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    bell39399

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    bell39399

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    史実?に基づききゅうせっきん!

    ふしぎなのかかん8 二人はあっという間に意気投合した。バンが持ち込んだ、今まで飲んだエールのラベルを集めた《エールラベルコレクション》と、それらにまつわるバンの思い出はエレインをテレビ以上に夢中にさせたし、一緒にテレビも観た。不思議なことに一緒に観るテレビは一人で観るテレビよりも何倍も楽しく感じた。
     今観ているばんぐみはエレインお気に入りのお菓子を紹介するばんぐみだ。以前も観たような花々や宝石のようなお菓子を紹介していた。
    「すごい綺麗な食べ物ね」
     エレインがうっとり言うと「これくらいなら作れるな」とバンが呟いたのでエレインはびっくりしたし、思わず久々に反射的に心まで読んでしまった。が、そこには嘘など何処にもない。あまりにもぽかんとした顔をするエレインに思わず吹き出したバンは、「材料がねぇから凝ったもんは作れねぇが、これくらいなら」とあっという間にリンゴをウサギの形にしたり、皮に綺麗な花を彫って見せた。エレインはますます感激して「すごいわ、食べるのがもったいない!」を連呼した。
    「こういうものを作れる人間はいい人間なのかなって思ってたの」
    「カッカッ♫ で、実際はどうよ?」
    「変な人間!」
    「ヒデェな♪ でもま、いつでも作ってやっからよ♫」
     いつでも。
     その一言にエレインは嬉しく感じつつ、奇妙な痛みを感じて自分で自分の気持ちに首を傾げた。

     今のエレインは何百年ぶり、もしかしたら初めて毎日胸がワクワクする日々を送っている。もちろんその合間にやってくる悪い人間のお仕置きは変わらずきっちりこなした。頼んでもいないのにバンも手伝うようになり「かわいい顔してエレインは容赦ねぇな♪」と呑気に笑う。
    「そういうところ、好きだぜ♫」
    「……本当に変な人間……」
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    bell39399

    MAIKINGバンエレ水浴び一人アンソロその1(2以降があるかは謎)

    途中まで書いたやつポイ。
    一人称に直すかも。なんとなく
    それを見た時、バンは幻を見たのかと思った。もしくはまだ寝ぼけているのか。
     

     夜中、水音を聞いた気がしてふと目が覚めた。もとより熟睡することのないたちだったが、この森に来てからは妙によく眠れる。にもかかわらず、だ。それに何故か少し冷える。
     その原因に気づき、思わず自嘲した。なんの事はない、隣で寝ていたこの森の聖女がいなかっただけの事だ。
     この森も、この森である秘宝を守っているという少女も奇妙な事だらけだった。安らぎやぬくもりとは無縁の生活を送ってきたバンだったが、ここに来てからは気持ちが凪いでいる。不思議なことだが本能で警戒する必要がないと感じていた。
     エレインと名乗る妖精少女(本人曰く千年は生きているらしいが)とのやり取りも実に愉快だった。彼女はバンの他愛のない話を夢中で聞いて、四季のようにくるくると表情を変えながらバンの言葉の一つ一つにいちいち反応する。時には金色の睫毛を伏せ、時には頬を膨らませ、そして何よりよく笑った。バンは彼女の笑顔で初めて「花が綻ぶような」という形容の意味を知った。
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