【現パロ】熱に浮かされ我儘を 「じゃあ、ザフォラ。私、何か作っちゃうね。お粥とかでいい?」
「………ああ、」
意識が朦朧とする中やっとの想いで返事をする。暫くすれば小刻みいい音が聞こえ、いい匂いがする。
(なんだか、懐かしいな…)
昔は。実家で暮らしていた時は母親もよく料理をしていてそれこそ今日のように熱を出したときはよく作ってくれていたものだった。
「ザフォラ!」
「!……お前、」
「お粥できたよ、食べれそう?」
「……ああ」
ティファリアが持ってきたのは素朴な香りを立たせる卵粥でよく実家で食べていたものに似ていて懐かしさを覚えてしまう。
「…って、オイ!何やってるんだ!?」
「何って冷ましてるんだけど…今のままじゃあ、自分で食べられないでしょ?だから食べさせてあげようと思って…」
「食べっ……俺だって自分で食べるくらい……」
「本当に?できる?」
「……う、」
真っ直ぐ見つめられれば嘘をつきとおすことはできず、結局食べさせてもらうことにした。
「……美味しい?」
「…まあまあ、だな」
「ふふっ…そう。【まあまあ】ね」
「…【まあまあ】って言ったのに変な奴」
「だって嬉しいの」
「…そんなのお前くらいじゃないか」
それでもティファリアはにこにこと笑っていて俺は呆れて何も言えず息を吐くことしかできなかった。
「すごい!ザフォラ、全部食べれたね。これならきっとすぐ良くなるよ」
「…子供扱いするな」
布団に潜り込む俺にそんなことを言うものだから勘に触ってしまうがティファリアには通用しないと分かって言葉を閉ざす。
「薬も飲んだし、ちゃんと寝るんだよ?」
そう言ってティファリアは俺の元を離れようとして、何故か俺はそれを引き留めてしまった。
「…ザフォラ?」
腕を掴まれ振り返るティファリア。俺は居心地が悪く、気まずいがしてしまったことを取り消せるわけではなく視線を外しながら言葉を零す。
「…行くな、離れるな、……傍にいろ。ティファリア」
子どもの我儘のように聞こえただろうか、と不安になったがそれに反して揶揄う色もなくティファリアは優しく、大人びた笑みを浮かべる。
「いるよ。いる。ザフォラの傍にいる。」
「……」
「他に何かしてほしいことない?」
「……俺の手を、握ってろ。俺が寝るまで……」
「うん…」
「……お前の手は冷たいな」
「ザフォラの手が熱いんだよ」
「…熱だからな」
「ふふ、そうだね」
「……ティファリア」
「ん?」
「熱が引いたら…この風邪を治したら…何か礼をするから、何か考えていろ」
「何かって、何でもいいの?」
「ああ」
そう言えば何か考えだすティファリアが可笑しくて笑った。そして俺が眠りに入るのもそう時間はかからず、俺が目覚めたあともティファリアは俺の手を握っていて可笑しくなって俺はひとしきり笑ってしまうのだった。
-Fin-