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    ajimon_bmb

    @ajimon_bmb モチェ中心にワンクッションおきたい文字置き場

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    ajimon_bmb

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    #モクチェズ版ワンドロワンライ
    3ライぐらいかかってしまった……モのマッサージを受けるチェちゃんで「声」をおかりました。任ドリバレありますが、自己設定に改変してます。

    モクチェズ版ワンライ_声 相棒として、彼のことをもっと知らねばと思った。数十年の放浪を全て把握することは難しかったが、とある国で伝説の整体師と呼ばれる、消息不明の人物がいると聞いた。伝手を使って調べて見れば、恐らくその正体は私の相棒だ。それを聞きつけた後、すぐさま整体用のマッサージベッドを手配して、あまり使われてないゲストルームの真ん中に配置した。
     
    「これ、どうしたの」
    「伝説の手技を披露していただこうかと」

     仕事を終えて帰宅したモクマさんを、挨拶もそこそこにゲストルームへ迎え入れる。困惑した表情ながらも促されるまま入室したモクマさんは、正面に鎮座するベッドを見て目を丸くし、訝し気に私を見た。
     
    「必要そうなものは一通り用意しましたが、足りないものがあれば仰ってください」

     言いながら調べた用品を積んだワゴンを枕元に引っ張り、どうぞ、とモクマさんを促す。
     モクマさんはベッドとワゴンと私を順々に見ながら、天を仰いだり、頭を抱えたりし、結局「分かった」とだけ言って頷いた。
     
    「私も着替えますので、モクマさんも準備をお願いしますね」

     そう言って互いにひとまずゲストルームを後にする。
     部屋を出る際、はぁ、とため息をつくモクマさんに、それほど嫌な記憶でもあるのだろうかと疑問と若干の良心の呵責があったが、それよりも己の好奇心が打ち勝って、ため息は聞こえなかった振りをした。

    ***

    「っても、もうかなり前だし、そんなに本格的なものはできないよ?
     あくまでマッサージぐらいのやつね」
    「ええ、構いませんよ。よろしくお願いします」

     調べた限り、上下の分かれたラフな格好で施術は受けるものらしい。半袖にハーフパンツ、しかもジャージー素材のストレッチウェアなんて、いつぶりに着るだろうか。慣れない素材感に居心地の悪さを感じながらも、これも相棒を知るためだと割り切って、特殊なベッドの上にうつ伏せになる。ヘッドの部分に穴の開いた形状は、顔を嵌める為のものらしい。ひんやりとしたフェイクレザーが顔面に当たって、ベッドの脚と床しか把握できない視界に、途端に体が強張った。
     
    「だいたい整体やマッサージなんて受けたことないでしょ。
     緊張すると痛いだけだから、リラックスしてね」

     上から降ってきた言葉に、自身の緊張を見破られたと思って羞恥心に見舞われる。やはりやめておこうかとも思ったが、こちらから促したくせにそれを翻すのは不本意であるし、元々あまり乗り気ではなさそうだったモクマさんに失礼な気がして、何も言えなかった。

     モクマさんの言う通り、整体やマッサージなどの経験はない。こんな無防備な姿を他人に晒すなんて考えたこともなかったし、そもそも他人に体を触らせることなどはあり得なかった。何をされるか、されているかが把握できないこの体勢は、いくら相手がモクマさんとはいえ気持ちいいものではなかったが、それでも彼は他人ではなく相棒だ。なるべく意識しないように、身体の緊張を抜いていく。

     無言を了承と取ったモクマさんは、何枚かのタオルを背中や足にかけ、準備を進めていく。
     こうも沢山タオルを使うのか、と初めての経験に驚きを交えながら、ブランクがあると言っていた割には流暢な手つきだなと思った。

    「じゃあ触るよ。まずは肩ね」

     ふわりとモクマさんの手のひらが私の肩に触れる。宣言があったおかげで強張りはしなかったが、やや手に力が入った。ゆっくり、じんわりと圧がかけられ、少しだけ息が苦しい。しかしそれはほんの最初だけで、モクマさんの手のひらが上下するタイミングに合わせて深呼吸すれば、自然と身体の緊張は解けていった。
     
    「力加減大丈夫? 痛くない?」
    「は……い、大丈夫、です」

     まるで押された分だけ身体が伸びていくような、疲れや緊張が溶けていく心地に、勝手に瞼が微睡んでいく。モクマさんは何やら説明しながら施術箇所を変え、どこそこが凝っているとか、ここはああした方がいいとか言っていた気がするが、そんなものは私の脳に届いていなかった。整体だかマッサージだか分からないが、こんなにも快適な体験があったのかと、夢見心地な思考はぼやけていき、最初の強張りが嘘のように、私の身体は弛緩していった。

    「おーい、チェズレイ、次仰向けになれる?」
    「え……えぇ、よろしく、おねがい、します……」
    「気持ち良くて眠たくなっちゃった?」

     片腕をゆっくりと引っ張られ、ぬるい泥にでも浸かったかのような思考が引き揚げられた。揶揄するような言葉も、あまりしっかりと咀嚼できないまま、ぼんやりした思考で言われた通り仰向けになる。
     いつの間にか閉じていた瞼を開けると、ピントの合わない瞳孔に照明が差し込み、まぶしさで少し思考が覚醒する。血管が拡張されたような血の巡りに、指先までがジンジンするほど身体が温められていることに気が付いた。
     いつの間にかクッションが挟まれた穴の部分に後頭部を預けて、目線だけでモクマさんを見る。起き上がった際に退けたタオルを再び私の身体に被せてから、ワゴンから取り出した新しいフェイスタオルを優しく私の顔にかけた。

    「顔にもタオルを……?」
    「ああ、眩しいでしょ」

     まぁそれもそうかと、再び瞼を閉じて身体を明け渡す。既に緊張感はなくなっていて、自分で言うのも何だが施術のしやすい状態になっていたと思う。
     
    「じゃあ次は、鎖骨の上ね」

     言葉からワンテンポ遅れて、タオルを挟んだ鎖骨の上を圧迫される。私の身体は無駄な力が抜けて、血流も巡り、二度目になるが施術のしやすい状態だった。――はずだった。
     しかし、仰向けになったことで瞼を閉じてもタオルの繊維をすり抜けて差し込む光が、モクマさんの影の動きを伝える。モクマさんの姿は見えないのに、その影が挙動を逐一教えてきて、言葉と共に触れる手のひら越しの体温を如実に意識させた。
     施術のしやすいと自負した身体が、ぎゅうと緊張するのを感じた。
     
    「ここ、緊張してるね。
     疲れてる? ゆっくりやろうか」
     
     見えない分、感じる影の動きが、降りかかる言葉が、次々に私の身体を拘束していくようだった。
     私の脳が取りこぼしていた解説的な説明は既に終わっていて、思慮するような言葉が脳に絡んでくる。ただ伝説とまで言われたその技術を、それを培うに至ったモクマさんの過去をうかがい知ろうと思っただけなのに、血液の流れが急加速して、顔が熱くなる。
     
    「もう少し下、触っていい?」

     ゆったりとしているくせに拒否できない声が首を絞めるようで、私は「はい」も「いいえ」も言えなくなる。上からかけられているはずの声が、腰から駆けあがってくるような、指先まで熱い身体の背筋がぞわりと震えるような、まるで私を侵食するように聞こえてくる。
     
    「最後、首触るよ」

     影の質量が頭側に回って、首元の髪をかき分けて裏側に触れた。タオルの隔たりがないそこは、初めて皮膚と皮膚が直に触れて、想像よりも高い体温の指に、思わず呼吸が引き攣れた。
     
    「――っ、ん」
    「チェズレイ、緊張しすぎ」

     耐え切れなく漏れた笑いは、明らかに私をからかった声だった。ぱっと離された手に、私は慌てて身体を起こしてフェイスタオルを取る。自分でも分かるほど紅潮した顔で、震える唇を噛みながらモクマさんを睨んだ。
     
    「俺さぁ、施術してるうちにお客さんがその気になっちゃう人が多くてね。
     それでクビになっちゃった」
    「あ、なたって、人は――ッ!」

     瞬時に冷やかされていたと理解して、舌を出したモクマさんにフェイスタオルを投げつけた。ひらりと躱されたそれは音もなく床に落ち、モクマさんは悪ガキのように笑っている。
     
    「でも、伝説の手管だったでしょ?」
    「――っ、知りません!」

     どくどくと早鐘を打つ心臓を隠すようにタオルを抱えてベッドを降り、即刻このベッドは始末しようと決意した。
     すっかり解された身体に若干の怠さを感じながらゲストルームを飛び出せば、「たくさん水分摂ってねー」と、伝説の整体師からのアドバイスが投げられたのだった。
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    Replies from the creator

    ajimon_bmb

    DONEモチェと新人構成員の話。おじさんは善人じゃなくてちゃんと悪党ムーヴしてほしいよ~~!って思って書いたら、思ったよりおじさんが嫌な人間になっちゃった……。でもチェ以外には自己中で独善的で逃げ癖治り切ってないおじさんがいいよ~~~~!(ワガママ) モチェですが構成員目線なので、ほぼモチェはでません。最後だけ。あとネームドモブ構成員もいます。
    悪人 足音、怒号、打撃音。下品な金の柱に、趣味の悪い赤い絨毯が鈍く反射している。そういえば、俺の元居た組織のアジトもこんなだったと、彼方にあった記憶がふっと蘇った。思い出して楽しい記憶ではない。乾いた銃声と共に意識は現実に戻って、リロードの隙に横っ面を殴り飛ばした。あ、デジャヴだ。と、またしても楽しくない記憶が蘇った。あの時の俺も、こうやって今の上司に殴られ、気絶したのだった。
     
     半年ほど前だろうか。いやもっと前かも知れない。時間の感覚が分からない程、自分を取り巻く環境が変わったのはこの1年の間だ。
     
     酒癖も金遣いも荒い男の元に生まれ、母親は立ちんぼ。立派に半端なならず者に育った俺は、殺された父親の代わりに地元の一番でかいマフィアの鉄砲玉になった。死んだ親父はどうだってよかったが、断れば母親と弟妹がどうなるかなんて分かり切っていて、俺に選択肢や拒否権なんてなかった。
    12686

    ajimon_bmb

    DONEおじさんの小指を噛みちぎろうとしたチェの話。モチェで当たり前のように同じベッドで寝ている。書きたいところをだ――ッと書いたので体を成していない。メモみたいな感じです。これはゲーム終了時点でおじさん裏切りifでもっと重苦しい感じで考えていたけど、様々を経ておじさん裏切りなんてifでもねえなガハハ!とモチェ圧にやられたのでこうなりました。一生幸福でいてくれや。
     本当に生きているのかと思う程美しく静かに寝る男から、珍しく衣擦れの音がした。
     スプリングが微かに沈む感覚と同時に、手袋をしていない指先が無遠慮に俺の腕をまさぐって、独特の冷やっこさに鳥肌が立つ。
     何かを確認するように皮膚の薄いところをなぞりながら手首を掴んで、手のひらと手のひらが重なった。

    (起きてはいない……ようだが)
     
     されるがまま、視線だけで確認してみる。長いまつ毛は呼吸に合わせて上下して、規則正しい寝息が鼻から抜けていた。
     一方で俺は。こうもぺたぺたと触られて、まどろみの思考が覚醒した。ぱっちりと目を開いて、それでも決して気配は気取られぬように。
     もちろん隣の男を揺り起こし、「どうした?」なんて無粋なことはしない。滑らかな指先が、俺の指の股を行ったり来たりするのを、なんだかちょっとエロいな、なーんて、そんな下衆い思考を楽しむ。
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