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    さよりこ

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    さよりこ

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    米は美味しく炊けた七風の続きです。七ツ森が一人で頑張ります。カザマはやっぱり魔法使いです。
    文字数かなりオーバーしちゃいましたごめんなさい。

    #七風食堂
    sevenWindsCanteen

    シアワセの味ってたぶんコレ『悪い、帰り遅くなる。昼は適当に食べててくれ』
     朝からおじいさんの店に手伝いに出かけたカザマからメールが届いたのは、十一時を過ぎた頃だった。画面に指を滑らせて「了解」と返そうとして、ふと先日買っておいたものの存在を思い出した俺は、その先に一言追加した。
    「了解。カザマの分も用意しとく」

     キッチンの戸棚から炊き込みご飯の素を取り出す。
     先日一緒に料理を作った(と言えるかはわからないが)時に、カザマは俺が炊いたご飯を「うまい」と言って食べてくれた。そこで俺は、コレなら一人でも食事の用意ができるんじゃないかと考えた。
     なにせ研いだ米に入れるだけなのだ。米が炊けるなら失敗するハズがない。
     さっそくキッチンへと向かい、三合分の米を研ぐ。ちょっと多いかもしれないが、残った分は夜に回せばいい。
     カザマみたいに本格的な料理はできないが、俺だって調理実習なんかで米を研いだコトくらいはある。一人暮らしを始めてすぐの頃は、自炊を試みて何度か炊飯器だって使用した。日々の経過とともに使用頻度は下がっていったのだが。
     研ぎ終わり、メモリまで水を入れる。あとは袋から取り出して中身を入れるだけだ。
     ……なのだが。
    「え、これ、こんなモン?」
     中身を全部入れたところで、急に不安に駆られた。
    (めっちゃ水分多くない? え、俺、ちゃんとしたよな?)
     もう一度箱を確認する。パッケージにも二合から三合と書かれている。量は間違っていない。ハズだ。
    「けど、もし、水加減間違ってたら……」
     せっかく褒めてもらったのに、ガッカリされてしまう。
    (それはイヤだ……)
     釜の中をジッと見つめる。
     それからゴクリと喉を鳴らして、ゆっくりと手を伸ばした――。

    「ただいま。悪い、遅くなっ……た?」
     帰ってきたカザマが、俺の様子を見てギョッとする。
    「ど、どうしたんだよ。この世の終わりみたいな顔して」
    「う……」
     ミスった。少しと思って減らした水分だけ、米が固くなってしまった。
    「この匂い――炊き込みだよな? 作ってくれてたんだな」
    「ゴメン」
    「え?」
     首を傾げるカザマに、事の顛末を説明した。

     テーブルに並べられた料理を前に、感動で言葉を失う。
    「炊き込みご飯で作る和風リゾット。一回作ってみたかったんだよな」
    「え、スゴ……フツーに神じゃん……。カザマはやっぱり魔法使いだった……」
    「大袈裟。食ってみろよ」
     笑顔で促され、感動のままスプーンを握る。驚きの大変身を遂げたリゾットをゆっくりとすくい、ほかほかの湯気に息を吹きかけた。
     ドキドキしながらひと口目を頬張る。
    「――ウマい!」
     和風というだけあって、炊き込みご飯の味がちゃんと活かされている。固くなっていた米もリゾットにしたおかげで柔らかくなっていた。
     アレがコレになったのだ。俺からしたらじゅうぶん魔法だった。
    「よかった。チャーハンとかドリアとか、お茶漬けにもできるし、夕飯は違うものにするか」
     カザマがいつになく輝いて見える。俺は思わず両手を合わせて拝んだ。
    「……ゴメン。俺一人でもちゃんとしたの作れたら、負担減らせるかもって思ったんだけど――」
    「いいって、その気持ちが嬉しい。それに理由もちゃんとわかってるんだから、次は失敗しない。だろ?」
     フォローもカンペキだ。こんなにできた恋人がいる俺はなんて幸せ者なのだろう。
    「一生カザマのメシが食べられたら、俺、シアワセだなー……」
     ポツリと零れた本音だった。
     次の瞬間、カザマの手からスプーンが落ちた。
    「それ、って、もしかして……プ、プロ……」
     ビックリした顔で頬を染めるカザマ。一瞬遅れて、俺も同じ顔になったあと、手からスプーンが滑り落ちた。

     そのあとちゃんとやり直しさせてもらえました。
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    むんさんは腐っている早すぎたんだ

    DONE七風リレー小説企画 第一弾ラストになります。
    お付き合いいただいた皆様ありがとうございました!!

    (なおラストはどうしても1000文字で納められなかったので主催の大槻さんにご了承いただいて文字数自由にしてもらいました💦今後もラストパートはそうなると思います)
    七風リレー小説⑥ 一度だけ響いた鐘の音に惹かれて風真は歩を進めていく。理事長の方針なのかは知らないが目的地までの道は舗装されておらず、人工的な光もない。すでに陽は沈みきってしまっているため、風真は目を慣らしつつ〈湿原の沼地〉を進んでいく。草木の茂る中ようやく着いた開けた場所にぽつんとあるそこは、予想はついていたが建物に明かりなどついておらず、宵闇にそびえる教会はいっそ畏怖さえ感じる。……大丈夫。俺は今無敵だから。そう心で唱えた後、風真は教会の扉に歩みながら辺りを見回して声を上げた。
     
    「七ツ森。いるのか?」
     
     ――返事はない。
     シン、とした静寂のみが風真を包み、パスケースを握った右手を胸に当てて風真は深くため息をついた。あれだけ響いた鐘の音も、もしかしたら幻聴だったのかもしれない。そもそもこんな闇の中、虫嫌いの七ツ森が草木を分けてこんな場所にくるはずもなかった。考えてみたらわかることなのに、やはり少し冷静さを欠いていたようだ。風真はそっと目の前の扉を引いてみる。……扉は動かない。
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    oredayo_mino

    DONE七風食堂:冷蔵庫の残り物でごはん作ってくれ……風真……。
    明日は買い出しへ買い物に行く日は週に一度と決めている。自宅から徒歩十五分のスーパーは金曜が特売日で、カードで支払うと5%値引いてくれる。一週間分買いだめした食材を小分けにして冷凍し、作り置きのおかずを作っていれば「主婦みたい」と緑の瞳がいつも笑う。
    食材がほとんど底をつく木曜は俺の腕の見せ所だった。すかすかの冷蔵庫の中にはシチューの残りとサラダに使ったブロッコリーの残り。冷凍庫の中には食パンとピザ用チーズ。戸棚の中には使いかけのマカロニ。
    今日の夕食は決まりだ。残り物を工夫してそれなりの料理に変化させるのは意外と楽しい。まず冷凍の食パンを常温に戻す。その間にシチューをあたため、マカロニを湯がく。マカロニは少し芯がある位でざるに上げ、グラタン皿に盛りつける。その上からブロッコリーを乗せ、常温に戻した食パンを一口サイズに切り、同様に皿に盛りつける。その上からシチューを流し込み、冷凍してあったピザ用チーズを振りかける。それからオーブントースターで約8分焼くだけ。すると、チーズのいい香りに誘われたのか、ふらふらと実がキッチンへやってくる。
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