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    みしま

    @mshmam323

    書いたもの倉庫

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    みしま

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    匿名の方よりエアスケブ「TF2でフェーズシフトとタイタンで、タイタン優勢の淫靡テイストなお話。ニューラルリンクにフェーズが侵食されるような…」を書かせていただきました。リクエストありがとうございます!そしてすみません大変お待たせいたしました!

    ##エアスケブ

    ハート・ミー! シオンはドロップシップを降り、艦内ドックを見渡した。スタッフや整備ロボットが各々の役割のためにあわただしく行き交っている。任務を共にした同僚パイロットたちと労をねぎらい合っていると、隣のパッドへ医療ドロップシップが降り立った。医療班が中から担架を運び出す。担架の上にいるのはシオンと既知の仲である戦闘機パイロットだ。彼は今回の任務中機体に被弾した。イジェクト機能の故障というさらなる不運に見舞われたものの、不時着には成功した。だが降りた場所は激戦区のど真ん中。そこをシオンが救い出したのだ。迫る敵を相棒が牽制し、大破した機体から上がる火の手に機械の体をさらしながら。
     担架の上の彼もシオンに気づいたようで、手を振っている。シオンはすぐに駆け寄り、その手を義体の両手で握り返した。
    「ああ、こんなことになるなんて! しっかりしろよライダー、きっと助かるから!」
     縦長のモノアイを涙目の如くまたたかせ、演技たっぷりに励ます。ライダーは呆れつつも笑みを浮かべた。
    「あんまり笑わせないでくれ。あっちこっち折れてるんだ」
    「うわマジか。マスかく方の腕はどっちだっけ?」
    「アハハこの野郎、イテテ……。そう言うお前も中々に酷い有り様じゃないか」
    「シミュラ前が上がったろ?」
    「義体脳め。けどマジな話、お前のおかげで助かった。相棒にも礼を言っておいてくれ。俺のベイビーだって、お前のみたいには話せないけどきっと礼を言うはずだ」
    「〈キルケ〉のことは残念だった」
    「ああ。だがブラックボックスは回収できたし、何とかなるさ。しばらく飛べないことの方がきつい」
    「命あっての、だ。俺には折れる骨も焼ける肌も無いからな。パーツの一つや二つならおつりがくるってもんよ」
    「だからって死なないわけじゃない。それに、頼ってばかりいたんじゃお前の相棒に睨まれるしな」
     その一言に、シオンは唸りつつ後頭部に垂れる毛皮飾りを撫でた。ライダーの言うとおり、自分とて相棒を(感情の有無はともかくとして)怒らせたくはない。
     医療班に促され、シオンは担架の一団を見送った。そしてタイタンドックへと向かいながら、自身の損傷部位を改める。
     銃弾を受けた右手と上腕の装甲には穴が開き、黒い油が垂れた跡が残っている。それに伴う内部油圧の低下により、関節の動きが少々鈍い。視界にときおり走るノイズは、胸部と背部を損傷したときからだ。使えなくなった回路を見切り、別回路を使ってバイパスさせた影響かもしれない。あとは脚部の異音だ。おそらく戦闘機のハッチをこじ開けた時の過負荷によるものだろう。
     複数の問題はあるが、幸い、急を要するような不具合は出ていない。義体技師に診てもらうのは後回しだ。
     ……などと分析できてしまうのはシミュラクラム故か、相棒の影響か。しかし肉の体と違い機械の体とは便利なもので、たとえ手足が吹き飛ぼうと、胴体に穴が開こうと、痛みや失血で動けなくなることはない。人格コアさえ無事なら、義体の交換であっという間に元通り。多少の無理は承知の上だ。
     軋む音をたてつつ階段を上がると、ちょうどタイタンドックへ到着した相棒の姿があった。ローニン特有の武器、巨大なブロードソードを背部から取り外し、壁面の格納マニピュレータへと手渡している。濃紺色の塗装に覆われたボディの上を、鮮やかに走る朱色と白のライン。胸部のあたりに描かれているのは弓矢とツバメを合体させたようなイラスト。シオンが所属する傭兵組織スワローズ・ミリタリー&セキュリティ・オーガニゼーション、通称〈スワローズ〉のエンブレムだ。規模としては同業他社のエイペックス・プレデターズや6‐4には劣るものの、故に指揮系統が行き届きやすく、急な依頼への迅速対応を強みとしている。
     相棒は向きを変えようとして、長い脚部をぐらつかせた。左脚部を損傷しているためだ。敵の砲撃により外部装甲の一部が欠け、シャーシと切れかかったケーブルが剥き出しになっている。
     相棒の手前のキャットウォークでは、担当のMRVNが待ち構えていた。胸部モニターへ汗をかいた顔文字を表示している。シオンが何事かと問おうとするも、タブレットを押し付けるように手渡すなりあたふたとその場を後にしてしまった。
    「なんだ、またマーヴをいじめたのか?」
    《いいえ、特には。タスクが溜まっているのではないでしょうか》
     シオンの相棒、コールサイン〈セプテンバー〉は静かに答えた。だがシオンとて、そこに含まれているものを聞き逃すほど浅い付き合いではない。
    「セェプ?」
    《はい、何でしょう》
    「何でしょう、じゃないよ。まったく、何を隠してるんだ?」
     シオンはタブレットを操作し、レポートデータの確認を行った。脚部の損傷は手ひどいが、他に大きなものはない。さらに画面を切り替えてゆき、ふと、とあるグラフが目に留まった。
    「あれ? 右腕の稼働効率にバラつきがあるな。診断プログラム……報告無し。損傷箇所、とは関係ないな。ダメコンのバグってことはないよな。マーヴはなんて?」
    《現状報告のみ》
    「フム……」
     さらに詳細を表示してゆくと、もう一つ不可解な点が見つかった。ニューラルリンク同調率とは不釣り合いに大きくとられた伝達閾値だ。通常、この閾値はパイロット-タイタン間の意思疎通や動作の同期が効率よく行われるよう、同調率に合わせて適切なものになるよう設定されている。それが今は、明らかに最大値が大きすぎる。つまり、ある刺激に対する反応が起きにくくなっているということだ。以前との比較レポートを見ると、こうなったのはごく最近のことではないらしい。ゆるやかではあるが、何ヶ月も前から下限上限ともに大きくなってきている。
    「変だな。上に言ってスクリーニングしてもらうか」
    《ネガティヴ。閾値変動について報告義務はありません》
    「なくても、ほっといたら仕事に響くかもしれないし」
    《いいえ。現状においても任務執行への影響は確認できません。あなたは優秀なパイロットです》
    「褒めて誤魔化そうったってそうはいかないぞ。そういやさっきの、マーヴがそれに気づいたんじゃないか? そしてお前が黙らせた」
    《それは質問ですか?》
    「イエスってことだな。まったくお前ってやつは。仕方ない、とりあえず再調整かけよう。ほら、開けてくれ」
    《……》
    「セプテンバー、の・せ・ろ」
     パイロットの命令に、セプテンバーがハッチを開いて手を差し出す。シオンはその手を足がかりにコクピットへと収まった。シートからメンテナンス用通信ケーブルを引き出し、後頭部のソケットへ接続する。HUDに表示されたパネルを操作し、問題の閾値を表示させる。詳しく見てゆくと、特に感覚フィードバックの閾値が大きくなっていることがわかった。
     ひょっとして、と異変に気づくきっかけとなった右腕の稼働効率と、直近の閾値データとを照らし合わせてみた。すると、同じ瞬間から数値が変化していることがわかった。原因となるような出来事があっただろうかと考えを巡らせていると、セプテンバーがパイロットを呼んだ。
    《あなたの義体に複数の損傷個所を認めます。修理の優先を推奨》
    「え、別に動けるし、大したことないだろ」
    《致命的ダメージではありません。しかし、これが通常の肉体であれば数時間後には死に至る危険性があります》
    「義体でよかったな」
    《今回はこれで済んだというだけです。以前の戦闘では、義体の50%以上を失ったことがあります》
    「だから、義体でよかったなって」
    《……自身を顧みなくてよい理由には足り得ません》
    「ライダーも似たようなこと言ってたな。あ、あいつに怒るなよ。死にかけたんだから」
    《シオン、再調整は推奨しません》
    「え?」
     シオンは内部カメラを見上げた。ヒトの表情ほどにわかりやすくはないが、こちらを見下ろすレンズの動きがその機微を物語っている。
    「なんだよ、さっきから」
    《これはあなたのためになりません》
    「いやいや、しないとまずいだろ! いくらリンク値が安定してても、同期がズレちゃ意味ないんだから」
    《あなたは義体化処置以降、被弾率が倍以上に増加しています。その危険性を理解していますか?》
    「してるしてる。でも戦闘効率評価が落ちたわけじゃないだろ。そりゃあ、生身から義体になるってのは大きな変化だ。いろんなものの感じ方も変わっちまう。戦い方だって変わったかもしれんが、仕事はちゃんとこなしてきた」
    《シオン、やはりあなたは理解していないようです》
     違和感。まず、シオンはそう思った。右手のあたり。熱いような、圧迫されているような、奇妙な感覚だ。それが体のあちこちに広まってゆく。腕、胸、鼠径部。
    《右手から前腕、胸部へかけての銃創。左股関節のパーツ湾曲》
     久しぶりに味わうその感覚に、シオンは言葉を失った。首筋から背中、腰の下へと駆け抜ける重い感覚。張り詰めた手足。随分前に不要となった呼吸すら、その感覚の逃げ道を求めるように荒くなる。
    「セプ、これ、なにを」
    《あなたの理解得るため、実際に閾値を再調整しています》
    「そんなわけあるか! やめろ!」
    《ネガティヴ。プロトコル・スリーのため必要な措置です》
    「は? なに言って――」
    《シオン、我々は、あなたがシミュラクラムを受ける前からの付き合いですね》
    「それが、どうした」
    《私はあなたの肌を、肉を、神経を、体験したことを知っています。それがニューラルマップや電子回路に置き換わろうと、その全てはあなたであり、私のパイロットであることに変わりはありません》
    「ンう、あ」
     次第に違和感が強く、重くなる。痛い。そうだ、これは忘れたはずの感覚、痛みだ。動くことすらままならない。生身であったなら、冷や汗か涎をたらしていたことだろう。いっそ嘔吐していたかもしれない。
    「ちょ、セプ」
    《前回の任務中に負った頸部ケーブルの損傷、まだ修理していませんね。肉体と違い自然治癒はしませんし、ダクトテープは万能薬ではありません。大人しく修理を受けておけばよかったですね》
    「やめ……!」
     首のうずきに、シオンは巻いているシュマグごとそこを握りしめた。跳ね上がった足がレバーか何かを蹴りつける。もう痛みなのか別のものかも判別できない。思わずフェーズシフトで機外へ逃れようとしたが、装置が作動しない。そういえば装置は壊れていたのだ……いや、壊れたのは自分のものだったのか?
    「セプ、テンバー」
    《失礼しました。当機の損傷を追加》
     セプテンバーの宣告と共に、シオンは左脚が弾けるような感覚を覚えた。剥き出しの神経が外気にさらされ、溢れ出た熱いものが肌を伝う。反射的にそこへ手をやったが、出血はもちろん傷もない。
    《ニューラルリンクとは、ご存じのとおり相互性を有しています。私もあなたの損傷を検知しますが、痛み刺激そのものを感じ、反応することはありません。しかし影響は受けます。今回あなたが気づいた、右腕の稼働効率のように》
     全身を支配する痛みに、シオンは前のめりになって耐えた。いつの間に取り落としたのか、足元にタブレット端末が転がっている。どうにか確認できたのは、例の閾値の数値が上下ともに低くなっていることだけ。薄暗いコクピットの中で苦し紛れに振り上げた拳が、しかし失速してハッチへ押し付けられ、引っかくように滑り落ちてゆく。
    《義体化したパイロットの多くが、その利点として身体機能及び強度の向上、修理・メンテナンスの容易さを上げています。しかし一方で、生物としての本能を低下させている可能性があるとの説も出ています。研究段階であり、また個人差があるため一概にはいえませんが、あなたを見ていると、あながち間違いではない、と》
     シオンの視界にいくつものエラーメッセージのウインドウが重なっている。閾値はプラマイゼロに等しいまでに下がっているが、シオンは気づいていない。
    《なるほど。その反応からするに、体は正直ですね》
     そんなセリフ、俺は教えてないからな。そう毒づきたくとも、音声出力すら上手く動かせない。
    《パイロット。これはお互いのためであり、ひいてはあなたを守るためです。これでも、調整が必要ですか?》
     シオンは辛うじて首を振った。値は正常だったのだ。少なくとも、自分たちにとって。
    《シオン、私は……あなたに自分自身を大切にしてもらいたい。ただそれだけです》
     ハッチが開き、セプテンバーの大きな手がシオンをコクピットから掴み出した。されるがままのシオンの目の前に、自分のそれとよく似たモノアイが光る。シートからつながったままのケーブルのせいでハッチが中途半端に開いていて、まるでニンマリと笑う口元のように見える。
    《理解しましたか?》
    「……ああ」
    《本当に?》
    「本、当に」
    《忘れないでください。何度もやりたくはありませんので》
     セプテンバーが手を動かすと通信ケーブルが限界まで伸びきり、パツンと音を立ててシオンからコネクタが外れた。そしてパイロットをキャットウォークへそっと降ろした。
    《さあパイロット、修理を受けてきてください》
     もうあの押し迫るような感覚はぱったりと消えうせている。だというのに膝が笑うのをシオンは必死に堪え、手すりを頼りによたよたとその場を後にした。その足取りは、なぜだかちょっと内股ぎみだ。
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    みしま

    DONEiさん(@220_i_284)よりエアスケブ「クーパーからしょっちゅう〝かわいいやつ〟と言われるので自分のことを〝かわいい〟と思っているBT」の話。
    ※いつもどおり独自設定解釈過多。ライフルマンたちの名前はビーコンステージに登場するキャラから拝借。タイトルは海兵隊の『ライフルマンの誓い』より。
    This is my rifle. マテオ・バウティスタ二等ライフルマンは、タイタンが嫌いだ。
     もちろん、その能力や有用性にケチをつける気はないし、頼れる仲間だという認識は揺るがない。ただ、個人的な理由で嫌っているのだ。
     バウティスタの家族はほとんどが軍関係者だ。かつてはいち開拓民であったが、タイタン戦争勃発を期に戦場に立ち、続くフロンティア戦争でもIMCと戦い続けている。尊敬する祖父はタイタンのパイロットとして戦死し、母は厨房で、そのパートナーは医療部門でミリシアへ貢献し続けている。年若い弟もまた、訓練所でしごきを受けている最中だ。それも、パイロットを目指して。
     タイタンはパイロットを得てこそ、戦場でその真価を発揮する。味方であれば士気を上げ、敵となれば恐怖の対象と化す。戦局を変える、デウスエクスマキナにも匹敵する力の象徴。
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    recommended works

    みしま

    DONEリクエストまとめ③「コーポVがコーポのお偉いさんに性接待したあと最悪の気分で目覚めて嘔吐する話」
    ※直接的な表現はないのでR指定はしていませんが注意。
    ルーチンワーク ホロコールの着信に、おれは心身ともにぐちゃぐちゃの有様で目を覚ました。下敷きになっているシーツも可哀想に、せっかくの人工シルクが体液とルーブの染みで台無しだ。高級ホテルのスイートをこんなことに使うなんて、と思わないでもないが、仕事だから仕方がない。
     ホロコールの発信者は上司のジェンキンスだった。通話には応答せず、メッセージで折り返す旨を伝える。
     起き上がると同時にやってきた頭痛、そして視界に入った男の姿に、おれの気分はさらに急降下した。数刻前(だと思う)までおれを散々犯していたクソお偉いさんは、そのまま枕を押し付けて窒息させたいほど安らかな寝顔でまだ夢の中を漂っている。
     意図せず溜息が漏れた。普段に比べて疲労が強いのはアルコールの影響だけじゃないはずだ。酒に興奮剤か何か盛られたに違いない。こういう、いわゆる“枕仕事”をするときは、生化学制御系のウェアをフル稼働させて嫌でもそういう気分を装うのが常だ。ところが今回はその制御を完全に逸脱していた。ろくに覚えちゃいないが、あられもなく喚いておねだりしていたのは所々記憶にある。羞恥心なんかどうでもよくて、油断していた自分に腹が立つ。
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    みしま

    DONEリクエストまとめ⑤「ヴィクターとVがお出掛け(擬似デートのような…)するお話」。前半V、後半ヴィクター視点。
    晴れのち雨、傘はない チップスロットの不具合に、おれはジャッキーとともにヴィクター・ヴェクターの診療所を訪れた。原因ははっきりしている、昨日の仕事のせいだ。
     依頼内容は、依頼人提供の暗号鍵チップを用いて、とある金庫から中に入っているものを盗んで来いというもの。金庫は骨董品かってほど旧世代の代物だったから、目的の中身は権利書とか機密文書とか、相応の人間の手に渡ればヤバいブツぐらいのもんだろうと軽視していた。侵入は簡単だった。一番の障害は金庫自体だった。古すぎるが故のというか、今どきのウェアじゃほとんど対応していない、あまりに原始的なカウンター型デーモンが仕掛けてあったのだ。幸いにしてその矛先はおれではなく、暗号鍵のチップへと向かった。異変に気づいておれはすぐに接続を切り、チップを引っこ抜いた。スロット周りにちょっとした火傷を負いはしたものの、ロースト脳ミソになる事態は避けられた。それで結局その場じゃどうにもならんと判断して、クソ重い金庫ごと目標を担いで現場を後にした。フィクサーを通じて依頼人とどうにか折り合いをつけ、報酬の半分はせしめたから及第点ってところだろう。あれをどうにかしたいなら本職のテッキーを雇うなり物理で押し切るなりする他ないと思う。
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    みしま

    DONEリクエストまとめ⑥
    TF2で「デイビスとドロズのおちゃらけ日常風景」
    おちゃらけ感薄めになってしまいました。ラストリゾートのロゴによせて。※いつもどおり独自設定&解釈過多。独立に至るまでの話。デイビスは元IMC、ドロズは元ミリシアの過去を捏造しています。
    「今日のメニュー変更だって」
    「えっ、"仲良し部屋"? 誰がやらかしたんだ」
    「にぎやかしコンビ。デイビスがドロズを殴ったって」
    「どっちの手で?」
    「そりゃ折れてない方の……」
    「違うよ、腕やったのはドロズ。デイビスは脚」
    「やだ、何してんのよ。でドロズは? やり返したの?」
    「おれはドロズが先に手を出したって聞いたぞ。あれ、逆だっけ?」
    「何にせよ、ボスはカンカンだろうな」
    「まあ、今回の件はなあ……」

     そんな話が、6−4の仲間内で交わされていた。
     6−4は傭兵部隊であり、フリーランスのパイロットから成る民間組織だ。組織として最低限の規則を別とすれば、軍規というものはない。従って営倉もない。しかし我の強い傭兵たちのことだ、手狭な艦内で、しかも腕っぷしも強い連中が集まっているとくれば小競り合いはしょっちゅうだった。そこで営倉代わりに使われているのが冷凍室だ。マイナス十八度の密室に、騒ぎを起こした者はそろって放り込まれる。感情的になっているとはいえ、中で暴れようものなら食材を無駄にしたペナルティを――文字通りの意味で――食らうのは自分たちになるとわかっている。そのため始めは悪態をつきながらうろうろと歩き回り、程なくして頭を冷やすどころか体の芯から凍え、やがていがみ合っていたはずの相手と寄り添ってどうにか暖を取ることになるのだ。こうしたことから、冷凍室は〈仲良し部屋〉とも呼ばれていた。
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