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    bell39399

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    bell39399

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    そろそろ仲良しになるはず☺️

    ふしぎなのかかん6 バンは何度落とされてもめげなかった。普通ならば助かるはずのない高さから落ちているにも関わらず、茂みやらきのこやらの自然のクッションが味方してくれたのだ。登っては落っことされ、登っては落っことされ、また更に登った時についに少女が「しつこい!」と叫んでバンを何処からともなく伸びてきた木のつるでぐるぐる巻きにした。
    「人間には関係ないかもしれないけど、あの泉がなくなると森が枯れちゃうのよ」
     しつこい少女は怖い顔で説明する。バンはへぇ、と思った。飲めば永遠の命を授けられるという便利グッズは、人の為の物ではないらしい。食いしん坊かつ飲んべえのバンは(森がなくなればうまいエールの原料がなくなる)と理解し「解った」と素直に頷いた。この森でとれるベリーから作られるエールは一番のお気に入りなのだ。それがなければ永遠の命なんてあってもすこしも意味がない。
     少女は呆気にとられた顔をして、それから疑うように眉間にしわを寄せたが、今度は不思議そうな顔をしながらバンを解放してくれた。バンが名乗ると彼女も「エレインよ」と自分の名前を教えてくれた。
    「所でエレイン」
     改めてぐるりと周りを見回したバンは、場違いすぎる物に視線を戻した。
    「何だありゃあ」
     テレビである。問われたエレインはなぜかフフンと誇らしげに鼻を鳴らして胸を反らし、よく聞いてくれたとばかりに答えた。
    「いろんなものを映してくれる魔法の箱よ! すごいでしょう」
    「……テレビじゃん♪」
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    bell39399

    MAIKINGバンエレ水浴び一人アンソロその1(2以降があるかは謎)

    途中まで書いたやつポイ。
    一人称に直すかも。なんとなく
    それを見た時、バンは幻を見たのかと思った。もしくはまだ寝ぼけているのか。
     

     夜中、水音を聞いた気がしてふと目が覚めた。もとより熟睡することのないたちだったが、この森に来てからは妙によく眠れる。にもかかわらず、だ。それに何故か少し冷える。
     その原因に気づき、思わず自嘲した。なんの事はない、隣で寝ていたこの森の聖女がいなかっただけの事だ。
     この森も、この森である秘宝を守っているという少女も奇妙な事だらけだった。安らぎやぬくもりとは無縁の生活を送ってきたバンだったが、ここに来てからは気持ちが凪いでいる。不思議なことだが本能で警戒する必要がないと感じていた。
     エレインと名乗る妖精少女(本人曰く千年は生きているらしいが)とのやり取りも実に愉快だった。彼女はバンの他愛のない話を夢中で聞いて、四季のようにくるくると表情を変えながらバンの言葉の一つ一つにいちいち反応する。時には金色の睫毛を伏せ、時には頬を膨らませ、そして何よりよく笑った。バンは彼女の笑顔で初めて「花が綻ぶような」という形容の意味を知った。
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