バンさんRE:BORNじゅうし 森での生活はのんびりなようで、その気になればいくらでも刺激的なリクレーションが楽しめる。
木やツルでアスレチックを楽しんだり、大きな動物と競争したり……。
そして今、バン自身がある意味アスレチックになっていた。
「バン様でっかーい!」
「変な感触!」
恐ろしげな黒くて大きな生き物が、エレインのお墨付きでバンだと知れた今、小さな妖精たちに大人気である。物珍しさから最初はやや遠巻きに眺めていた彼らもバンの周りにわらわら寄ってきて、その大きな身体によじ登って遊んでいる始末だ。バンとしては周りが喧しいから脅かすつもりで再び大きなサイズに戻ったというのに、見事に逆効果だった。
「だ、大丈夫、バン?」
エレインも苦笑しているが積極的には止めない。
「ぐおん……」
だからバンもちょっとだけ我慢することにした。
小さな妖精たちが登ったり降りたりするのでこそばゆい。しかし不快と言うわけではけしてない。ただ、獣の脳の奥底のほうで、ぼんやり懐かしい顔が小さな痛みと一緒に蘇った気がした。小さな女の子のような気がする。が、本人にもそれが何なのか判然としない。いつも呼ばれていた気がする。いつも後ろからついてきた小さい影。誰だっけ、エレインと一緒で寂しくなることってなんだろうか。
「バン」
そんなバンにエレインはそっと寄り添った。
「私はもうずっと、あなたと一緒にいるからね」