特別な聖夜「大寿くんはさー、サンタとトナカイどっちが好き?」
「あ?」
年の瀬も迫り、立て込む年末行事のせいで忙しい日々が続く中、久しぶりに自宅でゆっくりとした時間を過ごす事ができた中、突然何の前振りもなく三ツ谷が謎の質問を投げかけてきた。
「サンタと、トナカイ」
「……サンタ」
質問の意図が全くわからない。ので、適当に答えた。
「わかったサンタね」
本当になんだかわからないが、妙に満足しているので良かったことにした。
いや、よく無かった。
クリスマス・イヴ当日。今年は良いのか悪いのか、金曜日になっているせいで、経営している飲食店はどこも満席の大盛況だった。当然明日も。明日の夜は毎年の予定があるため、今日のうちに徹底して仕事を終わらせておいた。そのせいで家に着いたのは日付が変わる直前になってしまった。
三ツ谷の方も年末進行で仕事の締め切りが迫っているとか言っていた。先に帰っていたとしてももう寝ているだろう。玄関の扉をそっと開いた。
「大寿くん! メリー・クリスマス!」
玄関の扉をそっと閉じた。
何かいた。今日明日とそこらのキャバクラに溢れていそうなタイプのサンタ・クロースの格好をした三ツ谷、のようなものがいた。
「ちょっと! なんで閉めるんだよ!?」
見間違いではなかった。三ツ谷だった。太ももを半分ほどさらしたミニスカートに、肩周りに
ファーのついたオフショルダー。
「オマエ、寒くねェのか」
「第一声それ!?」
赤と白のそれは、薄利多売の量販店に売られているものより明らかに無駄に良い仕立てだった。
「寒いよ! 寒いから早く中に入ってよ!」
迫っている締め切りってやつは、もしかしてこれだったのか?
「だって大寿くん、サンタの方が好きだって言ったじゃん」
「誰がそんなイカれたモン作るための質問だと思うんだよ」
「酷くない? 結構良い布使ってるんだよ? 三ツ谷隆オリジナルだよ?」
トイレットペーパーを買うのはどれにするか延々悩むくせに、なんでそういうところは惜しまないんだコイツは。
とりあえずスーツから部屋着に着替え、いつも通りリビングのソファに座った。
「聞くだけ聞くが、オレがトナカイつったらどうなってたんだ」
「んー、着ぐるみかな」
ならトナカイにしておけばよかった。
「で、中にえっろい下着着る」
どっちもダメだ。
「テメェはクリスマスを何だと思ってんだ……」
「いや今更でしょ」
わかっている。今更だ。クリスマスはこういった浮かれ野郎どもを引っ張る稼ぎ時だ。毎年教会へ行くクリスマスとはもう別次元の存在だと割り切っている。
「え、露出少なめの方が好みだった?」
人の腿の上に跨がってきた。こいつ本当にノリノリだな……。
「普通のサンタのが良かった?」
「どうせそれでまた中にエロい下着着けるとか言い出すんだろ」
「正解。大寿くんもわかってんじゃん」
短いスカートで足を開いて人の上に跨がるせいで、太もものほとんどが見えている。
「ワンパターンなんだよテメェは」
「はァ? んなことねーし」
「どうだか」
スカートをめくると、ほぼ下着としての機能を放棄した、紐とレースだけで出来たものが尻に貼り付いていた。
「大寿くんのえっち」
盛大なため息を一つ。
「行くぞ」
「準備してあるから!」
寝室のベッドの上には厚手のタオルが敷かれ、その上にゴムとローションが乗っていた。
とりあえず枕を背に座ると、三ツ谷はいそいそと人のちんこを取り出し、ゴムを付け始めた。
「なんだかんだ言いながら勃ってんじゃん」
「うるせェ人のこと言えんのか」
無駄に手際よく着け終わると、よっこいしょと言いながら人の上に跨がり、いきなり尻の穴に先端を付けて挿れようとし始めた。
「おい」
「大丈夫大丈夫。準備してあるって言ったじゃん」
「あ?」
ぐっと押しつけられた穴は、既に入り口が広がっている上に、中が、濡れていた。
「テメェまさか……」
「んっ……」
完全に人を無視して、ずぶずぶと人のモノを銜え込み始めた。いとも簡単に。準備、ってのは、ベッドやゴムではなく、こっちだったのか……。
「ぁ……んっ♡ んっ♡ んぁ♡ んんっ♡♡」
一人勝手に盛り上がり始めやがった。オレの肩を支えにして、腰を振り始めた。
「んっ♡ ぁ♡ きもち、いぃ♡ すっげ、ぁあ♡♡」
三ツ谷が動く度に、スカートの裾がめくれ上がる。何よりガン勃ちしたちんこがスカートを持ち上げて汚し始めている。
「ぁ……♡ たいじゅくん……♡」
下半身はそのまま、首に腕を巻き付ける形で顔を近づけてきた。
「おい」
「え」
「何一人で盛り上がってんだテメェは」
「え……?」
持ち上げて引っこ抜いた。
「えっ、やだっ!」
「うるせェ」
こいつ前より軽くなってやがる。このしょうもない衣装を作るために飯抜いてたんじゃねェだろうな。
ベッドの上に投げ落とすと両足首を持って足を広げた。
「た、大寿くん……?」
下着もどきはどうしたのかと思っていたが、尻の真ん中に穴が開いていた。中に仕込まれていたローションが溢れ出して尻をドロドロにしていく。
「テメェは……」
一息で根元まで押し込んだ。
「んぁあっ……っ!」
「バカか!」
「っ、あっ♡ あぁ♡ なっバカって、ぅあっ♡ な、にぃ……♡」
感じまくってる癖に逃げようとする腰を掴んでいつもなら突っ込まない奥の奥までねじ込んだ。
「ひっ、あっ♡ やっ、いっっ、あっ♡」
「人のいねェ間に勝手なことしてんじゃねェ!」
「だっ、て♡ んっ、さきに、やっと、けばっ……♡ たいじゅく、楽、かなっ、……て……」
「あァ!? ヤるのに楽もクソもあるか!」
暴れるせいでずり上がった上着をさらにめくりあげて、固くなっている乳首を押しつぶした。
「も、ぁ♡ やっ、らぁあ♡ ひっ♡♡ も、や、っ、ぁあ♡♡♡」
「ここにオレ以外のモン突っ込んでんじゃねェ!」
「そ、れっ、てっっ♡ んぁあ♡♡ んっ♡♡♡ ぁあ♡♡♡」
出し入れする度に、音を立てて中からローションが溢れ出してくる。どンだけ入れてたんだこのバカ。
「あっ♡ もっ♡♡ やら♡ もっ、らめっ、いぐ、いっちゃ、も、やぁ♡♡♡」
「あ? まだに決まってんだろ!」
懇願は無視して、尻が赤くなるほど強く叩き込み続ける。先端が奥の窄まったところを突くと度に、三ツ谷の身体がガクガク震え始めた。
「~~~~ッッッ♡♡♡」
「勝手にイってんじゃねぇよ」
「やら、たいじゅく、もぉむりっ……♡♡♡」
「嘘ついてんじゃねぇよ」
突っ込んだちんこで三ツ谷の腰を持ち上げるほどに抉りなで上げてやる。
「ひぁっ……ンアッッッ~~~~~♡♡♡」
「寝れると思うなよ」
「……ぁ♡ へ……? まってたいじゅく、そんな、しんじゃう……っ」
今日のために用意したであろうゴムの新箱を使い切る頃には、三ツ谷は最早指先を辛うじてくらいにしか動けなくなっていた。
「ばーーーか」
「バカはテメェだ」
「大寿くんのばーーーーーーーか!!!!!」
「うるせェ! 文句言わずにさっさと食え!」
ぐちゃぐちゃになったシーツをゴミ袋に押し込んで(まだ新しいのに! と文句が飛んできたが無視した)、昨晩三ツ谷が用意していた飯を暖め直した。
そして動けなくなった三ツ谷が陣取るベッドまで運んでやった。
「そんなとこにキレる!? んで、あそこまでヤる!?」
ブーブー文句を垂れながらも、ガツガツ目の前の飯を平らげていく。結構元気じゃねェかコイツ。横に座って見ているだけで腹が膨れそうなレベルの食いっぷりだ。
「ヤる準備万端で待ってたヤツがガタガタ抜かすんじゃねェ!」
「ヤりたかったけど! オレとしてはもっとこうさぁ……」
数分前まで白飯が山盛りだった茶碗を突きつけられた。これはお代わりを持ってこいってことか。
「それだけ元気なら部屋の掃除でもしろバカが」
「は!? 元気じゃねェし! 下半身ガッタガタだし!」
「夜には出掛ける。それまでに立てるようにしとけ」
茶碗を持って立ち上がった。
「え? オレも行っていいの?」
「何の問題がある」
「オレ、クリスチャンじゃないよ」
「関係ねェ」
コートのポケットに入れたままの小さな箱を、そこで渡すつもりなのだから、来てもらわなけりゃ困る。
「じゃあ冷蔵庫にまだチキンあるはずだからそれも持ってきて!」
「何が、じゃあ、なんだ……」
「食って体力付けないと」
「ここんところ食ってなかっただけだろテメェ」
「はやくー!」
ガチで給料三ヶ月分にしようとしたら、さすがに重すぎでしょ……、とどん引きした顔で九井に止められたから、一ヶ月分程度の額のモンだが、まあいいだろう。
「あ! あとケーキね! 大寿くんも食べるでしょ!」
「……わかったからおとなしくしてろ」
いつ渡すか考えながら帰ってきたところでアレだったせいで機会を逃したのにも少しイラついたのは事実だが、まあ、俺達のことなら、あそこがちょうどいいだろう。
「サンタはオレが食べるからね!」
「ならチョコはオレだな」
「え! ずるい!」
小型のホールケーキにロウソクを立てて、三ツ谷に催促され、仕方なく二人で吹き消した。