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    Cxcy75jjuu

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    725♀前提(正確には72←5)の七五♀(これも正確には7←5)なので72←5♀←7という図

    12/24の失恋アプリを通して連絡が来た。
    「お疲れサマンサ〜あのねぇ、七海、家、勝手に入ってもいい?」
    やけに明るい声だった、元気な声だった。
    「私はまだ京都ですが」
    「わかってるよ、だから言ってるんじゃん?えらいねぇって褒めてくれてもいいよ」
    「………家主いないのに、侵入するんですか?」
    「うん。七海のお家、僕は好き。七海が生きてる匂いがする。あ、そうだ。黒閃キメたんだって?それも連続4回。すごいよ、七海」
    「そんな情報がもう伝わってるのですか?」
    「まあね」
    12/24、夏油傑が起こした百鬼夜行を制圧すべく、七海は京都に居た。夏油が放ったと思われる呪霊と対峙した。高専が取っていた黒閃連続記録を塗り替えたのだった、全くここだけ見ると呑気なもので、まるでスポーツかなにかのように思える。
    七海は電話を受けつつ、高専から支給されているタブレットを引き寄せ、今回の一件についての流れに目を通した。その間も、五条はゆるゆると元気よく話していた。
    「まあ、なにはともあれ、だね。ねぇ、お風呂も入っていい?」
    「は?」
    ガサゴソという音がした、聞き慣れたピといつスイッチを押す音と水の音だ。
    「もしかして、既に私の家に居るんですか?」
    「せいかーい。温泉の素入れよ〜なんにしようかな、どれにしようかな〜」
    「あの、五条さん。わかってるんですか、あなたは女性ですよ。交際をしているわけではない男の家に勝手に入り、お風呂に入るのはどうなんで、……」
    報告書の終わり。夏油特級呪詛師は五条特級呪術師の手により処刑、の一文。
    「五条さん、あなた」
    「ん〜お風呂だからじゃあね。京都楽しんで」
    ぷつん、と勝手に切れた。
    五条悟が夏油傑を処刑した。七海はその文字の羅列をなぞった。知らない人間ならば、たったそれだけの事実。ただ、あの時代を見た人間ならば、それば酷く重くのしかかってくる。別に、五条さんにさせる必要はなかったのではないのかとか、いや、きっと彼女が望んだのだろうけれど。
    五条と夏油は親友であった。
    それでいて、五条は夏油に恋をしていた。夏油はそれを恋とは認めなかったし、五条に想いを伝えることを許さなかった。そうして、離反して、消えた。そうして、五条の手によって、死を迎えた。
    七海は舌打ちをする。本当は京都にもう一泊してゆっくりしようと思った、けれど、帰ろう。直ぐに新幹線のチケットを取って、終電に飛び乗った。





    日付は変わっている。12/26となっていた。ひどいクリスマスだったなと思う。呪術師の多くが散々なクリスマスだったなと思っているに違いなかった。玄関にはロングブーツが立てかけられていた。入ってすぐ、右手に風呂場が存在して、奥の部屋はなにひとつ電気がついていないのに、そこだけ爛々と電気がついていた。
    「は」
    京都で電話を受けたのは、3時間も前だった。そんなこと、あるだろうか。風呂に入り続けているなんて。
    「五条さん!」
    脱衣所に入った。おざなりに服が脱ぎ散らり、携帯もそこに転がっていて、通知が入っているのだろう、ぺかぺかと光っていた。風呂場と脱衣所を仕切るすりガラスのドアの向こうに声をかけたが反応がない。まさか、彼女に限ってそんなことは、いや、まさか。
    「入りますよ」
    ドアを押し開ける。冷たい空気、浴槽から、白く細い腕がだらんと垂れ、それに白い頭が乗っかっている。血の気が引いた。七海は最悪の想像をした。
    「五条さん!」
    腕に触れると、酷く熱かった。生きている。
    「五条さん!!」
    「んぁ……」
    長い睫毛が揺れて、だるそうに瞼を押し上げて、あおの瞳がのぞく。
    「ななみ?おかえり……」
    肌は白いが、頬が異常に赤い。逆上せている様子ではない、頬に触れると熱い。
    「あなた、熱があるのでは」
    「……え、そう?」
    「お風呂上がってください」
    他人の風呂からあがるのを見る趣味はない。靴下を脱ぎながら、風呂場から出ようとするが、直ぐに呼び止められた。
    「はい?」
    「力、入んない」
    五条は、荒い息をこぼしながら、浴槽に手をかけるが、体が持ち上がらないようだった。
    「なん…」
    「七海、」
    五条は明らかに熱がある瞳を七海に向けた。
    「手伝って」
    湯は温泉の素により白く濁りっているが、五条は裸だ、裸体だ。異性である。普通の風呂で体にタオルを巻くなんてないだろうから間違いない。
    けれど、拒否しないのを五条はしっている、甘え、信用、信頼、男としては見ていない、見られていない。
    七海は深い溜息をついた。
    「立てるんですか?」
    「立てないかも」
    「待ってください、準備をします」
    脱ぎ捨ててあった服を籠の中に放り込み、脱衣場にタオルを敷いた。五条に着れそうな服も用意してやる。帰宅したままのコートやらジャケットを脱いで、濡れてもどうにでもなる格好になった。
    「抱き上げて、あそこに寝かします」
    「うん」
    湯船に腕を入れた。湯は既に冷え切っていて、熱を出してもおかしくない。
    「なんでこんな冷たい風呂に入ってるんですか」
    「わかんない。寝て起きたら、冷たかったんだよ」
    「風呂で寝ないでくださいよ。死にますよ」
    「うん」
    五条の身体に腕を回し、持ち上げた。
    「う、」
    「え、重い?ゴメンネ」
    違う、逆だ。軽すぎて、入れた力が勢い余ったのだ。
    「おひめさまだっこ」
    ふふ、ひひと五条はわらって、七海の首に力なく腕を回した。
    「すぐおろしますよ」
    七海の首に回した手は髪を撫で、固めていた金髪をぐずくずにした。水がたらりと落ちてくる。
    「やめてください」
    脱衣場に広げたタオルに下ろす。五条はされるがまま、腕も足も全て投げ出した。七海は、裸婦画をみている気分になった。もっと言えば、彼女の体は情を誘うものではなく、痛々しさまで感じる始末だ。目が行くのは、乳房より浮いたアバラ、細い腕、腹、足、現代社会に生きる人間か、不安になる細さ。タオルで隠し、拭いてやる。
    「まともな食事を取ってないでしょう」
    「カロリーは取ってるよ」
    「カロリーでは、ひとは生きていけません」
    「そうなの。知らんかったな」
    都合が悪くなったと首を反らす。
    「いつから」
    「………」
    概ね、夏油が百鬼夜行の宣言をしたあたりか。己のこととなると大雑把だが、夏油が絡めば過剰なほどに繊細だ。
    ざっと拭き、Tシャツを着せた。女性用の下着があるわけもなく、なにもつけていないわけだが、こればっかりはどうにもならない。
    「服は洗います」
    「うん。…擦れてなんか変な感じ」
    へへ、と笑ったのを見て、どこがとは聞かなかった。再度、抱き上げる。今度は横抱きではなく、縦に。
    「ぐえ」
    「なになら食べられますか。おかゆくらいならすぐ作れますよ」
    「茶碗蒸し」
    「は?」
    「具無くていいから、茶碗蒸し食べたい」
    そんな戯言を聞きながら、広くはないリビングを横切り、寝室へ。ベッドに下ろす。
    五条の額に手をやると、やはりかなり熱い。
    ベッドサイドの引き出しから体温計を探り、脇に挟む。すぐに鳴って引き抜いたが、その温度に眉を潜めた。
    「なんど」
    「38、9。よく普通に喋れますね」
    「あははウケる」
    「ウケませんよ」
    毛布と掛け布団を肩までかける。
    「寝てください」
    「茶碗蒸し作ってよ」
    「作るのはいいですが、熱いですよ」
    「なら冷やして」
    「わがまま」
    「そういってやってくれるもん、ななみは」
    五条は熱で潤んだ瞳で見上げた。わかってやっているからたちが悪いのだと本当に思う。このひとはわかってやっている、それを理解しているのに、どうしてしてしまうのだろう。
    「作るので、大人しく寝ていてください。家入さんにも電話しますよ」
    「硝子は、京都に行ったよ」
    「は」
    そうか、そうだろう。百鬼夜行の被害は東京だけではない。七海は怪我はなかったが、京都で戦った呪術師が皆そうではなかった。反転術式を他人に施せる人間は希少だ。家入が京都に派遣されてもなんらおかしくない。
    「指示を仰ぐので」
    「ふぅん」
    だるそうに、七海に背を向けた。寝る気になったのか。部屋を暗くして、キッチンに向かった。




    「五条さん」
    汗で貼り付いた前髪を払い、熱さまシートをおでこに貼った。
    茶碗蒸しもどきを作ったあと、24時間営業のドラッグストアに駆け込んで、解熱剤と水分と五条が食べれそうなゼリーを買い込んだ。家入に電話をしようと思ったが、深夜2時を回っていたこともあり、メッセージアプリで現状だけを送った。そして夜蛾学長にも似たような内容を送る。
    寝付いたかと思っていたが、五条はパッと目を開けた。
    「寝てなかったんですか」
    「あたま、いたい」
    熱を測るが全く下がっていない。
    「茶碗蒸し、食べれますか?解熱剤飲みましょう」
    身体を起こさせると酷く顔を歪ませ、頭を抱える。
    「水分どうぞ」
    ペットボトルにストローをさして口元に持っていく。ちゅるちゅると飲んでいる。こどもみたいだと思った。
    「茶碗蒸しです」
    蒸し碗は家になかったため、茶碗で作った。具材のない茶碗蒸し。
    五条は緩慢な動きで、ゆっくりと匙を持ち、茶碗蒸しに突っ込み、持ち上げ、口元に運んだ。
    「白だしだ」
    「嫌いですか」
    「おいしい」
    「食べれるとこまででいいので」
    見られていては食べにくいだろうの七海は腰を上げたが、呼び止められる。五条はじぃと見た。
    「居てよ」
    「なぜ」
    「居てほしいから」
    ベッドの端に座り直した。熱で顔を真っ赤にしながらふと笑って、食べるのを再開する。それをただ、眺めた。碗に入ったそれを食べるのにたっぷり30分かかった。
    「解熱剤です」
    「うん」
    差し出されたものを水で飲み込む。
    「では、おやすみなさい」
    「いやだ」
    「は?」
    「居てよ」
    「なぜ」
    「居てほしいから」
    さっきと全く同じやりとり、ただ続きがあった。
    「一緒に寝て」
    五条はそんなことを宣う。
    「あのですね、五条さん。あなたは女で、私は男なんですよ」
    「知ってる」
    「早く寝てください。あなたには休息のが必要です」
    こんな問答よりも。
    「じゃあ、手を握ってて」
    「それで寝るんです?」
    「寝れるかはわからないけど」
    「椅子を持ってきます」
    リビングからダイニングチェアを持ってきて、ベッドの横に置いた。五条は手を出してきて、仕方なく握る。
    「ななみ」
    「はやく寝ましょう」
    「僕ね、傑のことが好きだったんだ」
    思わず息を飲んだ。五条は、七海の指の節を撫でながら、表情無く、続ける。
    「硝子にも言われたけど、とんでもなく悪い男に捕まったんだよ」
    はじめての恋だった。好きになるということ。これは親友への想いじゃないって気付いてた。傑は全部わかってた。言わせてくれなかった、酷いやつ。僕が五条悟じゃなかったら、適当に付き合って、エッチしてくれたのかも。そのくらいだったら、悪い男につかまったな〜ってくらいで終われたんだろうなぁ。でも傑しなかった。キスもしてくれなかった。手も握ってくれたし、抱きしめてもくれた、熱が出たとき、側に居てくれたし、茶碗蒸しだって作ってくれた。でも、僕のことをたったひとりの親友だって言った。男女に友情があるって、僕に言ったんだよ。酷いやつ、でも好きだった。でも、僕の手を放した。一人にしたんだよ、僕を。一人でも最強なんだって。家族を作ったんだって、理想を掲げた。それも意味のわからん理想を夢想した。親友だった。
    「僕が傑を殺した」
    こんな悲劇ってある?笑っちゃうよね。好きだったんだよ、傑が助けてって言ったら僕はすべてを捨てて助けてた。しなかった。しなかった、僕に殺されるの望んでた。馬鹿みたい。僕は傑が好きなのに。パズルのピースみたいにぴったりとハマって、僕の半身だと思ってたのに、居なくなった間、傑のことをずっと思ってたのに、こんな終わりってある?
    「初恋が実らないって本当なんだね、最強でも実らないんだよ」
    ずびと鼻を啜った。瞬きをするとぽたぽたぽたと涙が滑った。
    「初恋が実らないのは、わかります」
    長い独白を聞いて、七海はそうとだけ返した。
    「ななみも?」
    「ええ」
    捕まえられた手とは反対の手で、五条の白い髪をかきあげて、頬を撫でた。
    「寝ましょう、五条さん。手を握っておきますから」
    「………うん」
    手で、五条の目を隠してやる。眠るべく、瞼が落とされたのが長い睫毛が揺れて手のひらをくすぐったのでわかった。そうして、息が寝息へと変わる。ゆっくりと手を外すと、疲れた寝顔が現れた。
    七海は、溜息をつく。五条の右手を両手で包んで、呻きながら、ベッドに頭を押し付けた。
    初恋は実らない。
    七海の初恋は、五条悟だった。




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    Cxcy75jjuu

    DONEじゅそしになったごじょうさん
    またのお越しを「うぃーういっしゅあめりくりっすまっす、うぃーういっしゅあめりくりっすまっす」
    口ずさむ、このフレーズが好きなので、僕は年がら年中歌っている。黒のカソックを着て、こんな歌を歌っていたらまるで教徒だけれど、僕は神に仕えるタイプじゃないし、そもそも一神教って好きじゃないのよね。神様って沢山居てもいいじゃない。宗教論争をしたいわけじゃないので、控えておくけれど、どっちかてと僕は崇め奉られる方なんだよね。
    僕の名前は、五条悟。呪術師にして、史上最悪の呪詛師だ。加茂家のおっさんを越えた。ま、といっても加茂憲利のおっさんは倫理観の欠如したマッドサイエンティストの毛が強くて、呪術界に名前を刻んだのだけれど。僕は違う。単純に方向性が違う。僕は人を殺した。呪力で殺した。呪術で殺した。術式で殺した。この手で殺した。頼まれて、気紛れに殺した。そう、つまり、呪詛師ってわけ。元々僕の首には賞金が掛かっていたけど、それが跳ね上がった。え〜ふっしぎ〜呪術師でも首を狙われたけど、呪詛師でも変わんないんじゃ〜〜〜ん。でも、命を狙われる回数は減った、まともな術師は、僕の首なんか狙わない。だって、圧倒的に僕のが強いし。それに僕は、僕を殺しに来たやつに容赦しない。術師だろうが、非術師だろうが、別け隔てなく殺す。逆に殺さないときは、単純に気乗りしないときだけで、それこそ別け隔てなく殺さない。気紛れだ。
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