凛子から「KK、暁人くん、山林所有者から依頼よ」と言われたのが昨日の出来事だ。
暁人が偶々KKのアジトのそのまたKKが散らかした部屋の片付けをしつつKKは煙草を吸いサボっているのを暁人に咎められていた時凛子が声をかけてきた。
「どんな依頼だ?」
「今紅葉狩りの季節でしょ?だから山林所有者が紅葉の管理をしていた時偶々見つけたみたいね、一本だけ青い紅葉がなる木があるって。色んな方法を試したけれど結果は…」
「全敗ってわけか」
凛子の言葉にKKが被せる。それに凛子は頷きKKは資料を流し見すると準備に取り掛かった。
「明日でいいわ。今日はもう遅いもの。」
「ん?急ぎじゃないのか?」
「急ぎは急ぎだけれど明日で良いの。」
いつもなら今行けすぐ行けさっさと行けの凛子が渋るのは何か理由があるのだろうと結論づけたKKは再びタバコを吸おうとし暁人に「ベランダ行ってね」と資料を見ながら言われたのでベランダにいそいそ出ていった。
その姿を見送った凛子は暁人を見る。
「明日の昼前にお弁当持っていきなさい」
「え?…どういうことですか?」
「ふふっ貴方達最近忙しそうにしてたでしょ?だから紅葉の依頼を遂行したら紅葉狩りしてきなさい。その許可は取ってあるから」
そこでようやく暁人は凛子が明日にしろと言った理由がわかったのと同時にKKと付き合っている事がバレてることに顔を赤くした。
「え?!あ、え…うぅ…ありがとう、ございます…」
最早礼を伝えるのが精一杯で暁人の赤くなった顔は資料に隠れた。それと同時にKKがベランダから帰ってきて暁人の様子を見て首を傾げていたが凛子が「何でもないわ」と言って作業に戻ったのと暁人が平静を取り戻したので何も言えなくなりそしてその日は何事もなく過ごした。
次の日の昼前ぐらいに言われた山まで来た2人は見事な紅葉に感嘆な声を上げる。
「わぁ…凄いね…」
「あぁ、これは立派だな…」
2人が見上げた紅葉通りはそれは見事に鮮やかな紅葉が色づいていた。その道を奥に進むと一本だけ異様な紅葉に出会う。そう、依頼のあった青い紅葉だ。
「こりゃ酷い有様だな」
「何でこうなったんだろう…?」
その答えはすぐに分かった。何故なら霊視をしたからだ。
「霊道が変に乱れやがってこの一本だけ青くしたようだな」
「どうにかできる?」
「俺を誰だと思ってんだ?KK様だぞ、見てろよ?」
そういう時KKは印を結び青い紅葉を祓った。ついでに霊道の乱れを直しつつ…。
祓われた紅葉はそれはそれは美しい紅葉に色づき穢れが祓われたのだと分かった。
「んで、暁人の持ってるそれは何だ?」
「これ?これはお弁当。最近頑張ってる僕達に凛子さんがご褒美に紅葉狩りしておいでだって」
そこまで聞けば大方理解したのかKKは「凛子にしてやられたな」と笑った。
そして紅葉狩り用に用意されていたベンチに腰掛けると暁人に「座れよ」と隣に来るよう言う。それに暁人は頷きKKの隣に座り弁当を取り出す。
「やっぱり暁人の作るもんは何でもうまそうに見えるな」
「そんな事ないよ…」
恥ずかしそうにだが嬉しそうにはにかむ暁人にKKは口を開き詩を詠む
「めづらしと 我が思ふ君は 秋山の 初黄葉に 似てこそありけれ」
「…なにそれ?」
「あ?知りたかったら調べろ」
少し恥ずかしそうに言うKKに暁人は首を傾げてスマホで調べた。そしてその意味を知った瞬間顔を真っ赤にしたのを見てKKは満足そうに笑ったのだった