クリームの味 「うわ!なにこれ、すごい!甘い!」
「慌てなくても誰も取らないよ」
そう言ってユウキは雪波に笑いかける。
Θにやって来ていた二人、そこでクレープのワゴンを見つけ以前一緒にクレープを作ってからクレープが好きになった雪波の目は輝き、生クリームたっぷりのクレープを二人とも注文したのだった。
「ユウキのは?」
「チョコバナナだよ」
「僕のはイチゴ生クリーム!甘くて美味しい、ユウキも食べてみなよ」
ほら、とクレープを傾けられ遠慮がちに一口ユウキは齧る。
「…美味しい」
「でしょでしょ!?」
何故か誇らしげな雪波に笑い、そしてユウキも同じようにクレープを傾ける。
「雪波も食べる?」
「!…いいの?」
「もちろん。それに二人で食べた方がずっと美味しいんだから」
「…うんっ!」
以前、日向に一口が多すぎると言われたことを気にしてか雪波は遠慮がちに小さくユウキが傾けたクレープを齧った。
「遠慮しなくてもいいのに」
「だって…」
「私のことを気にしてのことかもしれないけど、私は楽しんで食べた方が嬉しいから。気にしないでいいんだよ?」
「でも、気にするよ!だって…デートだし!」
「…!」
雪波からの思ってもみなかった言葉にユウキは頬を染め俯くようにしてクレープをまた口に運んだ。
「あ、ユウキ」
「何、雪波ーー…」
と振り返った途端ペロリと唇の近くを舐められ思わずユウキは赤面したまま仰け反った。
「ゆ、ゆゆゆ、雪波…な、な、何してっ…」
「何ってクリームついてたから」
そう言ってけろりと笑ってのける雪波に脱力してしまうユウキ。
「も、もう!言ってくれないとびっくりするじゃない!」
そしてそれ以上に恥ずかしくて、ドキドキして堪らなかったユウキだったがそんなユウキを覗き込んで雪波は笑う。
「ユウキ、かわいい」
「えっ」
そしてしっかりと重ねられた唇にユウキは何も言えなくなってしまうのだったーー。
-Fin-