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    Walnut_51

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    Walnut_51

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    モクチェズワンドロワンライのお題"オフィス"をお借りしました。
    モブ視点から見た2人のお話で、モクチェズ本人たちは出てきません。

    #モクチェズ
    moctez

    顔も知らないあなたへ「ドレミ財団さんへ、お届け物でーす!」
    軽快なノック音ととに、扉の外から威勢のいい声が聞こえる。はーいとオフィスの薄い扉を開けると、見慣れた配達員の青年が、額に汗と砂つぶを輝かせながら立っていた。
    彼の背後には大きな段ボールがたくさん見え隠れしている。
    大層な荷物の送り主はナデシコ・レイゼイ?住所はミカグラ島……って、確か極東のリゾート地だったような。
    ミカグラ、聞いたことあるな……なんて考えながら、青年を待たせるのも申し訳がないので急いでサインをする。

    「アラナさーん!ミカグラ島のナデシコさんって方からお荷物届きましたー!」
    はーい、と明るい返事と共に、玄関へやってきたアラナさんも、随分な荷物の量に驚く。
    「すごい量ね……ああ、ナデシコさんから!」
    送り主の名前に心当たりがあるようで、彼女の空気が和らぐ。

    なんだなんだと集まった財団事務局のメンバーたちと封を開けた荷物の中には、立派な芋がたくさん。なんでも、ナデシコさんはミカグラに住むアラナさんの友人で、この芋はミカグラの名産品らしい。

    荷物に紛れた手紙を読んでいるアラナさんを横目に、我々は袋や箱を持ち寄って芋の取り分けに大賑わい。
    いくつもあるの段ボールを開封し、子供たちと食べる分と、事務局メンバーの家族に分ける分と……わいわいと取り分けていると、アラナさんが私の肩を叩いて賑わいの外へ連れ出した。

    「アンタのボスの分、確保しといたよ」
    そう言って上等な芋が入った紙袋を渡された。
    「ナデシコさんからの手紙に、モクマさんもこの芋が好きだって書いてあったからさ」
    あなただったら届けられるでしょ?といたずらっ子のような笑顔でアラナさんは私を見た。
    私のボス、名前も知らない人。そうだ、モクマさんの出身ってミカグラだった。
    「……ありがとうございます、送っておきます」

    ドレミ財団を裏で支える組織、私の正式な所属先だ。と言っても、所属先の正式名称も知らないけれど。世界中を飛び回るボスを、財団に身を置きながらサポートするのが私の仕事。
    ボスとは基本メールのやり取りのみだが、モクマさんという人からはたまに電話がかかってくる。モクマさんはボスの相棒だそうで、仕事先で起きた面白いことや美味しいものの話を聞かせてくれる気のいいおじさんだ。調子のいい話をしながら、その実は、財団と組織の間で仕事をする私を気遣ってくれているように思う。会ったことはないけれど、モクマさんのことは結構好き。
    そういえば、ボスから次の拠点へ届けてほしい物資のリストが来ていたっけ。その荷物にこの美味しそうな芋も紛れさせてみようかな。

    ボスから届くメールは事務的で、メールを見るだけでは彼(彼女かもしれないけど)は結構冷たい人のように感じる。でも、モクマさんが電話の中で話す”大将”はメールから感じるのとは随分違う、素敵な人のようだった。だって、”大将”の話をするときのモクマさんはなんだか声が穏やかだ。たまにしか話してくれないけど。
    物資のリストにないものを送るなんて今までしたことないれけど、きっと喜んでくれるよね。今回は手紙も添えてみようかなんて、詮索しないことを条件に始めた今の立場で、許してもらえるだろうか。
    顔も知らない2人はきっと喜んでくれるという妙な自信と共に、今日は人生で初めて便箋を買って帰ることを心に誓った。
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    つばき

    PROGRESSモクチェズ作業進捗 大人になると大事なことほど言葉で伝えなくなる。

     それはお互いに言わなくてもわかるだろうという共通認識があるからでもあるし、言葉にするのが気恥ずかしいからでもある。
     だから俺達の関係性についてわざわざ明言したことはなかった。「相棒」であることは間違いないし。チェズレイも直接的な物言いをするタイプではないから言葉遊びも多いし。掘り下げんでいいかい?とはぐらかす癖もまだ直っていないし。とひとしきり脳内で言い訳を重ねたところで、頭を抱える。

    (昨日のはもう、言い訳しようもないよねえ……)





    「チェズレイ、もう寝るかい?」
    「いいえ、まだ付き合いますよ」
     下戸だと言ったチェズレイが晩酌に付き合ってくれる夜は日常になりつつあった。晩酌といっても全く飲まない時もあれば、舐める程度のお付き合いの時もある。でもその日は珍しく、二人でどぶろく一瓶を空けようとしていた。
     顔色も声色も変わっておらず、ちょびちょびとお猪口を傾けながらしっとりとお酒を楽しんでいる。ように見える、が動作が少し緩慢で目線はお猪口の中の水面に注がれている。まだまだ酒には慣れておらず、やはり強くはないようだ。
     ぼ 2758

    izayoi601

    DONE思いついたので一人飯するじょしょどのの話。台詞などでも西涼二直の中ではじょしょどのが一番食事好きな方かなと妄想…脳内で色々分析しながら食べてたら良いです…後半は若も。庶岱と超法前提ですがもし宜しければ。ちなみに去年の流星での超法ネップリと同じ店です。
    早朝、一人飯「これは、まずいな……」
     冷蔵庫の中身が、何も無いとは。すでに正月は過ぎたと言うのに、買い出しもしなかった自らが悪いのも解っている。空のビール缶を転がし、どうも働かない頭を抱えつつダウンを着るしかない。朝焼けの陽が差し込む中、木枯らしが吹き付け腕を押さえた。酒だけで腹は膨れないのだから、仕方無い。何か口に入れたい、開いてる店を探そう。
    「……あ」
    良かった、灯りがある。丁度食べたかったところと暖簾を潜れば、二日酔い気味の耳には活気があり過ぎる店員の声で後退りしかけても空腹には代えがたい。味噌か、塩も捨てがたいな。食券機の前で暫く迷いつつ、何とかボタンを押した。この様な時、一人だと少々困る。何時もならと考えてしまう頭を振り、カウンターへと腰掛けた。意外と人が多いな、初めての店だけれど期待出来そうかな。数分後、湯気を掻き分け置かれた丼に視線を奪われた。
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