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    東野文風

    小説オンリー。二次創作の掌編を投げる予定

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    東野文風

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    #ドラロナワンドロワンライ一本勝負
    @DR_60min
    第5回目『雨』で参加させて頂きました(+40min)
    できてるドラロナの日常のひとコマ。何気に隙を狙うドさんと隙だらけのロくん、そしてョンは蜜豆をおかわりした。

    雨の日、蜜豆、濡れた髪 雨粒が地面を、壁を、屋根を叩く音が外から絶え間なく響いてくる。
    「誰も来なかったな……」
    「雨だからな」
     事務所のデスクで時間を持て余しているロナルドのぼやきに、応接ソファでジョンとマルチプレイに興じるドラルクが淡々と返す。流水を嫌う吸血鬼にとっては雨もまた忌避すべきものになりがちで、今晩は珍しく何の騒動もないまま深夜の二時を回ろうとしていた。
     時計を確認したロナルドがぐっと背伸びし、欠伸を噛み殺しながら立ち上がる。ドアを施錠し、帽子を預かるメビヤツをぐりぐりと撫でた。時を同じくして、ドラルクたちもゲーム機をスリープモードへ移行させる。
    「今日はもう閉めるか……メビヤツ、誰か来たら頼むぜ」
    「ビッ」
    「ヌヌヌヌヌヌ、ヌヌーヌ、ヌヌヌイヌン」
    「ジョン、デザートかい? ふむ……ササッと蜜豆でも作るか」
    「ヌー!」
     居住スペースへ移動し、ドラルクとジョンはキッチンへ、ロナルドは浴室へ向かった。先に寒天を煮ておけば、若造が出て来る頃には冷やし固まってるだろう。ロナルドの入浴時間を勝手に目標タイムに設定し、ドラルクは調理を開始した。
     ◇
     ロナルドが風呂から上がると、蜜豆を盛られたガラスの器が二つ、ダイニングテーブルの上に並んでいた。ジョンからスプーンを受け取って椅子に座ると、呆れたような声が背後からかかる。
    「せっかちゴリルドめ、髪ぐらいちゃんと拭け」
    「あぁ? っ」
     反射的に拳を繰り出す前に、頭に被せられたタオルに行動を阻害された。そのまま水気を取るように、毛先、地肌、耳の裏へ柔らかい布が押し当てられる。タオル越しに伝わるドラルクの細い指の感触に、ロナルドは行き場に迷った両手をテーブルに置いた。
     何てことない様子で先に蜜豆を頂いているジョンを眺めてどうにか気持ちを静めようとする。美味しそうに食べているジョンはいつだって可愛い。それはそれとして、やっぱり頭を拭かれるのが落ち着かない。
    「い、つまでやってんだよ」
    「んー?」
     声を上擦らせながら頭を上げると、思ったよりも近い場所でこちらを覗き込んでいる赤い目と視線が合う。予想外の距離感にこっちが反応を数瞬遅らせている間に、唇に冷たいものが重ね合わされた。
     触れるだけ、でも確かな口付け。
    「はい終わり、次は自分で拭けよロナ造。……誘っているなら、乗ってやるがね」
    「なっ……はあぁぁぁ?!」
     逃げるようにキッチンへ向かう吸血鬼に、咄嗟に丸めたタオルを投げ付ける。見事的中し砂と化したドラルクを見て、ジョンが金時豆を食べながら涙した。
    「ウエーン湿ったタオルが絶妙に気持ち悪いよぉ」
    「うるせータイミング選びやがれクソ砂」
     改めて椅子に座り直して蜜豆を味わう。固まった寒天の清涼感、シロップの中に浸かったバナナのスライスの甘さを噛み締めて、ロナルドは雨の中に突っ込んで火照った顔を冷ましたくなる衝動をどうにか抑えたのだった。
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    東野文風

    DONE #夏のヌーフェス
    オンリー開催&ヌー君お誕生日おめでとうございます!

    こちらは「お3」の展示小説になります。
    ・Δ世界線でジョンとノース本部長が睨み合ったりにっぴきがワヤワヤしたりする話です
    ・主従の出会った時期とか色々捏造してます
    ・ジョンはドラルク隊の隊長補佐という役職を持っている設定
    ・本部長が憎まれ役っぽい立ち回りに見えるかも

    全体的には平和でほのぼのな話です。よろしくお願いします!
    お勤めマジロとスコーンとヒゲ「どうしました、おじい様……この子を、私に?」
     その時のことは、いつまでも覚えている。
    「は、拾った? 大丈夫なんですか条約とか法律とか……問題ない? 本当ですね、何かあったら助けて下さいよ?!」
     子供の小さくて柔らかな手の温もり、まだ頬が痩けていないあどけない面立ち、声変わり前の溌剌とした少年声。
    「はぁ……えっと、こんにちは」
     そして、一等星のような黄金色の目と視線が合った瞬間、直感したのだ。
    「……ふふ、君、テニスボールみたいだな」
    「ピュー」
     己はきっと、彼に出会う為にこの世界、この時代に生まれたのだと。

    「さぁ、そこに掛けたまえ」
    「ー……」  
     吸血鬼対策課本部のとある一室。部屋の主に促されてフカフカの椅子に渋々座った一玉のアルマジロは低い唸り声を上げた。
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    sirokuma594

    DONE200年物のメッセージボトルがようやく退治人の元に流れ着いた話
    #ドラロナワンドロワンライ一本勝負 (@DR_60min)よりお題「海」で書かせていただいたものです。
    純情inボトル、onペイパードラルクが初めて手紙を書いたのは、8歳の時の海辺でのことだった。

    流れる水の傍というのは、吸血鬼にとって昼と同じくらい恐ろしい。虚弱なドラルクであれば尚更だ。人間の子供であっても海の事故は多いという。当然、心配性の父母はドラルクを海になど連れていきたがらなかった。

    「おじいさま、あれはなんですか?」
    「手紙。瓶に入れてどこかの誰かが流したの」
    「てがみ! よんでみたいです」

    偉大かつ子供のような祖父の腕に抱かれ、ドラルクは海辺の綺麗な小瓶を指差した。夜の砂浜に動くものは二人の他になく、曇り空の果てから真っ黒な水が唸るように打ち寄せる音だけが聞こえていた。
    ドラルクは祖父に似て好奇心が旺盛だった。血族には内緒の二人きりの冒険にも当然付いていく。手紙入りの綺麗な小瓶も当然欲しがった。祖父はキラキラと期待に満ちた孫の顔を見て、裾が濡れるのも構わずにざぶざぶと波打ち際を歩いて行った。祖父の大きな手の中に収まった透明な丸い瓶を見て、ドラルクはさらに目を輝かせた。
    5312

    東野文風

    DONE #ドラロナワンドロワンライ一本勝負
    @DR_60min
    第11回目『バトル』で参加させて頂きます(+10min)
    できてる本編ドラロナで糖度はあっさりめ。ドさんが捕まって闇コロシアムの賞品になったり、殴り込みに来たロくんがスケスケの衣装を着たりする話です。よろしくお願いします!
    催眠かセロリでも持って出直してこい ――やたら華美で豪奢な前時代的なコロシアムの中に、観客たちの歓声が湧き上がる。
     円筒形のケースの中に博物館の展示物のように押し込められたドラルクは、冷めた気分で最上階から見える景色を眺めていた。頭上の空気穴は砂粒を通さないようにきめ細かいメッシュが貼られており、適当に壁を蹴った反作用死で脱出を試みることは難しそうである。
    『それでは、本日の豪華賞品を求める勇敢な挑戦者を――』
    「はー……」
     つまらない気分のまま、ため息を吐く。自分が賭ける側になったり実況席に座ったりするならともかく、ただただ身動きできない賞品のように扱われるのは面白くない。
     スピーカーから聞こえる実況はスルーしつつ、反対側に見えるVIP席らしき場所へ視線を向ける。「悪い吸血鬼が私有地に潜んでいる気がするから調査して欲しい」という、やや具体性に欠けた依頼を事務所に持ち込んできた人間が一人、その男に露骨にゴマすりされてふんぞり返っている吸血鬼が一人。どうも自分たちはまんまと嵌められたようであった。
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    東野文風

    DONE #ドラロナワンドロワンライ一本勝負
    @DR_60min
    第4回目『デート』で参加させて頂きました(計130min)
    できてるらしい読切ドラロナが夜の植物園に行く話です。よろしくお願いします。
    お土産に赤い薔薇を一本買った 今日も今日とてロナルドに呼び出されて外に躍り出る夜。本日の目的地は、某県某所にある植物園であった。
    「へー、色々あるもんだねぇ」
    「約七百種、約六万本あるんだとよ」
     興味深そうに周囲の花壇に植えられた花を見回すドラルクに、ガイドブックを手にしたロナルドが淡々と返す。すっかり日が落ちた夜空の下、淡い光で照らされた植物が彼らを取り囲んでいた。
    「ねぇロナルド君、私あっちの熱帯植物館っての見てみたい」
    「……お前それ、暑さで死ぬんじゃねえの」
    「一回だけ、一回だけ試させて! まだ今日は死んでないから数分で復活できると思うし! それに、仕事なら全部見回る必要があるだろう?」
    「それは……くそ、仕方ねぇな」
     一回死ぬまでだからな、と不承不承といった態度で許可を出したロナルドにドラルクは微笑む。一回までと言いつつ、次案を出せば乗ってくれることが簡単に想像つくのが楽しい。仕事とはいえ、彼がわざわざチケットを用意し誘ったという事実に、己が思った以上に浮かれているのを感じる。
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    東野文風

    DONE #ドラロナワンドロワンライ一本勝負
    @DR_60min

    第10回目『ホラー』
    本編ドラロナでロくんが生け贄役に選ばれる話です。(+55min)
    タイトル通りの創作変態吸血鬼が出てきます。CP要素は薄め、恐怖描写は皆無の上あっさり解決しますが宜しくお願いします。
    「我は吸血鬼『人身御供シチュエーション大好き』!」 ――はて、自分はどうしてここにいるのだろうか。
     夕餉を食べている最中、野菜の煮物を飲み込んだ青年は不意にそんなことを思った。
     古めかしい和風の旅館みたいな屋敷で過ごすようになって、何日目になるだろう。朝に目を覚まして、人肌程度の湯で沐浴を行い。白一色の着物を纏い、しめ縄で四隅を囲った部屋で屋敷の人々が唱える歌声に日がな一日、耳を傾けて。肉と魚と乳を使わない、野菜と穀物だけの食事を三回摂って。一日の終わりに再度沐浴を行って眠る。
    「おや、どうかされましたかな?」
     今の今まで何の疑問も持たずに行ってきた日課に首を傾げている青年に、背後から声をかける者があった。振り返れば、料理人のような格好をした異様に血色の悪い男が薄い笑みを浮かべている。男の足下には何故かアルマジロがいて、ヌーと可愛らしい鳴き声を上げていた。
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    東野文風

    DONE #ドラロナワンドロワンライ一本勝負
    @DR_60min
    第11回目『バトル』で参加させて頂きます(+10min)
    できてる本編ドラロナで糖度はあっさりめ。ドさんが捕まって闇コロシアムの賞品になったり、殴り込みに来たロくんがスケスケの衣装を着たりする話です。よろしくお願いします!
    催眠かセロリでも持って出直してこい ――やたら華美で豪奢な前時代的なコロシアムの中に、観客たちの歓声が湧き上がる。
     円筒形のケースの中に博物館の展示物のように押し込められたドラルクは、冷めた気分で最上階から見える景色を眺めていた。頭上の空気穴は砂粒を通さないようにきめ細かいメッシュが貼られており、適当に壁を蹴った反作用死で脱出を試みることは難しそうである。
    『それでは、本日の豪華賞品を求める勇敢な挑戦者を――』
    「はー……」
     つまらない気分のまま、ため息を吐く。自分が賭ける側になったり実況席に座ったりするならともかく、ただただ身動きできない賞品のように扱われるのは面白くない。
     スピーカーから聞こえる実況はスルーしつつ、反対側に見えるVIP席らしき場所へ視線を向ける。「悪い吸血鬼が私有地に潜んでいる気がするから調査して欲しい」という、やや具体性に欠けた依頼を事務所に持ち込んできた人間が一人、その男に露骨にゴマすりされてふんぞり返っている吸血鬼が一人。どうも自分たちはまんまと嵌められたようであった。
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