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    佳芙司(kafukafuji)

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    POIPOI 81

    出来上がってるオスアキのオスカーが昨夜の名残をジェイに見られてしまう的なアレ。

    #オスアキ

    男の勲章?(オスアキ前提オスカー+ジェイ)

     エリオスタワー内のジム設備があるフロアにて、こそこそとロッカールームに入っていく背中を見つけた。人目を気にするような、それとなく周囲を伺っているような。ただそのたった今入室していった人物がオスカー・ベイルだったので、ジェイ・キッドマンは思わず、んん? と声に出して首を傾げた。
     ジェイは以前、同チームのグレイ・リヴァースとトレーニングをした際に『人の目があると落ち着かないからロッカールームに人のいない時に着替えている』と話していた事を思い出した。彼は自分の筋肉のつきにくい体質や筋力不足を気にしていたようだが、果たしてかのオスカー・ベイルが、それを気にするような男だろうか。否や寧ろ逆であろう。
     オスカーがシャツを脱いでエリオスタワー内のジム器具を利用している様子は何度も見かけているし、自己鍛錬と研鑽に妥協のない男だから、まだまだだと冷静に己を見つめる事はあれど、人目から隠れて着替えようとするほど卑屈になる事はないだろう。ここは間を置いてから入るべきかと思ったが、もし何か思うところがあって体を縮こまらせているのならば、その悩みを聞くくらいは出来るし、何か人にいえないような怪我を負っているならば早急に確かめなければならない。
     いつも通り接すれば大丈夫だ。ジェイは左手で生体認証を行い、ロッカールームに続く電子制御の扉を開いた。
    「ジェイさん?!」
    「お、オスカー……」
     オスカーの喫驚の声を聞くまでもなく、なるほど、とジェイは思った。正確には『あっふぅ〜ん、そうかそうかなるほどなぁ』と口の中で言った。
     確かにこれは、人目につかせたくなかったのかもしれない。オスカーの青褪めたり赤くなったりする顔色と、中途半端に首を通す前の段階で腕に通したままのシャツをどうにかする事も出来ないほど動揺した様子も、すべてがそれを物語っていた。
     同じ方向に、ほぼ平行に、同程度の力加減の、二本だったり三本だったりの、赤いミミズ腫れのような引っ掻き傷。そして上腕には丁度腕を下ろしていれば服に隠れて見えないような絶妙な位置に、赤い痣。
     もしかしなくても、これはつまり。
    「ははは、そうかそうか! 男の甲斐性……いや、勲章だなこれは!」
     我慢出来ずに足早にジェイは歩み寄り、オスカーの背中をバシリと叩いた。嬉しくて堪らず二、三度同じように叩いて、叩かれる度にオスカーは肩と首を竦め体を縮こまらせた。ついでに「うっ」と低く呻いた。明るく笑うジェイの横で、オスカーは小さな痛みに耐えつつ既に傷を負っている箇所に的確に狙いを定められているのかと疑ったが、スーパーヒーローは平時でも基本的な戦闘動作を忘れないのだから致し方ないのだと諦める事にした。
     こんなにも、日頃謙虚に控えているこのオスカーに、そんな情熱的な傷を残すような人物がいたとは!
     親戚の子供に恋人が出来たと分かった時のような晴れやかな祝福の思いで、ジェイは満面の笑みを向ける。オスカーは相変わらず萎縮したままで、遂に首を竦めて俯き空いた手で顔を覆った。
    「そんなに恥ずかしがる事もないだろう。いやぁ若さって素晴らしいな……っと、おじさんくさい反応をしてすまない」
    「い、いいえ……」
     オスカーは小刻みに震えるように首を振って、俯かせた目線をうろうろと彷徨わせた。前髪で隠しきれない頬から耳にかけてを紅潮させて、困り果てた表情で声量を小さく絞って訊ねる。
    「ジェイさん、その、お願いします……この事は、ブラッドさまには……」
    「ああ分かってるとも! ブラッド以外の他の誰かにも、他言はしないさ」
    「あ、ありがとうございます……」
     目に見えてホッとした表情を見せたオスカーは、ジェイに目線で促されて漸く中途半端に着ようとしたままだったシャツに首を通した。シャツを着てしまえばすっかり例の情熱的な傷跡は隠れてしまう。きっとそうやって上手く一日乗り切っていたのだろう——そこまで考えてジェイは思い至る。
     実はこういう事態を想定して、予めどの範囲なら他人から見えないかを計算可能になる程度には、慣れた関係なのでは?
     しかし憶測で予想するというのも野暮というものだろう。同じセクターのビリー・ワイズなら詳細な情報を得たがるかも知れないが、自分は情報屋ではないし、私的な事柄を訊ねてこれ以上オスカーを困らせるのも気が引ける。万が一にもブラッド、そして件の彼の耳にも入れる訳にはいかない。
     それにしても春が来ていたとはなぁ、とジェイはやはり頬を緩ませて今度は手加減してその肩を軽く二度叩いたのだった。

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    佳芙司(kafukafuji)

    MOURNING前にピクシブに投稿してたやつ
    Like a bolt from the blue.(HeriosR/キース×ブラッド)

    「とにかく聞いてくれ、俺は昨日お前等と飲んで、リリーが帰った後にジェイと二軒目に行ったんだ、其処でもしたたか飲んじまって、まぁその時は後悔してなかったんだけど、会計済ませた後になってから段々吐き気を催す方向に酔いが回っちまったんだ、何度も泥酔の修羅場を潜り抜けてきた俺も流石にヤバいなと思って意識がある内にブラッドに連絡したんだ、俺はその時リニアの駅前のベンチにいたから大体の場所と、あとマジヤバい水飲みたいって事も伝えた、ちゃんと伝わってたのかどうか不安だったけどとにかくもう何とかしてくれーって気持ちだった、意識飛びそうなくらい眠気もあったけど、スられちゃ困ると思ってスマホと財布を握り締めて俺は大人しく待ってた訳だよ、そしたら着信があってさ、出たらブラッドなの、アイツなんて言ったと思う? 『項垂れてだらしなくベンチに座っているお前を見つけた。今そっちに向かう』って言ってさ、だらしなくって余計な事言いやがって、こっちはもう気分は最悪だってのによ、んで正面見たらさ、いたんだよ、真っ直ぐこっち見て、人混みの中を颯爽と歩いてくるブラッドがさ……なんかもう、今お前が歩いてるのはレッドカーペットの上ですか? ってな具合に迷いなくこっち来んの、しかも上手い具合に人の波も捌けててさ、もう何がなんだか分かんねーんだけど、目が離せなくて、ぼーっとしてる間にブラッドは俺の近くに来て、またアイツなんて言ったと思う? 『待たせたな』とかクッソ気障な事言いやがったんだよ笑いながら、いや待ってたけど、待ちかねてたけどさぁ、その確信を持った態度は何? って、唖然としちゃうってもんだよ、しかもこっちが何も言わないでいたら一言も言えないくらい体調が悪いのかって勘違いしたのかどうかは知らねーけど、わざわざ近寄って『立てるか?』とか訊いてくるし、いや立てるからって思って立ち上がろうとしたらさ、情けねーけど腰抜かしてたみたいで、よろけちまったんだよ、でもアイツは平然とこっちの腕引いて、オマケにアイツ、腰まで抱いて支えてきてさ、もう大混乱だよ明日雹でも降るんじゃねーのって思った、この天変地異の前触れを予感して困惑する俺を尻目にアイツは『手のかかる奴だな』とか笑いやがってさぁ」
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    佳芙司(kafukafuji)

    TRAININGエマ視点→【https://poipiku.com/3176962/6268101.html】

    『Let’s take the long way home sometimes.』
    ゆめくろのグランフレア×エマちゃん(グラン視点) マイスターボードにメッセージの着信を知らせる音が鳴った。先程エマに送った、仕事が終わったら迎えに行くという旨のメッセージに対する返信で『なるべく早く仕事を終わらせるから』とスタンプ付きで書かれていた。
     忙しいだろうに、わざわざ返事を送ってくれる気遣いが嬉しい。小さな約束を交わせる事がこんなにも心をあたたかくして満たされるなんて、今まで知らなかった。迎えに行く事を許される事も、帰りが待ち遠しいと思う人がいる事も、全部この上なく喜ばしい。
     エマは連盟本部所属のギルドキーパーとして、国を越えて様々なギルドと連携を取り、調整と便宜を図る役目を担っている。更には自分達『月渡り』のためにも日々駆け回っている。只でさえ忙しいのだからと、彼女の負担を減らすためにも報告書の提出時にはミスのないよう注意深く確認し、送られてくる依頼書だけでなく請求書や明細書にもきちんと目を通すようメンバーに徹底させている。クロウは努力しているようだがイツキやノアにはなかなか難しいようで、ルージュは言わずもがなのため、なんとか体裁を取りまとめるのは結局リーダーの自分の役割だ。
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