RECALL③いつも通りの時間にアラームが鳴り、意識が浮上する。
見慣れた天井、閉じられたカーテン、付いたままの間接照明。
寝室のベッドには自分のみ。
いつも通りの変わらない光景。
一緒に寝たはずの男の姿は無く、昨日までの出来事は、自分の都合のいい夢だったのかもしれない。
寝起きで覚醒しきっていない思考のまま起床し、顔を洗おうと洗面室に向かう途中、廊下に違和感があった。リビングの扉の窓から明るい光が漏れている。いつもはカーテンが閉まっていて暗い。カーテンの閉め忘れはしていないはずだ。恐る恐るリビングの扉を開けると、カーテンが開け放たれた窓から明るい日差しと共に味噌汁と何かを焼いている匂いが舞い込んできた。
「あ、コイトさんおはようございます。ちょうど今、起こしに行こうかと思っていました」
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