ふしぎなのかかん13 テレビでは巨人の女の子と妖精の男の子が、人間の集落で和やかに過ごすさまが流れている。それをエレインはバンが見たことのない、得も言われぬ表情で、口を開け目を皿のようにして眺めていた。
「でもこれで話が簡単になったじゃねーか♪」
番組が終わった後も放心状態のエレインに、バンは快活に声を掛ける。エレインのろのろ顔を向けて、不安そうにバンを見上げた。
「そんな顔すんなって♪」
この一週間で聞いてきた中で、一番優しい声でエレインに語りかける。
「お前の兄貴、すぐに連れて帰ってやる。そんなにまたせねぇから。そしたら必ず……お前を奪う」