1昔話を聞いてくれるかな?
私の名前は「五条実」。
「実」は「みのる」と読む。
本当は「みのり」という名前のはずが、私が生まれて有頂天になった父が出生届けのふりがなを間違えた。
名前だけ見て私を男だと思う人がたくさんいた事は言うまでもないが、すぐ覚えてもらえる名前なので子供の頃は嫌だったが現在は特に気にしていない。
しかし当時母は怒り狂って離婚を申し出たそうだ。
そんな私の母。
母は五条家の人間。
父は非呪術師、つまり一般人。婿入りしたかたち。
五条家には色々しきたり?があって、ちょっとその辺りから説明しておきたいと思う。
御三家の一つ五条家。
呪術系の家系で唯一六眼が生まれる血筋。
しかし、長い呪術師の歴史と世の流れの中で術式どころか殆ど呪力を持たない人間も多く生まれるようになり、3つの条件を満たせば五条家のしきたりから離れる事ができるようになった。
1、「五条」の姓を終わらせない事。男児が生まれない場合は婿を迎える事。
つまり母がこれ。
2、男児でも女児であっても、6歳になるまでに一度本家を訪れ術式の有無を確認する事。呪術師の才有りと確認できた場合は本家にて修行を行う事。
そして3つ目。
「離籍から7代目まで術式を持つ子供が生まれなかった場合は五条の姓を名乗るのを止めて永遠に関係を断つ事を許可する」
母は6代目の術式を持たない一人っ子の子供で、これまた一人っ子の私が最後の7代目のはずだった。
だった。