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    chiroroya_dda

    成人済、腐です。
    支部で載せられない、とても短い文や文章になってないネタを乗せます。ネタなので、ほぼ文章になってません。ツイッターでは入りきらないネタを此処に乗せる予定です。

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    chiroroya_dda

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    バラダイWEB企画のお題「白色「私はあなたにふさわしい」」を書かせて頂きました。
    バラダイなのに、二人の会話が一切無いです。ごめんなさい。

    現パロで、パパが俳優という特殊設定です。
    ダイ君は一般人です。
    因みに、話に出てきてませんが、ラーハルトはバランの秘書です。

    とても短いので、さらっと流してください。

    決して届かない我儘晴天の今日、ポップ達と一緒に都会へ遊びに行った。そこでゲームをしたり、色々なお店を覗いたり、食事を楽しんだりと楽しい時間を過ごした。
    そう、あれを見るまでは。

    昼ご飯を食べ終え、次の目的にである映画館に向うために大通りの大きな交差点を渡ろうとした時だった。丁度信号が赤だったので立ち止まり隣のポップと会話している時、ふと顔を上げた。
    すると、向かい側にある大きなビルの液晶画面に見知った大人が映し出された。黒一色の背景に立つ大人は深紅の上下のスーツを纏い、上着の下には、同色のベスト、その更に下に黒のワイシャツとそれの襟を締める為の銀に近い灰色のネクタイが覗く。上着のボタンを止めず、ズボンに両手を入れた大人は、クラシックな音楽に合わせ緩慢に接近する。そして、映像が全身から上半身だけになると立ち止まり、大きな手をポケットから出し目の前に持ってくると、指を鳴らした。すると、何も持っていない手から手品のように白い薔薇が一本現れた。途端にBGMは鳴り止み、大人は薔薇の花弁へ大事そうに見つめながら、そっと口付け。

    私は貴方に相応しい。

    そう一言だけ言い放ち、画面が高級感漂う香水の絵に切り替わった。その画面にブランドと香水の名前、新発売という文字が重なる。
    そして、そのCMは終了した。

    その時間、たった十数秒。
    あっという間だが、街で行き交う人々のダイの止めるには十分だった。
    そして、ダイも同じだった。
    ただ違うのは、表情だった。
    ダイ達以外の人々は恍惚として画面を見つめており、ダイの知り合いのポップ達は慣れた様子で見ていた。
    そう、ダイ以外は。
    ダイは映像をただじっと見つめていた。そして、最後の台詞が流れた瞬間、微かに複雑そうに顔を歪めた。
    そう言えば、今日新しいCMが流されるって、ラーハルトが言っていた。この事だったんだ。父さん、凄く頑張ったんだろうな。格好いいや。でも、皆の父さんって感じで、何か寂しいな。
    俯くダイに気付いたのは、隣のポップだった。
    「ダイ?」
    「……なに?」
    一瞬反応が遅れたダイに何かを言い掛けて、直ぐに違う事を言った。
    「あれ、お前の親父さんじゃねえか。」
    「…そうだね。」
    「あんなド派手な格好しても、やっぱ男前だわ。流石、人気俳優。」
    すげえなと少々わざとらしい言い回しに、ダイは苦笑をした。
    「うん。」
    「しかも、気障ったらしい言葉が似合うとか、スペック高すぎ。お前の父ちゃん、どんなに優遇されてる訳?」
    「あははは。」
    ポップの軽口にダイは乾いた笑みを浮かべるだけだった。


    皆に父さんの事を、格好いいとか素敵とか褒めてくれて、おれも自分の事の様に嬉しい。
    だって、自慢の父さんだから。

    でも、時々、付き合いたいなとか、言われちゃうと心臓がぎゅっと痛くなる。


    父さんは、おれの父さんだ。
    だから、これ以上見ないで。

    父さんも、おれだけを見て。


    こんな酷く醜い感情が溢れ出す。
    でも、こんな感情を父さんには知られたくなくて、重い蓋をして封印する。
    だって、こんな醜い子供、父さんは嫌だろうから。
    だから、父さんの為にも、おれはずっと良い子になる。


    反応も遅く元気のないダイの明らかに可笑しい様子に、ポップは訝しみ彼の顔を覗き込んだ。
    「おめえ、」

    「おーい、何ボンヤリしてるのよ。早くしないと上映時間始まるわよ!」

    声を掛けられた二人が一斉に視線を向けると、いつの間にか交差点は青に変わり、ポップ以外の全員は向こう側へと渡り切っていた。
    出鼻を挫かれたポップは仕方ねえと頭を掻きながら呟くと、ダイの頭に手をやった。そして軽くニ、三度頭を叩き促した。
    「ほら、行こうぜ。」
    ダイは明らかにホッとした顔で頷き、ポップの後を追い掛けた。
    「おれだけに言って欲しい、って贅沢なのかな。」
    ぽつりと呟いた言葉は、交差点に落とされた。
    背後のスクリーンは、何事もなく他の映像を映し出していた。


    ねえ、父さん。
    おれは、父さんに相応しいのかな?
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