「三ツ谷、この前大寿と歩いてなかった?」
二人でドラケンを待っている最中、たい焼きをくわえながらマイキーが言った。それは何の脈絡もない質問で、三ツ谷が大寿と歩いていたのも最近の話ではなかったから、マイキーの突然すぎるそれ(いつものことだが)に一瞬反応が遅れる。
「いつの話? それ」
「いつだっけ? 忘れたけど、今思い出したから聞いた」
「あー」
なるほどマイキーらしい、と苦笑する。
たぶん直近で大寿と会っていたのは一週間前。原宿でクレープを食べていた時だと思うが、マイキーに見られていたことよりも、その時マイキーが割り込んでこなかったことのほうが違和感があると三ツ谷は思った。この男が変に遠慮だとかするわけはないし、こうして聞いてくるくらいだから興味がなかったわけでもないだろう。
1954