名 荒れ狂う龍神が嫁を貰ったと知らせが来たときは、何かの間違いなのではないかと疑ってしまった。しかも、人間だというのだから驚きだ。絶対に嘘だ、信じられない。そう凛子がそう語るほど、龍神は人嫌いで有名だった。しかも、同じ崇められる神とは、思えないほど横暴なのだ。
『名』
「凛子?」
「…………」
「めでたいじゃん!」
「うーん、信じられない……」
白と黒のモノトーンな着物に見を包んだ凛子は、突如やってきた知らせに驚愕を隠せず、眷族である絵梨佳と共に龍神の住処までやってきていた。理由は一つ。祝言は嫁が恥ずかしがるから挙げないが、祝いの品を寄越せなどと言う、横暴な一言があったからだ。
「どんな人なんだろうね!」
「無理やりじゃないでしょうね……」
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