すやすやにゃんにゃん「ドクター、そいつはお前さんのベッドじゃあないんだがね」
Scoutの困り果てた表情など意にも介さず、その小さな猫はにゃあんと誇らしげに鳴いてみせたのだった。
任務を終え拠点まで戻ると、今まで自覚できていなかった疲労がどっと襲い掛かる。それでもまだ休めるだけマシではあるのだ。自分のような長期間にわたる単独での任務を負うことの多い人間にとって、拠点の自分のテントで休める時間というのはとてつもなく貴重なものである。それを知っているからか、今のScoutには知り合いや部下たちもおいそれと声をかけてくることはない。ただひとり、いや一匹を除いては。
「なあん」
「ドクター、いつの間に。ああ、元気だ。怪我も大したことはない」
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