Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    佳芙司(kafukafuji)

    ⚠️無断転載・オークション及びフリマアプリへの出品・内容を改変して自作として発表する行為等は許可していません。⚠️
    リンク集【https://potofu.me/msrk36

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 77

    アッシュ誕生日(ジェイアシュ)。多分同棲しているX年後の世界。

    #ジェイアシュ
    j.a.s.

    日付変更線上の祝歌 そろそろ日付が変わるなと思った次の瞬間に朗らか、もとい騒がしい笑顔で誕生日を祝われた日も懐かしい。だいたいにしてその笑顔が既にうるさいのだ。仕事中は一欠片も見せない油断を、スイッチがプライベートに切り替わった瞬間に駄々漏れにするのだから気付かないようにする方が苦労する。気付いてほしいとか喜んでほしいとかいつもと違う反応が見たいとかの雑多な欲求が多過ぎるのも問題だ。こんな人間だからこそこの、人好きする年増の男を皆甘やかしてきたのだろうし、またその好意を甘んじて享受してきたからこそ受けた報いもあったんだろう。
     だからもうコイツを甘やかしてやれるのは俺しかいない。これは許容ではない、惚れた弱味などでは決してない。妥協と諦観、こちらが折れてやったのだ。
     今年もきっと、老いぼれはくだらない事を考えている。


    ***


     遥か海と空の向こうの子午線が二三時五五分の時刻を割り出した。
     もう計測上の一日は幾許もない、その僅かな時間を邪魔する可能性があった野暮な瑣末事はすべて片付けてきた。遮るものはなにもない。だからきっと待ちかねていただろうこの一言、あと数分で新しい歳を重ねる彼を言祝ぐ決まり文句を。

    「ビシッと決めて締め括るつもりだったんだけどなぁ」
    「いっそ清々しい小細工だな、ええ? この程度で驚く俺と思ったか」

     前回は日付が変わる瞬間に祝ったから今度は逆に日付が変わるギリギリまでハッキリとお祝いは言わないでおこう、という計画は本日より遡る事一週間前からあたためていたサプライズだった。しかし何処から漏れたのか、或いはこちらの考えそうな事などお見通しという事なのか。あっさりと見破って悠々と待ち構えていたターゲットは、態とらしくやれやれと肩を竦めて笑った。
     照準を合わせていたのは俺の方だった筈なのに、どうにも彼の前では見せたい格好良い自分でいられない。

    「次は諦めて正面突破するんだな」
    「おっ来年も祝わせてくれるのか!」
    「ああそうだ、挽回の機会を与えてやる」

     但し二度目はない。と言外に添えている眇めた眸は一旦見なかった事にして、いやぁよかったよかったと腰に当てている彼の手を捕まえた。ぎゅっと握ってしまえば両手は拘束したも同然になるというのに案外注意不足だ。気を許されていると思えばこそばゆい。逃がす訳にはいかない。

    「その機会には全身全霊で、今すぐにでも」



    〈了〉
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💕💕💕👏👏👏☺☺☺🙏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    佳芙司(kafukafuji)

    MOURNING出来上がってるオスアキのオスカーが昨夜の名残をジェイに見られてしまう的なアレ。
    男の勲章?(オスアキ前提オスカー+ジェイ)

     エリオスタワー内のジム設備があるフロアにて、こそこそとロッカールームに入っていく背中を見つけた。人目を気にするような、それとなく周囲を伺っているような。ただそのたった今入室していった人物がオスカー・ベイルだったので、ジェイ・キッドマンは思わず、んん? と声に出して首を傾げた。
     ジェイは以前、同チームのグレイ・リヴァースとトレーニングをした際に『人の目があると落ち着かないからロッカールームに人のいない時に着替えている』と話していた事を思い出した。彼は自分の筋肉のつきにくい体質や筋力不足を気にしていたようだが、果たしてかのオスカー・ベイルが、それを気にするような男だろうか。否や寧ろ逆であろう。
     オスカーがシャツを脱いでエリオスタワー内のジム器具を利用している様子は何度も見かけているし、自己鍛錬と研鑽に妥協のない男だから、まだまだだと冷静に己を見つめる事はあれど、人目から隠れて着替えようとするほど卑屈になる事はないだろう。ここは間を置いてから入るべきかと思ったが、もし何か思うところがあって体を縮こまらせているのならば、その悩みを聞くくらいは出来るし、何か人にいえないような怪我を負っているならば早急に確かめなければならない。
    1885

    佳芙司(kafukafuji)

    CAN’T MAKE【エリオ腐R】一進一退のお付き合い始めたばかりのオスアキ。書き続けるの飽きたので区切りのいいところでおしまい。
    恋人はじめ(オスアキ)あれ? と思った時には遅かった。
    たった今自分は何を言ったんだったか。思い返してアキラは瞬く間に顔を真っ赤に染め上げた。ぱくぱくと口を開いては閉じ、言葉にならない声が口から零れ落ちる。

    「あー、や……そのっ、お、俺は……っ!」

    言い訳しようとアキラは必死になって言葉を探ったが何も見つからない。熱が頬に集中してまともに頭が回らない。どうしようもなくなって両手で顔を覆うしか出来なかった。

    「うううう……」

    ヘナヘナとその場に蹲って回想する。どうしてあんな事を言ったんだ、うっかりにも程がある、馬鹿か俺は。頭の中で自分に文句を言う。しかし後悔してももう遅い。言ってしまった事は取り消せないのだ。

    「アキラ」

    思ったよりも近くから聞こえてきた声に驚いて勢いよく顔を上げると、更に思っていた以上に近くにオスカーの顔があった。じっと目を覗き込むように見られ、思わず後ろに身が引けた拍子にバランスを崩して尻餅をついた。その瞬間オスカーに肩を掴まれたアキラはなんとか背中から倒れずに済んたが、オスカーの顔を見上げる格好になって息を呑む。
    6988