風真は焼き菓子を作るのが上手い。詳しく聞いたことはないが、彼の母親がお菓子を作る人だったらしくその影響だと言っていた。
「今日は何作るの?」
キッチンには卵、砂糖、小麦粉、牛乳、バターが並べられている。だけど大抵のお菓子はそれらの食材で作られるので、七ツ森はまだ、風真が何を作ろうとしているのか分からない。ただ、その食材達が冷蔵庫の中で乏しくなると七ツ森は少しソワソワとする。
なにせ大抵のお菓子は、それらの食材で作られるので。
「マフィン」
風真はそう言って、一つずつ計りに食材を乗せていった。彼の頭の中のレシピに則り、それぞれ分量が揃えられていく。
「丁寧だよな」
「お菓子はそういうもんなの。配合が違うと全然別ものになるか…下手したら失敗する」
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