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    Sco博ギャグ。ドキドキお泊り会何も起こらなかったよ無自覚片思い編導入部分。

    #Sco博♂

    「そこまでの護衛は必要ないと言っているだろう?」

     ことの始まりはドクターの私室が爆破されたことだった。護衛として同行していたOutcastの機敏な判断によって怪我ひとつなく済み犯人の特定から再発防止策の策定までは速やかに終わったものの、このバベルという組織の重要人物の命が狙われたことは間違いようのない事実である。そこでクロージャによって”もっと頑丈なセキュリティ”の部屋が用意されるまで、ドクターには護衛がつくことになった。だが、
    「仮眠室があるのは執務室の隣で、このフロアには二十四時間態勢で見回りを行っている。なのにどうして寝ている最中にまで護衛を貼りつかせていなければならないんだ?」
    「アンタの部屋があるフロアだって、人の出入りは十分に多い場所だった。一度目は失敗したのだから、次のやり方はもっと巧妙になるに決まっているだろう」
     珍しくドクター相手に一歩も引く様子を見せないのはScoutだった。常ならば阿吽の呼吸どころか言葉すら不要なほどにその意思に沿って見せる男が、しかし今回は頑として主張を譲る気配すら見せていない。
    「そんなことに貴重な人手を割けるか。第一オペレーターに何といえばいいんだ。戦場のど真ん中でもないのに私がぐうすか寝ている横で寝ずの番をしろと?」
    「命じられたら泣いて喜ぶ連中の名前を今すぐに十人は挙げられるが」
    「それは嫌すぎて泣き叫んでいるだけだろう。万年人手不足のバベルにそんな人員の余裕はない」
    「あれは何をやっているの?」
    「痴話喧嘩」
    「あらまあ」
     通りかかったカズデルの伝説の大英雄は目を丸くしたが、言い争いの内容に耳を傾けるとにこやかに挙手をした。
    「ならドクター、良い案があるのだけれど、私の部屋で一緒に眠るというのはどう? 私なら元々ずっと護衛がついているし、ベッドも充分に広いわ」
    「テレジア、どうしてそれが良い案だと思った。頼むから私の命を狙う刺客が増えるような発言は冗談でもやめてくれ」
     あらそう残念、と微笑む彼女の目は本気だったが、それを指摘できるほどの胆力の持ち主はこの場にはひとりも存在しなかったので曖昧な空気でスルーされた。
     そして両者の言い争いは歯止めなくエスカレートし、エスカレートした口論はだいたいそうなるように話題がドクターの日頃の生活態度の劣悪さなど関係ない方面へと発展し、飽きたギャラリーが賭けすら放棄して雑談に興じ始めた頃合いに至って、とうとうドクターの忍耐が限界を迎えた。
    「もういい、そこまで言うのなら護衛には君を指名する。今日から君の部屋で寝泊まりするから好きなだけ護衛の任につくといい。はは、プライベートの時間まで上司に侵略されるなんていう最悪の……」
    「わかった。なんだ、そんなことでいいのか」
    「…………は?」
    「承知した。そんな条件で良かったのなら最初から言ってくれれば良かったんだ」
    「は? あのな、私は君の睡眠をめいっぱい邪魔してやるって言ってるんだぞ」
    「その程度、アンタの身の安全には代えられんよ」
    「待て待て待て、心が広すぎる。そもそも最初はそんな話じゃなかったはずで」
    「おーい、終わったかー」
    「もう、ドクターったら私は駄目でScoutならいいっていうの?」
    「話の流れがおかしい! どうして私の護衛の話がそんな謎の二択になっているんだ」
     ドクターが勝手に墓穴を掘っている間に細々とした取り決めの内容が決まり、そうして互いに無自覚な両片思い同士の期間限定同棲が確定したのであった。
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    DOODLE岳博ギャグ、自分のもちもちロングぬいぐるみに嫉妬する重岳さんの話。博さんずっと寝てます。絶対もちもちロングおにい抱き枕寝心地最高なんだよな…
    180センチのライバル 重岳は破顔した。必ず、この眼前の愛おしいつがいを抱きしめてやらねばならぬと決意した。重岳は人という生き物が好きだ。重岳は武人である。拳を鍛え、千年もの年月を人の中で過ごしてきた。けれども、おのれのつがいが重岳を模したもちもちロングぬいぐるみを抱きかかえて、すやすやと寝台の上で丸くなっていることについては人一倍に敏感であった。


    「失礼、ドクターはどちらに」
    「ドクターでしたら、仮眠をとると私室へ」
     あと一時間くらいでお戻りになると思いますが、と教えてくれた事務オペレーターに礼を伝え、重岳はくるりと踵を返した。向かう先はもちろん、先ほど教えてもらった通り、ドクターの私室である。
     この一か月ばかり、重岳とドクターはすれ違いの生活が続いていた。ドクターが出張から戻ってきたかと思えば重岳が艦外訓練へと発ち、短い訓練ののちに帰艦すれば今度はドクターが緊急の呼び出しですでに艦を離れた後という始末で、顔を見ることはおろか声を聞くことすら難しかったここ最近の状況に、流石の重岳であっても堪えるものがあったのだ。いや流石のなどと見栄を張ったところで虚しいだけだろう、なにせ二人は恋仲になってまだ幾ばくも無い、出来立てほやほやのカップルであったので。
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    DOODLE岳博、いちゃいちゃギャグ。寒い日に一緒に寝る姿勢の話。岳さんが拗ねてるのは半分本気で半分はやりとりを楽しんでいる。恋に浮かれている長命種かわいいね!うちの博さんは岳さんの例の顔に弱い。
    「貴公もまた……」
     などと重岳に例の表情で言われて動揺しない人間はまずいないだろう。たとえそれが、冬になって寒くなってきたから寝ているときに尻尾を抱きしめてくれないと拗ねているだけであったとしても。


     彼と私が寝台をともにし始めてから季節が三つほど巡った。彼と初めて枕を交わしたのはまだ春の雷光が尾を引く暗い夜のことで、翌朝いつものように鍛錬に向かおうとする背中に赤い跡を見つけ慌てたことをまだおぼえている。それからほどなくして私の部屋には彼のための夜着がまず置かれ、タオルに歯ブラシにひとつまたひとつと互いの部屋に私物が増えていき、そして重ねる肌にじっとりと汗がにじむような暑さをおぼえる頃には、私たちはすっかりとひとかたまりになって眠るようになったのだった。彼の鱗に覆われた尾にまだ情欲の残る肌を押し当てるとひんやりと優しく熱を奪ってくれて、それがたいそう心地よかったものだからついついあの大きな尾を抱き寄せて眠る癖がついてしまった。ロドスの居住区画は空調完備ではあるが、荒野の暑さ寒さというのは容易にこの陸上艦の鋼鉄の壁を貫通してくる。ようやく一の月が眠そうに頭をもたげ、月見に程よい高さにのぼるようになってきた頃、私は名残惜しくもあのすばらしいひんやりと涼しげな尾を手放して使い古した毛布を手繰り寄せることにしたのだった。だが。
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    DOODLESco博。料理上手だった人の話。実際そこまで上手というよりは器用にいろいろ作れる人、くらいだったら萌える。
    スプーンひとさじの幸せ「どうして君が作るとこんなに美味しいんだろう」
     同じ缶詰なのに、とぼやくドクターの手元で、年季の入ったステンレスのカップがからりと音を立てた。


     それがほんの短い期間であったとしても、荒野で生き延びるというのは苦難に満ちた行為である。たとえ十分な準備があったとしても、目の前に突如として天災が現れてしまえば何もかもが終わりであるし、そうでなくとも哀れな旅人の身包みを剥ごうと手ぐすね引いている連中など掃いて捨てるほどうろついている。だから、この頑強とは到底いえない元学者である男が荒野を渡るすべを知っているのは非常に奇妙なことだとScoutには思えたのだった。
     荒野に点在する小さな集落への交渉役にみずから名乗りを上げたのはドクターだった。古い知り合いがいるから、というのがその主たる理由で、あまり警戒されたくないのだという言葉に従い護衛は最小限、率いる小隊は近くの渓谷に待機してもらいドクターとScoutだけが数日かけて谷の底の集落へと向かっている。進むスピードこそゆるやかであったものの、ドクターの足取りはしっかりしたもので、むしろ斥候であるScoutの足によくついてきているものだと感心するほどだった。
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    DOODLESco博、成り行きで衆人環視の中でキスする話。
    「…というわけで私と彼の初キスはコーヒーとドーナツの味だったんだ」「キャー!!その話詳しく!!」(背後で盛大にビールを噴くSc)
    キスの日記念日「本日は『キスの日』ですので、スタッフの前でキスをしていただきますとペア入場券が半額になりまーす」
    「は?」
     びしりと固まったScoutの視界の端で、形の良い頭がなるほど、と小さく頷いたのが見えた。


     どうしてそんな事態に陥っているのかと呆れられたところでScoutに言えることはひとつしかない。ドクターに聞いてくれ、である。次の会合場所の下見のためにドクターとScoutがクルビアのとある移動都市に到着したのは昨日のことだった。しかし入管でのトラブルのためにドクターが持ち前の頭脳と弁舌と少しどころではない金銭を消費した結果、『些細な記載ミス』は無事に何事もなく解決し、しかし二人が街に放り出されたのは既にたっぷりと日も暮れた頃だったのである。ずいぶんと軽くなってしまった懐を抱えながらもかろうじて取り戻せた荷物を抱えて宿へとたどり着けたときには、あのドクターですら口を開くのも億劫といった始末であったので、定時連絡だけを済ませてこの日は二人とも早々にベッドの住人となることにした。そして翌朝、道端のスタンドで買ったドーナツとコーヒーを片手に地図を広げて予定を組み直していたドクターは、食べきれなかったドーナツの半分を(この時点でScoutは二つ目をすっかり平らげ終えていたというのに!)Scoutのスカーフに覆われていない口元に押し付けながら、まずはあの展望台に行こうと言ってこの都市のどこからでも見える高い塔を指さしたのであった。
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    DOODLE博が三徹後に炎に夜のお誘いしに行ったら完全にコミュニケーション失敗したけど主目的は果たせた話。狐狸に煙草を吹きつければ真実の姿を現す風習はテラにもあるんだろうか
    煙草は恋の仲立ち[炎博♂]「君の吸ってるその煙草のメーカー、倒産したらしい」
     黒々としたバイザーのその奥は相変わらず何を考えているのかわからないぽかりとした空洞で、だがその口から唐突に一般的な世間話のような言葉が飛び出してきたものだから、エンカクはついうっかりと相手に続きの言葉を発する隙を与えてしまったのだった。
    「もともと狭い範囲にしか流通していなくて、値段の安価さから固定客はそれなりにいるものの原材料の供給が不安定だった。そこに親会社の経営悪化が響いて、先月正式に撤退が発表されてたよ」
    「あそこにはこれしかなかった。特に意味はない」
     黄ばんだ白い箱に角の生えた頭蓋骨。カズデルに流通する物資は他の地域では見かけないものが多かったらしく、製薬会社の一員として各地を回りながら見慣れた品々が見当たらぬことに当初は戸惑いをおぼえることも多かった。そんな日々の中でも数少ない以前からの嗜好品のひとつがこの煙草であったのだが、彼の言葉を信じるならば嗜好品のひとつだったと過去形で語らねばならないのだろう。とはいえ彼に告げた通り、エンカクは別段煙草の種類にこだわりを持っているわけではなかった。ただ単純に選択という手間を省いていただけで、さらにいえば愛煙家というほどのものでもなかった。まさか彼の目には自分が煙草に執着するような人間であると映っていたとでもいうのだろうか。自分の思いつきにおかしみをおぼえ、つい唇の端を歪めてしまったところ、彼は相変わらず茫洋とした真黒の眼差しをこちらへと向けた。
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