赦されない罰で君が乱暴に僕を抱く時、いつも僕は微笑みを浮かべていた。
それに気が付いたアスランが、不思議そうな顔をして僕に聞く。
「どうしていつも笑ってるんだ…お前?」
「……嬉しいから」
「そうか……」
「んっ…」
会話もそこそこに……シーツの波を泳いで行く。
溺れて行くように、声を枯らす。
ラクスの邸宅で養生していた時に、何度、君に抱かれる夢を見ただろう?
無理やり引き裂かれて、乱暴にして欲しいと思っただろう?
夢の中の君は、泣いていて。
「ニコルの敵………!!!」
と叫ぶ。
そうだね?そうなんだね?僕は君にとって大事な仲間の敵で、許されちゃいけないね。
なのに、君に抱いて欲しいと思ってる。
情欲を持て余してる。
恋なんて甘いものはもう遠い過去になって。
君が欲しいと思っている。
君が劣情をぶつけてくれるのなら、なんだってする。
愛じゃなくたって構わない。
ただのモノのように扱ってくれて構わないんだ。
僕がそんな汚れた気持ちを持っている事は内緒にしなくちゃと思った。
「戦争」だったから仕方なかったんだって。
それでも、君に、責めて欲しかったんだ。
罰を与えて欲しかった。
ねえ君は僕を赦してくれるの?
戦争が終わって、僕は空や海を眺めてボウッとしている事が増えた。
アスランが部屋に入って来て、取りあえず何か食べろって僕が昔好きだったお菓子とかを持って来てくれた。
君は優しいね?それに付け込む僕は本当にドロドロとしていて汚いと思う。
「アスラン、僕は、君を赦していないんだ?」
「……キラ?」
大好きな緑色の瞳が揺れた。
好きで好きで好きで壊れてしまえば良いんだ。
「君はトールの敵だから………」
「……判っている。どうしたら、償えるのか考えても答えが出ない」
本気で困っているように眉根を寄せて考え込む彼に、僕はケラケラ笑ってみせた。
ぎょっとして僕を見るその瞳が、好きだよ……?
「僕を乱暴に抱いて?」
「………?!キラ?」
「君が、僕をそういう対象として見てなくても………。トールの敵の君に抱かれる事で、僕は僕として救われる」
「…キラが望むのなら。それで、お前が救われるのなら……」
卑怯な僕は、トールの事まで利用して、君を誘った。
アスランが僕の服を引き裂いて、ベッドに釘つけにする。
苦しそうにその言葉を吐露する唇に触れる事はないだろう。
「……お前が俺からの愛情を望んでないのなら……」
そうだね?アスランが僕を愛してるとしても僕らは本当の意味で結ばれちゃいけない。
君が愛を囁くのなら、僕は耳を塞いで逃げてしまうだろう。
アスランの唇がゆっくりと僕の腹の傷をなぞる。ペロリと舐められるとゾクゾクしてしまう。
もしもこの傷が消えてしまったら、君を縛るものがなくなってしまうから、消すつもりはないし、消えそうになったら新しく付けるかもしれない。
君に恋をしていた僕はきっともう何処にもいない。
それでもアスラン、君を、僕に縛り付けて離さない。
ずっと、ずっと、ずっと……。