Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    kohiruno

    @kohiruno

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 16

    kohiruno

    ☆quiet follow

    第17回 ラーヒュン1d1w
    お題「初めての夜」

    形にできるご機会をありがとうございます。
    構想は長かったですが、一時間弱でかきました。

    初めて共に過ごす夜 催眠魔法が切れて、ヒュンケルは目が醒めた。隠し砦の中、隣のベッドにいるはずの奴がいない。
     部屋を抜け、門番の目をかわして、少し行くと、森の中で魔槍を傍らに座りこむラーハルトがいた。
    「治療は受けたのか」
    「何の用だ。無能の従者を笑いに来たのか」
    「お前がいないのが気になった」
     大魔王は倒れ、勇者は消えた。決して諸手を挙げて喜べない勝利だが、ともかく地上は守られた。砦に帰還後、負傷者の手当が済むと、夜、軽症の兵士には僅かだが酒が振る舞われた。
    「命ある者にまずは祝福を」
     死力を尽くし、生きのびた兵士たちを配慮した、女王の采配だった。勇者と仲間たちは女王の執務室に入ったまま、長く出てこない。
    「人間を守るという竜の騎士の使命を憎む。俺は何故ダイ様を守れなかった。俺を生かしてくださったバラン様にも、申し訳が立たない。明日からでも一人でダイ様を探す」 
     己を責めるように言葉を口にする。
    「あの方こそ、剣を納め、平和を享受すべきなのに」
    「ならば部屋で休め。お前も身体を痛めてる」
    「一人にしてくれ」
     ヒュンケルは、黙って一度ラーハルトに背を向け、自分も少し離れて座り込んだ。
     酒が入れば、声はやがて歓声となる。仕方がないことだ。地上は滅びなかったのだから。
    「一人にしてくれと言ったはずだ」
    「俺だって悔しい。それに、お前。俺が今ここを離れたら、もう戻らないだろう。」
     砦からはかすかに、勝利を称える軍歌が笑い声とともに聞こえていた。

    《続》
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💜💜💜🙏🙏🙏🌙🌙🌙🌌🌌🌌🌌🌌🌌🌌🌌🌌🌌💜💜💜💜🙏🌌🙏💜💜💜💜💜🌌🌙💜💜💜🌠💜🌠💜🙏🙏💜💜😢🙏💜💜💜💜🙏💞🙏🙏🙏💜💜💜❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works