ふしぎなのかかん3盗賊のバンという男がいる。強欲のあまりか、欲しいと思った物を引き寄せ手に入れる魔力まで身につけてしまった。とは言え心底非情というわけでもない。育ちも酷いものだったが生来の性質ゆえか楽観的な男で、刹那的ではあるが呑気な面もある。そんな男が《生命の泉》の噂を耳にした。
珍しいお宝、と聞けば手に入れたくなる性分だ。永遠の生命とやらに興味津々ということもないが、「長く生きられるなら、そのうちいい事もあるだろう」という非常にお気楽な動機で、彼は早速お宝探しに出かけた。聞けばその泉とやらは、恐ろしい聖女が守っているらしい。ただの盗賊は言わずもがな、百戦錬磨揃いの軍隊もあっという間に無慈悲に一掃してしまうとか。そんな化け物が数百年間守り続けている宝と聞いて、バンは俄然やる気が溢れ出てきた。無理と言われると余計に挑戦したくなる。お宝は宝そのものはもちろんだが、それを手に入れる過程もお楽しみなのだ。