するソファに座った。
    「五条さん」
    「ななみぃ、ちょっと電話かして」
    「は?」
    「借りるね」
    このご時世には珍しく固定電話を置いてて、術式の応用で子機を引き寄せる。覚えている番号をかける。コール!ワンペア、ツーペア、スリーペア、ストレートフラッシュ!
    「七海」
    「はい?」
    相手が出たので子機を投げると七海が慌てて引っ掴んだ。
    「なにするんですか!?」
    「出て」
    全く意味がわからないとボヤきながら、七海が子機を耳に当てた。
    「夏油さん!?すみません、五条さんがうちに来て、電話を……」
    ところで、僕ってばポーカーやらないんだけど、コールって、弱気なアクションに見られがちなんだって。反対にレイズは強気のアクション。さっきググった。後ろで会話が繰り広げられていて、傑は直ぐにここに来ることになるだろう。僕はテレビをつけた。なんか面白い番組やってないかしらん。ザッピングしてみたが、22時代ってのがいけないのか、木曜ってのがいけないのか、どれも面白く無さそう。ただただ騒がしい音を流しているテレビを直ぐに切った。
    七海は廊下に出て、話をしていた。僕の姿を見て、直ぐに高専に連絡を入れようとしなかった辺りを見ると、呪術界からしっかり足を洗えてるらしい。とはいえ、この業界なかなかなかに足は洗いきれないから、困っちゃうね。
    話をあらかた終えたのだろう、戻ってくる。
    「五条さん、」
    眉を顰めて、批難する顔だ。
    あは〜ウケる。
    「どうしてあなたは、」
    「人を殺したのかって?意味なんてないよ?」
    首を傾げた。
    「理由があった殺してもいいの?腹が立ったから殺した、腹が立たなかったから殺した」
    「そういうことではないです」
    「あらそう。傑クンみたいにド正論で来るのかと思った。呪術師は非術師を守るのが責務とか言うのかと思った。ああ、言えないか。呪術師辞めちゃったもんね」
    顔を赤くして、戦慄いた。
    「五条さん…」
    「僕は一人でなんでも出来ちゃうし、一人で人殺せちゃうし、人を生かすことも出来ちゃう〜あはは笑っちゃう。生かすも殺すも僕次第。こりゃ非常に厄介だ、地獄の沙汰も金次第、だけども、僕はお金では動かないぞぉー」
    「五条さん、あなた、どうしたんですか、学生時代はなんだかんだいって」
    「守る側だったって?そうだね。そう。でもふと糸が切れちゃった。大切な糸がさ」
    頭のネジが吹っ飛んだとも言う。どれが切っ掛けだったのかわからない、どれもが切っ掛けで、そうではないだろう。守っても死んでいく人間、守らなくてものうのうと生きている人間、生まれる呪い。ひとが生きると呪いは切り離せない。勿論、この僕も。いや、むしろ、僕の世界には呪いが必要だ。だって、それしか映らないのだ。僕のこの瞳は。
    そんなことを考えて、目に巻いた包帯に触れた。
    「全ては僕の手の中さ」
    「傲慢だ」
    「でも、僕は出来ちゃう」
    押し黙る。七海はただ黙って、ゆっくりと僕の前に立った。学生時代に比べると筋肉がつき、社会に揉まれた顔つきで、良い男になった。
    七海が僕に手を伸ばす。仕方ない優しいパイセンの僕は術式をオフにした。なにをするんだろう、なにをされるんだろう、首を絞められる?傑には足止めしろと言われてる筈だ。殺されてみるのも一興かしらん。熱い指がするりと頬を撫でて、包帯を上に引っ張り上げた。髪を少し巻き込みながら、それを取り上げられた。そしてぱさりと前髪が下りてくる。
    「乱暴しないでよ」
    やんなっちゃう。この僕の髪はサラサラなもんで、上げるの一苦労なのに。
    「………………」
    七海はただ僕の顔を見ている。
    「……まぶしい」
    瞬きを何度もする。
    「瞳が、」
    「ん?」
    指が目じりを撫でた。指先がざらりとしている。
    「昔より、蒼い」
    「ちょ、やめ」
    してほしくないことをドンピシャでやってくれる。僕の後輩はやることが違う。
    「あのさ、眼球って外に晒してる重要な部位なわけで、」
    無表情を究める後輩はじっと僕を見下ろした。
    「見えてないんですか」
    「は?みえてるけど」
    「眼球の動きが明らかにおかしいですよ。瞳孔も目隠し外してもなんの変化もない。それに」
    「呪力の流れが多いって?」
    わかる〜ってなるかよ馬鹿め。無駄に優秀じゃないか。感覚派の灰原と理論派の七海であいつらはなんだかんたと良いコンビだったなと思う。まあ片割れは居ないんですけど。
    「呪力による補正で、ほぼ変わんないよ、視界は。むしろ365度上下左右に対応してる」
    「………」
    「なんでそんな顔すんだよ、おまえが。あ、僕が来たからか。来なかったら、思い出さず、生きてけたもんね」
    「恨んでるんですか、私を」
    「い〜や」
    「あのときの、」
    「恨んでるっていうか、納得した。やっぱ第三者の視点って大切よね。全部僕でいい。僕なら出来る。できちゃうよ、僕ってば凄いから」
    そんなのわかりきっている。高専時代と違うのは、万能感に酔いしれた学生時分より、実力があるからだ。
    「あなたは人間だ」
    七海があのときのやり直しをしたがっている。無責任に無意味に吐いた棘を、呪いを抜きたいのだ。背負うにしては重いもん。
    「違う」
    僕は笑う。笑っちゃう。笑っちゃうよ、七海。
    僕はここまで来た。ここまで到達してしまった、して、しまったのだ。
    「僕は、人間を辞めた。瞳はとっくに呪物になった。常に反転術式でベストな状態だ。僕に攻撃は効かない。僕に怪我は存在しない。心臓がとまっても僕は生きるだろう。それって、人間?」
    「……人間です」
    「違うよ、僕は、かみさまになった」
    僕は馬鹿みたいだなと思いながら、脱いでいたブーツを履き直す。ごめんね、七海。ピカピカにみがかれているフローリングには直接立たないから安心して、無下限張ってますよ。
    七海は身長があの頃から伸びたらしいけど、僕には届かない。僕は見下ろして、薄く笑う。
    「七海と話せて良かった」
    「五条さん」
    軽く押して、窓を開け放つ。ベランダの手摺に立った。今日は風が強い。ゆらゆらと揺れる。
    帳が降ろされようとしている。
    「やっほー傑」
    呪霊に乗った傑が凄い剣幕だ。ウケる。
    「この世界はゲームだよ。僕の手のひらで転がされているゲーム。つまんないゲーム。七海、ご参加をお待ちしております」
    七海の方を振り返りながら、そう言った。傑の攻撃を感じながら、ゆっくりと身体を傾けた。引力により僕は落ちる。
    「五条さん!!」
    ベランダに慌てて飛びつく七海が見えた。いや、だから、死なないんだってば。帳は対五条悟用だけど、まあ、抜けれないことはない。
    「じゃ〜ね」
    と僕は瞬間移動で消えるのだった。









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    Cxcy75jjuu

    DONEじゅそしになったごじょうさん
    またのお越しを「うぃーういっしゅあめりくりっすまっす、うぃーういっしゅあめりくりっすまっす」
    口ずさむ、このフレーズが好きなので、僕は年がら年中歌っている。黒のカソックを着て、こんな歌を歌っていたらまるで教徒だけれど、僕は神に仕えるタイプじゃないし、そもそも一神教って好きじゃないのよね。神様って沢山居てもいいじゃない。宗教論争をしたいわけじゃないので、控えておくけれど、どっちかてと僕は崇め奉られる方なんだよね。
    僕の名前は、五条悟。呪術師にして、史上最悪の呪詛師だ。加茂家のおっさんを越えた。ま、といっても加茂憲利のおっさんは倫理観の欠如したマッドサイエンティストの毛が強くて、呪術界に名前を刻んだのだけれど。僕は違う。単純に方向性が違う。僕は人を殺した。呪力で殺した。呪術で殺した。術式で殺した。この手で殺した。頼まれて、気紛れに殺した。そう、つまり、呪詛師ってわけ。元々僕の首には賞金が掛かっていたけど、それが跳ね上がった。え〜ふっしぎ〜呪術師でも首を狙われたけど、呪詛師でも変わんないんじゃ〜〜〜ん。でも、命を狙われる回数は減った、まともな術師は、僕の首なんか狙わない。だって、圧倒的に僕のが強いし。それに僕は、僕を殺しに来たやつに容赦しない。術師だろうが、非術師だろうが、別け隔てなく殺す。逆に殺さないときは、単純に気乗りしないときだけで、それこそ別け隔てなく殺さない。気紛れだ。
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