願いを描いた空には星が瞬いた。
溢れんばかりのそれは、いつしか涙を堪えているように見えてくる。
少しだけ、昔集めていたおもちゃの宝石を思い出す。
ごちゃごちゃして、それでいて優しい光。
「───────」
顔だけが夜空を向いて、そのまま。
世界で一番愛しい人の名前を呼んだ。
視界が、壊れるみたいにスパークした。
頬を伝うそれすらも、きっともう必要のないもの。
「大切に、したかった」
柔く滲んだ語尾にも気付かないふり。
愛も、憂いも、後悔も。
吐き出せばいいのに、それだけができない。
口にした瞬間に完結してしまう気がして。
はは、と空っぽの頭で笑った。
僕は悪い男だった。
でも、彼の隣ではそんなことでさえ笑って肯定できるような温かさがあって。
「おかしいな、」
震えに立っていられなくなって、地面に膝を付いた。
僕はどうかしてしまったのだろうか。
ただでさえ、曖昧を縫ってようやく生きた人生だったのに。
そんな僕の濁った人生に降ってきたのは、
輝く星だった。
幸運だった、と思い出話になんてできないほどに。
「愛してるよ」
ひとつ口にすれば、身体はつんざくような痛みに貫かれた。
いっそそのまま死んでしまいたかった。
置いていかないで、って言ったのにな。
ぶつけたい言葉も山程あるのに、肝心の相手だけがこの世から消えてしまった。
「──」
きっと、僕を真夜中、こんなところまで連れてきてくれたこの人は、間違いなく僕に気があって。
そしてそれすら飛び越えて、彼を愛しているままの僕を想ってくれているのだろう。
その人肌に抱かれたいな。
でも、きっと虚しいだけ。
どんなに優しくて、大きくて、甘い愛に包まれたって。
あの不器用な機械の手から紡がれたものに、勝てるものなんてなかった。
「今日だけ。今日だけ、抱きしめてよ」
降り注いだ愛も、この手をすり抜けて。
なんて厄介な贈り物、と一生懸命笑った。
満点の星空はちっとも空気を読まずに、まるで世界中が幸せみたいにきらきら笑っていた。
僕の中でもう触れられないほどに綺麗な愛だけが、
残酷に心を照らした。