💄さんに救ってもらう話「あなた、コレの度数を知らなかったのね。」
頭がクラクラして霞んだ目に誰かが写る。え、誰?あれ、わたしなにしてたんだっけ?
ああ…確か外回り中にルージュさんに会って…一杯だけって…
「仕方ないわね……ン…」
唇に柔らかいものが触れて冷たい水が流し込まれる。
「ッ…ンん〜ッ」
「っ、は……大人しくしなさい…悪い子ね、ほら飲み込むのよ。」
鼻を摘まれて呼吸がままならず半ば強制的に水を飲まされると、再び唇を塞がれる。それを数回繰り返したところでようやく頭が回るようになってきた。
「少しは酔いが覚めたかしら?」
「ぅう……とんだご迷惑を…」
まだ体が浮くような感覚に溺れながらようやく発した第一声がこれだ。 彼女はそんなわたしの様子を見て一瞬だけ目を丸くすると何故か笑い出す。
「アハハ!いいのよ別に。面白いものが見れて満足だわ。にしてもあなた成人してたのね」
「…ぇ?……みせぇねんだと、思われてたんです?」
上着も脱がないままベッドに転がされた状態で彼女を見上げて問う。ルージュさんはと言うと顔色一つ変えずに蒸留酒を飲みながらこちらを一瞥した。
「あら、あなた鏡を見た事がないの?どこからどう見ても未成年じゃない。」
確かに彼女に比べれば背も低いし顔立ちも幼い。だがそれは彼女のプロポーションが抜群すぎるだけであってわたしは年齢相応…だと思いたい。
「不満そうな顔ね。あなた実年齢幾つなの?……まぁどうでもいいわ。」
彼女は一方的に話を終わらせてガラス製のテーブルにグラスを置くとこちらへ歩いてくる。
「な、んれ…すかぁ…」
「何って…スーツが皺になるじゃない。」
少々強引ではあるもののわたしの体を抱き起こすとスーツを脱がせてくれたようで、火照っていた体が楽になった気がする。
それでもまだ体内にアルコールが残っているせいかじんわりと汗が滲んだ。
「ん…ぁつい……」
その感覚が不快で少しでも涼をとろうとワイシャツのボタンに手をかけるが手元が狂ってボタンが外れない。
一人でもぞもぞとボタンと格闘していると、スーツをハンガーに掛けてくれたルージュさんが戻って来たようだった。
「る、じゅさ…ぬがせて……」
「大胆ね。ソレ男の前で言ったら大変な事になるわよ」
「??…あつい…」
「…聞いてないわね……この有り様でよく大人だなんて言えたものだわ。」
彼女の白く細長い指がワイシャツのボタンにかかって上から一つずつ外していく。第三ボタンまで外れたところで手が止まり
「これでいいかしら?」
と聞かれたが首を横に振った。確かに涼しくはなったがまだ暑い事に変わりはない。
「ぜんぶ……脱がせ、て…くださぃ…」
「…裸にしろって言っているの?」
「ン…」
小さく頷くわたしに溜息をついて再びボタンを外しにかかるルージュさん。
必然的に距離が近くなるせいか彼女の香水の匂いを間近で感じて謎に胸が高鳴ってしまう。
その間に全て外し終わったのか手が素肌を這う感覚がした。
「ふふ…ピンクが好きなの?可愛いわね。」
「みないで、くださ…い……」
「脱がせろと言ったのは誰かしら?」
スカートのチャックも下ろされて簡単に脱がされてしまう。
もう体を隠すものは下着しか残っておらず、一見扇情的な雰囲気を醸し出しているが彼女からすればこれはただの酔っ払っいの介抱に過ぎないのだろう。
「これなら濡れても大丈夫ね。」
なんて言いながら口元へミネラルウォーターをぐいぐいと押し付けてくる。
「ん、ぐ…っ……」
水を飲ませている張本人は飲みきれなかった水が首筋を伝って下着やベッドシーツに染みを作るのを見て楽しそうにしている始末だ。
「あらやだ、アハハ!あなたお漏らししたみたいになってるじゃない。本当に子供みたいね。」
「子供じゃ、ない…です〜…」
「はいはい。乾かさないと駄目ね、これ。…脱がせるわよ、腰上げなさい。」
酔っ払いの戯言など耳に届いていないのか、慣れた手付きでブラジャーのホックを外されてショーツまで下ろされてしまう。
このまま脚から抜き取られるのかと思いきや膝の辺りで手が止まった。
「あら……」
「…?……ぁ、や…ッ!」
彼女の視線が下半身に向けられる。つられて下を向くと脱がされたショーツには明らかに零れた水ではない粘性のある液体が染み込んでいた。ルージュさんはわたしを子供だと言うがいくら子供っぽいといってもその正体くらいはわかる。
こんな姿を見られてしまった羞恥に両手で顔を覆おうとするが阻止されてしまった。
「恥ずかしがらないで?お酒を飲んでこうなるのはよくある事よ。」
「っ……ぅう…」
「でも…こんなの見せられたら放っておけないわね。」
彼女の言葉と共にわたしの視界は赤でいっぱいになる。押し倒されたのだと自覚した時にはもう遅く、捕食者の表情をしたルージュさんに見下ろされていた。
「教えてあげるわ、女だって狼じゃないとは限らないのよ。…お勉強になったかしら?哀れなお嬢ちゃん《ニーニャ》♡」
喉からヒュッと音が鳴る。もう逃げられない。なのに今から喰われるのだと思うと期待と興奮に躰がゾクッと震えてしまう。
軽く触れるだけの口付けから始まり、徐々に激しくなっていくそれに息が上がる。隙間無く唇を塞がれれば酸素を求めて開けた口から舌を捩じ込まれて自分の舌を絡め取られた。
「…ン…ッ、ふ…ぅ、ぁ♡」
「……ん、ン〜ッ♡……」
やっと唇が離れたかと思えば首筋へ舌を這わされる。鎖骨まで降りたところで胸元へ痕を付けられた。
「ゃ…そこじゃ……見えない…」
「見せたいの?いけない子ね♡」
また首筋へ顔が近付く。一瞬だけ痛みを感じた後で直ぐに離れてしまうが相当上の位置に痕を付けられたのだろう。
「ふふ…これじゃあボタンを上まで閉めても隠れないわよ?」
「いいん、です…隠したくない…♡」
「あなた…人を誘惑する才能があるのね。」
急に腕を引かれて上体を起こされたかと思えば彼女に寄りかかるような体制にさせられる。背中に豊満な胸が当たっており、自分の貧相な体と比較して勝手に落ち込んでいると胸に手が伸ばされて先端を摘まれた。
「ひ…ッ……ン、ぅ♡」
「大きさは控えめだけど綺麗な形ね。小さい方が感度がいいっていうのは本当かしら?」
背後から両手で胸に刺激を与えられて自然と腰を揺らしてしまう。一人で慰める時よりも遥かに強い快楽に声を漏らす。
「ぁ、ン…ッ…んっ♡」
「もう腰が動いてるわよ?いかにも真面目ちゃんみたいなあなたでさえこうなってしまうなんて…お酒の力ってすごいのね♡」
「あ…っ、ぅ♡…ン…♡…ぁはッ♡」
ああ、いけない。もう少しだけ隠しておくつもりだったのに彼女の言葉に化けの皮が剥がれてしまった。
背中を預けるような体制から身を捻り、ルージュさんと向き合うように座ってぐっと彼女に身を寄せる。
「ねぇ…ルージュさん…♡わたし、あなたを騙した事を懺悔しなきゃ…」
「あら…それはどういう意味かしら?」
「あんな度数の低いお酒じゃ酔わないんです。だって…真面目とは程遠い仕事をしていたんですもの♡」
「…ふふ…そう……やってくれたわね、お嬢ちゃん《ニーニャ》 処女だと思って優しくしていたけれど…もう手加減しなくていいって事よね?♡」
「手加減なんてしないで…お姉様♡」
膝立ちになり彼女の手を軽く掴むと自身の秘部へと導く。そこはお酒の力を借りなくてももう十分すぎる程に潤っており、指程度であれば簡単に呑み込んでしまった。
彼女の方も何時までも見下ろされているのは気に食わないのかわたしの肩を押して身体を後ろに倒した。ベッドのスプリングがぎし、と軋む音がして昼間だというのに薄暗い室内で二人の影が重なった。
「ン、♡は、ぁっ……あ♡…ンん♡」
「……っ…ふ…♡」
舌を絡める口付けを交わしながらもナカを刺激される。同性同士だからかもしれないが気持ちの良いポイントを的確に攻められて全身に甘い電流が走る。
「る…じゅさ♡ ぁあッ♡…ソコ、もっと…♡」
「アハハ、ここがイイのね。素直な子は好きよ♡」
二本挿入された指を腟内でぐっと曲げられ、そのまま出し入れされると嬌声が止まらなくなる。
「ッ♡ ン゛ぅう♡♡…ァあぁっ♡」
「やだすごい声♡ もっと奥まで入れるわよ?」
「ッ♡ ぁア゛〜〜ッッ!!♡♡」
最奥まで指を挿入されて子宮付近をトンッと優しく突かれた。
その瞬間目の前にバチッと火花が散ったような幻覚が見え、今までのものとは比べ物にならない気持ち良さが躰を包んだ。
「あらァ♡子宮降ろしちゃって…私の指じゃ孕ませてあげる事はできないのに…♡」
そう言いながらも指の動きを止めようとしない彼女に首を横に振る。
「♡ ら〜ッ!も、ッた、ァか♡」
「何言ってるの?知ってるわよ。」
「ン゛あァ♡ ァアあ〜ッ♡♡」
激しい刺激に再び絶頂を迎える。ベッドの下に乱雑に放り投げられた鞄の中で仕事用の携帯のバイブレーションが聞こえるが、今はそれすらどうでもいいと思える程に溺れてしまっていた。
「何ぼーっとしてるの?終わりじゃないわよ♡」
「、イけッ♡♡」
ルージュさんはわたしを軽々と抱き上げて窓に手を付くような体制にさせるとそのまま後ろから指を挿入する。
「ァあッ!♡ッ♡〜〜〜ッ!!♡」
「挿れただけでイったじゃない♡もうイけないんじゃなかったの?」
「ッは、あァぁ…♡♡」
「ほら休んでる暇ないわよ♡」
パンッと乾いた音を立ててお尻を叩かれるとナカに挿ったままの彼女の指を締め付けてしまった。
「…ふ…アハハ!いい事知ったわ!あなたってマゾなのね♡」
「ぁッ♡ ちが♡」
抗議の声を上げようとすればまた一発叩かれた。
「ァあッ♡」
「何処が違うのかしら?♡」
「ン゛ん〜ッ♡♡」
顎を掴まれて舌を捩じ込むような口付けをされる。更にその状態でイイ所を擦られれば何度目かの絶頂を迎えるのは直ぐだった。
「ッ♡ン〜ッ♡ァ〜〜ッ!!♡♡♡」
プシャッと音がして溢れ出た潮がルージュさんの指と床を濡らす。
流石にもう体力が限界を迎えたのか床にへたりと倒れる寸前で抱きとめられてベッドに寝かされた。
「ッ…♡……っ♡♡」
それでもまだ余韻が残っているのか躰はびくびくと反応しており、それを見た彼女はまた面白そうに笑うのであった。
頭にノイズがかかったような怠けを感じる中、再び携帯のバイブレーションが聞こえる。
「……さっきから煩いわね。」
ルージュさんはそれを拾い上げると遠くへ放り投げてしまった。
「だ、めです…しごと…もどらなきゃ……」
「まだ喋れる余裕があるのならもう何度かイかせてあげてもいいのよ?」
「…すみません……」
素直に謝ると彼女はベッドの縁に腰掛けてわたしに尋ねた。
「…どうして私の誘いを断らなかったの?仕事熱心なあなたなら絶対に乗らないはずよ。」
「どうして……でしょうか…。救われたかった、から…かな…」
この答えに彼女がどんな表情をしていたかはわからない。
「そう。…死神に縋るなんて哀れな子。……頑張りすぎよ、お馬鹿さん。今は眠りなさい。」
しかし少しだけ救われた気がした。