グルーシャとチョウジジムの人たちの話 彼と初めて出会ったのは、ぼくがもっと幼くて、彼の頭にもまだ焦げ茶色の髪が混じっていた頃だった。
その当時、ぼくはプロのスノーボーダーとして世界中の大会に出場していた。会場によって大きく変わる雪質やコースのパターンを知るため、それから新鮮な面白さやスリルを求めて、色々な場所で練習も積んだ。
スノーボーダーは世界中を探しても両手で数えるほどの数しかいない。ただでさえ数の少ないアスリートという人種に加え、雪山という競技の絶対条件がある以上、環境によって盛んな地域とそうでない地域があるせいだ。だから大会の出場者はほとんどいつも同じ顔ぶれだった。
パルデア地方と並ぶ盛んな地域は、遥か遠くのカントー地方とジョウト地方だった。ふたご島のタイガとレイジ、それからチョウジジムのフミヤ、ノリヒロ、キンジ。レベルの高いトリックをキメる同性で同年代の彼らたちとは、本気でぶつかり合える仲間であり良きライバルでもあった。
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