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    こーせん七が風邪ひいて皆でモチモチする話

    皆七海のモンペ

    誤字を見つけたら察してください…

    #七海建人
    sevenSeasBuilders

    後輩がかわいい後輩がかわいい


    高専、授業のない日曜日の昼。
    廊下で布の塊がズルズルと移動しているのを見つけた五条は何事かと近づいた。
    そして布の塊の正体を確認した瞬間吹き出した。


    「うっわ、何その格好!!めっちゃウケんだけど!!!!」
    「……………。」


    塊の正体は五条の後輩である七海だった。
    季節の変わり目で日々気温差があるものの長袖の上に一枚あれば過ごせる陽気。
    しかし七海は制服の上にパーカー、コート、マフラー、部屋から引き摺ってきたのか布団を頭から被っている。
    手には鉈を収納するバッグを持っていることから任務に向かうのだろう。

    北海道にでも行くつもりか?
    いや、北海道でもその装備は要らんだろ
    と、くつくつ笑いながら七海の顔を覗き込む。


    「建人くんはそんなカッコでどこ行くのかなぁー?」
    「………。」


    反応が無いのはいつもの事なので布団をむしり取り、マフラーやジャケットも脱がしていく。


    「北海道ならメロンとか食いてーなぁ、あ、もしかして北極とか行っちゃうかん…じ?」


    見ると七海の白い肌は普段見られないほど紅潮し、目もどこかぼんやりとしていた。


    「お前…」
    「さむい…」


    この言葉と状況を見れば引き出される答えは1つ。
    頬に手をそわせてみれば案の定ものすごく熱い。


    コレで寒いとかマジか


    カタカタと震える体に剥いだ衣服をいそいそと着せ直し、布団ではなく脱いだ自分のジャケットを被せる。

    「ほら、行くぞ。」と言えば、「どこに?」とも聞かず着いてくる。
    その姿はまるで…


    「ひよこみてぇ。」


    今日なら硝子が医学書を読みに医務室に入り浸っているはずだ。
    あと、夜蛾センにも連絡か。
    つかつかと歩きながら振り返ると七海がいない。

    は?と思ったが単純に長いリーチに追いつけなかっただけでよちよちと確実に向かってきていた。

    訂正、ペンギンみてぇ
    かわいい

    はぁ、と一つ溜息をつき元来た道を戻って七海の手をとる。
    おぶってやっても良いがかわいいし、後で七海にキレられても面倒だ。
    そう言い訳をして七海に合わせてのんびりと医務室に向かう。


    途中誰ともすれ違うことなく無事医務室に着いた。


    「しょーこー居るー??」


    「あー?五条か?」と医務室の奥の影から家入が現れた。


    「なに?」
    「あー、なんか七海が熱出したみたいでさ。寒い寒い言ってんの。」


    ほら、と七海を前に押し出すと家入はぱちくりといった様子で見つめる。


    「珍しいな。おぶって連れてきてやれば良かったのに。」
    「ペンギンみたいで可愛かったんだもん。」
    「何言ってんだお前。…今先生いないんだよね。」
    「別に勝手にやってても大丈夫っしょ。」


    まぁいいか、というように家入は七海を座らせ様子を見ていく。
    喉奥を確認し熱や扁桃腺の腫れをぺたぺたと確認しうるうるとした瞳を見つめる。

    多分ただの風邪だな

    ひとまず養護教諭が戻るまで寝かしとくか、と立ち上がろうとすると手を引かれた。


    「なに?」
    「…………。」


    七海はその手を自分の頬に当てぐりぐりと擦り寄る。


    は?かわいい


    ペンギンより猫だろと思いながらもう一方の手も当てぐにぐにと頬を揉む。
    五条には氷枕出しとけと指示をだし柔い感触を存分に堪能する。


    「あ!硝子ずりぃ!!」
    「うるせぇ、救護者の特権だ。」
    「俺だって医務室まで七海連れてきたし!」


    そう言って五条も後ろから七海を撫で回し始める。
    いつもしかめっ面の後輩が「むぅ…」と言いながらされるがままになっているのは可愛いし気分が良い。


    満足するまで捏ねられた七海は横になった途端眠りに落ち、先輩2人は寝顔を見ながらほわほわと花を飛ばしている。


    「あ、夜蛾センに連絡すんの忘れてた。」
    「あ〜あ、随分時間たってるぞ。」
    「しゃーねーな。電話してくる。」


    五条が立ち上がろうとした瞬間、扉がバンッと開いた。


    「七海いますか?!?!」


    現れたのはエプロンにおぼんを持った姿の灰原だった。


    「いるよ。」
    「え?!家入さんと五条さん?!」
    「どうしたの?」
    「あ、七海が部屋から居なくなってたので…どっかで倒れてなくて良かった〜!!」
    「あぁ。で、それは?」
    「お粥です!!作り方分かんなくて色々やってたら時間かかっちゃいました!」
    「大丈夫なのか?それ…」
    「味見した感じ大丈夫でした!」


    途端に騒がしくなった医務室に、起きてしまった七海はムクリと起き上がった。


    「ごめん!起こしちゃったね。お粥作ってきたよ!」


    明るい灰原の声に何故かムッとした表情を浮かべた七海はボスンとまた寝転んでしまった。
    そして「パンがいい…」と小さく呟くとぷいっとそっぽを向きいじける。


    くっ…かわいい…


    ダメージを食らう先輩達を横目に灰原は
    「七海のために頑張って作ったんだ、美味しいよ!」と、蓮華にひと口を乗せてフーフーと冷まし始める。
    灰原の慣れているさまを見て、そういえば妹がいたなと納得しつつ微笑ましく感じる。


    「ひと口でもいいから食べてごらん?」


    そう言って七海の口に蓮華を当てれば渋々といったように口を開けた。
    咀嚼し飲み込んでからも「パン…」と呟くが、もう一口というように口を開ける七海。
    それはひな鳥が親にご飯を強請るような姿で


    やっぱりペンギンか…?


    と思いつつその姿に後輩がかわいい…と再び意見が合致する。


    なんだかんだで食べ進み、しっかりとお椀が空になったのを見届け「うん!よく食べたね!えらいよ七海!」と溌剌とした声をかける灰原と、そう言われ満更でもなさそうな七海に先輩2人の胸は鷲掴まれた。

    そして、まるで投げたボールを持って帰ってきた犬のように後輩2人の頭を撫でまくる。

    「うぇ?!なんですか?!」と騒ぐ灰原を更に撫で回し、あっちこっちに行った髪を整えてやる。
    えへへ、と笑う灰原スマイルとそれを見て微笑む七海に今度は胸を撃ち抜かれながらも2人は先輩らしく真顔をキメるのだった。

    さて、食事を終えたということは看病イベントにおける1番の山場、お薬タイムがある。
    ちょうど医務室。風邪薬くらいあるし、なんなら硝子がいるため何をしてもそんなに怒られることは無いはずだ。

    棚を物色すれば錠剤も粉もあり、これは粉薬一択だろうと先輩2人は目配せをし合って頷く。
    やはり飲みにくい粉薬で眉をひそめたり駄々をこねるのが見たい。かわいそかわいい。
    酷い先輩だと言われようが知ったこっちゃないので、「ほら、薬だよ。」と何食わぬ顔で差し出すのだ。

    案の定七海はものすごく嫌そうな顔をした。
    それはまるで苦手な物を出された幼児のよう。


    っっっ!!!!親は私(俺)だ!!!!!!


    「うわぁ、粉か〜…苦いの残るし嫌だよねぇ…」


    灰原の言葉にコクリと頷きうるうるした目で見つめてくる七海に絆されてしまいそうになるが、「さっさと飲んで治せよ。」と薬を手渡す。


    その時、今度は静かにドアが開いた。
    顔を覗かせたのは夏油で「七海は居るかい?」と声をかけてきた。


    「あ!夏油さん!七海いますよ!」
    「お、傑じゃん。」
    「おす。」

    「おや、みんな居たのか。」
    「どうしたんですか?」
    「あぁ、これから七海と任務だったのだけど時間になっても来なかったからね。探しに来たんだ。」
    「やべぇ、夜蛾セン絶対ブチ切れんじゃん。」
    「連絡してなかったんですか?!」
    「電話しようと思ったらお前が来たんだよ。」

    「にしても、七海は風邪かい?」
    夏油がさらりと七海の前髪を分け真っ赤な顔を覗き込む。

    「……げんきでしゅ…」
    「…そのようだね。」

    にっこりと返しながら振り返り、灰原にコソコソと話しかけた。
    灰原は「わかりました!」と元気に医務室から飛び出して行くのを見届けて再び七海に向き直る。


    「寒いとか、熱いとかはないかい?」
    「…ないです…」
    「それは良かった。薬飲むんだね?今灰原に良い物を頼んだから。」


    良い物?と、五条・家入・七海は首をかしげるが、夏油は七海の髪をくるくると遊ばせて感触を楽しんでいる。

    謎の敗北感にイラッと来るがまぁ傑ママだしな、とまた謎の納得をしているとすぐに灰原が戻ってきた。
    手にはプリン。だがそれには蓋にでかでかと悟と書かれていた。


    「あーっっ!!それっ、俺の…」
    「はい!夏油さん!」
    「ありがとう、灰原。ほら七海。悟にお礼を言いな。」


    七海ははてなマークを浮かべながらも促されるまま「ありがと、、ございましゅ…?」とコテンと首を傾げる。


    「ぅぐぅっっっっっっ!!!!!!」


    クリティカルヒットを受けた五条はそのまま床に倒れ込み、家入は動画を回し、夏油は「コレは薬を飲んだらご褒美にあげるからね。」とママみを醸し出す。
    そんなカオスな状況でもマイペースな後輩2人は「灰原ぁ…」「五条さんのゼリーもあったからコレに混ぜる?」なんて話ながら穏やかな午後は過ぎていくのだった。




    ーーーーーーーーーーー




    「どこ行った傑!!!!建人!!!!」

    夜蛾の声は誰にも届くことなく高専・駐車場にこだまし、ようやく連絡が来る頃には日が傾いていたという。
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