Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    ゆき(ポイピク)

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 15

    狩人カンタロウ×狼ナギリの話。

    18歳未満の方は閲覧をご遠慮下さい。
    本にする際に修正が入る場合があります。

    #官ナギ

    もふもふパラダイス ナギリは森で一番強くて怖い狼だ。なのに、狩人であるカンタロウの番にされて小屋に閉じ込められてしまった。カンタロウは狼ではなく人間だ。狼だとバレたら、鉄砲で撃たれて殺されると思ったナギリは、辻頭巾と名乗って人間のふりをしていたのに、カンタロウにはあっさり狼だと見破られてしまった。
    けれど、狼だとバレてもカンタロウは銃で撃たなくて、ナギリをお嫁さん、番にしたいのだと求愛してきた。ナギリは森で、一人ぼっちの狼だったから、番が出来るなんて考えた事もなかった。カンタロウは毎日獲物を捕ってくる優秀で強い狩人だ。冬の間も暖かい小屋にナギリを招いてふかふかの巣も用意してくれた。カンタロウと一緒にいると、飢える事もないし、森では食べた事もないような甘いお菓子も沢山くれる。何より、怖がって誰も近寄って来なかったナギリをぎゅっと抱き締めてくれるので、ナギリは慣れない毛づくろいをカンタロウに返してやった。ぺろぺろ舐めてやると、カンタロウはナギリの頭や耳、しっぽを撫でてくれた。力の強い人間だが、撫で加減は中々悪くなかった。お風呂は嫌いだが、ブラッシングとやらは気持ちが良い。こんな強くて献身的な番は森の中の何処を探し回ってもいないだろう。つまり、ナギリは森で一番の番を手に入れたのだ。それはちょっと気分が良くなったので、行動範囲をカンタロウの巣の周りだけに限定されたのを守ってやっている。
    ナギリは人間が年中発情期だと聞いた事があったが、それは本当だった。毎日のように番であるカンタロウから愛され、ナギリのお尻の穴は、周りがふっくらとして、すっかり雌にされてしまった。雌なら孕んで、カンタロウの子供をいっぱい産んでやらなければいけない。丁度、森は発情期の季節になった。番を得てからの初めての発情期だ。今までは他の狼の雌が発情期になると、もう直ぐ冬が来る!とナギリは慌てて獲物を探し回り、冬に備えるのが忙しかったが、今年の冬はカンタロウがいるから安心だ。小屋の中には食べるものが沢山ある。
    「ただいま帰りました」
    「カンタロウ!」
     小屋の中にある食料の備蓄を確認していたナギリは、街からカンタロウが帰って来ると走って飛び付いた。くんくん匂いを嗅いで、他の雌の臭いが付いていないか確認して、自分の体を擦り付ける。こいつは自分の番なのだから、しっかりマーキングしておかないといけない。カンタロウも同じ気持ちなのか、口をくっつけて舌で口の中を舐めてきた。唾液を交換するみたいに長く口付けた後、カンタロウはナギリの頭や背中を撫でてから体を離した。
    「食料を買って来ました!これで暫くは買い出しに行かなくても大丈夫ですよ」
    「そうか!偉いぞカンタロウ!」
     ナギリが獲物を探しに森に行かなくてもいい。カンタロウも街に行かない。
    獣としての本能は、今が交尾して孕むのに絶好のタイミングだと訴えていた。
    森に棲んでいる獣の多くが発情期を迎えているからか、それとも、自分が雌みたいに発情しているせいか、カンタロウも普段より興奮しているようで、目がギラギラ光っていた。
     発情すると、人間の雄からもフェロモンが出るのかもしれない。カンタロウの匂いがいつもより濃い気がして、ナギリはくらくらした。耳の後ろや脇の下に鼻をくっつけ、ナギリはカンタロウの匂いを肺いっぱいに吸い込んだ。以前、お尻に鼻先を突っ込んだら、悲鳴を上げたので、お尻は勘弁してやっている。人間はお尻の匂いを嗅がれるのが嫌いらしい。仕方がないのでお尻を諦め、前に回って、一番濃い匂いがする場所を出せとズボンに手を掛ける。
    「ナギリさん……ベッドに行きましょう」
     カンタロウがナギリを巣に連れて行くのは、交尾がしたいという意味だ。交尾するのに服は邪魔だ。ナギリは外で狼だとバレないように着ているフード付きの服を脱いでしまい、カンタロウも服を脱ぎ捨てた。カンタロウが用意した巣は森の落ち葉や柔らかい土で作った巣よりずっとふかふかで弾力があり、ナギリが寝転んでゴロゴロと転がったりしても壊れたりしない頑丈なものだった。
    ナギリは巣に上で四つん這いになると、お尻の穴が見えるように尻尾を横にずらした。何度も交尾して縦に割れた穴を番の雄であるカンタロウに見せてやるのは、交尾を許してやるという合図だ。カンタロウは交尾の前にナギリの尻にぬるぬるするものを塗りたくる。ひんやり冷たいそれがナギリはあまり好きではないが、唾液だけではカンタロウのでっかいちんちんが奥まで入らないらしいので、仕方ないから我慢してやる。だが、ゴムというやつは大嫌いだ。カンタロウがちんちんにゴムを付けようとしたので、ナギリはそれを払い落とした。
    「駄目ですよナギリさん!ゴムをしないと、お腹痛くなっちゃうであります」
    「嫌だ!そんなものをしたら、子種が腹に入らなくて孕めないだろうが!」
     ナギリが怒ると、カンタロウはびっくりした顔をしたが、直ぐに破顔した。
    「ナギリさんは子供が欲しいのでありますか?」
    「ん、ほしい。カンタロウの子供、いっぱい欲しい」
    「ナギリさんが俺の子供を……嬉しいであります!」
     そういう事ならと、カンタロウはあっさりゴムを手放した。カンタロウの太い指がナギリと交尾する為の穴をしっかり解していく。指を奥に入れられると、尻尾がゆらゆらと揺れてしまう。隠すつもりはないのに、穴が見えないように動く尻尾をカンタロウが片手で押え、根本を撫でる。
    「キャウン♥」
     お尻の奥を指でずっぽずっぽ解されながら尻尾を弄られると、ナギリの背中がぞわぞわした。ちんちんが勃起して亀頭が大きく膨らみ、透明な液が零れる。
    カンタロウの指がお尻の奥にある前立腺を押すと、強い快楽が背中を駆け上る。
    「クゥ、ん♥あ、あぁあっ♥ひゃあ♥あっ♥ふっ、あうっ♥」
    「はあ……ナギリさん、お耳も尻尾もぷるぷる震えて、可愛いであります!」
     ぐりぐり前立腺を指で虐めながら、カンタロウはナギリの耳を甘噛みした。
    尻尾が先端から根本まで優しく上下に何度も撫でられ、ビクビクした尻尾がカンタロウの手から逃げ出して穴を隠そうとする度に、ペチリとお尻を叩かれた。
    軽く叩かれただけなのに、ナギリのお尻はビクッ!と力が入ってしまい、中に入っている指をギュウギュウ締め付けてしまう。中が締まって、指が動かし辛くなったカンタロウが、力を抜いてとちんちんを触ってきたけれど、逆効果だった。カンタロウが触ると何処も彼処も気持ち良くて堪らない。
    「はあ♥あ、クゥン♥キャウ、ウッ♥゛あ♥ぁッ♥あ♥アアアーーンッ♥♥」
     ビシャビシャとちんちんの先から子種を飛び散らせて、イってしまった。
     腰がへこへこ動いてしまう。雌の腹の中に子種を送り込む動きだけど、ナギリはカンタロウの雌なので、子種はだらだらと垂れて巣を汚してしまうだけだ。
    零れたナギリの子種をカンタロウが手に掬って、自分の口に入れる。
    「美味しいでありますね♥」
     本当か?とカンタロウから口移しで飲ませて貰ったが、ナギリには美味しいとは思えなかった。カンタロウは変な奴だ。でも、番が美味いと言うなら、出したものが無駄にならなくていい。ナギリもカンタロウの唾液は甘く感じて好きだ。
    イったばかりの心地良い余韻に浸りながら、暫くカンタロウの口の中を味わっていると、指が抜かれて、指よりも熱くて太いのが押し付けられた。
    「入れても、いいですか?」
     カンタロウの大きく膨れ上がったちんちんがナギリのお尻に押し付けられる。
    四肢に力を入れて、入れ易いようにナギリは腰を高く上げた。カンタロウのちんちんは入れる前から大きくて、奥まで入れるのが大変だ。カンタロウのちんちんが穴にめり込んでくるのに合わせて、ナギリは息を吐き出したり、お尻に力を入れたりして頑張って受け入れる。
    「あっ♥ナギリさん♥あっあっ♥入ってく、はあ♥気持ちいいであります♥」
    「ん♥あ、あう♥う゛う~~♥」
     ナギリの番はちんちんも強い。大きくて長いので、お腹が苦しくなる。ナギリは片手でカンタロウのちんちんが入っているお腹を撫でた。
    「カンタロウ♥子種♥いっぱい出せよ♥」
    「はい♥ナギリさん♥♥」
     ぶわりと、更に大きくなったカンタロウのちんちんにお腹の奥をごちゅんごちゅんと突かれて、ナギリはキャンキャン鳴きながら巣に敷かれているシーツに爪を立て、枕に噛み付いた。カンタロウも興奮して、腰を打ち付けながらナギリの首筋をガブガブ噛んでくる。噛まれて痛いはずなのに、交尾中のナギリはそれすら気持ち良くていっそう高い声で鳴いてしまう。
    「はあ♥はっ♥ナギリさん♥あっ♥でちゃう♥出したい♥あっあっ♥」
    「あっ♥だして♥カンタロウ♥こだね♥いっぱい♥はらに♥だして♥」
     腰を振って、お尻に力を入れて、ナギリはカンタロウのちんちんを奥でぎゅうぎゅう締め付けた。
    「あっ♥きもちいい♥ナギリさん♥あっ♥でる♥あああああ~~♥♥♥」
    「ひぅん♥あつい♥あっ♥かんたろうの♥はらに♥いっぱい♥でたあっ♥あっ♥」
     びゅーびゅー出された子種で熱くなったナギリの腹をカンタロウが撫でる。
    カンタロウの体が背中にのしかかってきて、少し重い。巣の中に横になって寝転がるとカンタロウも転がって後ろから抱き締めてきた。尻尾を足の間から前に出して体を密着させる。
    カンタロウは子種を吐き出した後、二人で体を寄せ合うのが好きだ。普段は耳や尻尾を沢山触ってくるが、今日は腹を何度も撫でる。撫でるだけでは足りなかったのか、ちんちんをずるずる抜いて、体を反転させられると、カンタロウは腹にキスし始めた。ちゅっちゅと啄むようなキスがこそばゆいが、それよりも、穴の間からドロリと出てしまった子種の方が気になってしまった。
    しっかり種付けして貰ったのに、出てきたら勿体ない。指で出てきたのをぐいぐい押し込んでいると、カンタロウの指も中に入ってきた。二本の指で奥まで押し込んでいると、お尻の中からゾクゾクした気持ち良いのが這い上がってきた。はふはふと興奮して熱くなった息を吐き出していると、カンタロウの指が出て行ってしまった。自分の指だけじゃ物足りない。指をお尻から抜いて、もっと太いのを入れて欲しいと強請るようにカンタロウに抱き着いた。足も絡めると、カンタロウがナギリを巣に押し倒した。絡めていた足を外され、体が折りたたまれるように足を頭の方まで押される。上から乗るようにカンタロウのちんちんが押し込まれそうになって、ナギリは慌てて両足を自分で抱えた。
    「おっ♥あああ♥がっあ♥ああ♥♥」
     お尻の穴が上に向いているから、中に入れられた子種は零れないけれど、上からぶちゅんぶちゅんと圧迫されて苦しくて、涙がボロボロ零れ落ちた。
    ナギリは狼なのに、人間のカンタロウの方がずっと野蛮な獣みたいで、容赦なく腰を打ち付けられて、心と体がどんどんカンタロウの雌にされていくのが怖くて堪らないのに、腹の奥ではカンタロウにそうされるのが嬉しいとも感じてしまって、ナギリは混乱しながら喘いだ。
    「あ♥゛あがっ♥おぁあ♥゛あぁあ♥」
    カンタロウの膨れ上がったちんちんが腹の中をかき回して、深々と奥まで押し込まれ、何度も激しく叩き付けられる。息を吸おうと開いた口の中までも舐られ、酸欠になり、頭がぼーっとする。
    「ナギリさん♥かわいい♥なぎり♥おれの♥なぎり♥♥」
    「は、ああ♥゛あ♥゛おぁあ♥゛あぁあ♥」
    奥をどちゅどちゅ突かれる度に、孕む事以外何も考えられなくなっていく。
    カンタロウの子種が欲しい。いっぱい出して、早く孕ませて欲しいとお尻の奥を締めて搾り取るように子種を強請ると、唸るような声を出したカンタロウが腹の中にびゅーびゅー射精して、子種を吐き出した。
    「あっ♥ああ~~♥♥で、でちゃった♥はあっ、はあ~~♥」
     ずるりと萎えたちんちんが抜かれて体を楽な体勢に戻されると、カンタロウがナギリの足や腰を労わるように撫でさする。
    「ナギリさんの中、あったかくて、ぎゅうぎゅうで、すごく気持ち良かったです」
     番に交尾が良かったと褒められるのは悪い気がしなかった。カンタロウもナギリが認めた森一番の番なのだ。お前もいっぱい出して偉かったぞと、ナギリはカンタロウの鼻を軽く噛んでやった。お口の方が良いですと強請るので、口を尖らせてチュッとキスをしてやる。
    「カンタロウが腹にいっぱい出したから、直ぐに産まれるな!」
    「そうですね!でも、もうちょっとしませんか?狼と人間だから、沢山しないと産まれないかもしれないので」
    「……そっか、狼と人間だと、産まれない事もあるのか」
    「大丈夫です!どうしても駄目だったら、森の奥に住む魔女さんの所に相談に行きましょう!きっとなんとかしてくれます!!」
     カンタロウは人間で、ナギリは狼だ。種族が違うし、性別も雄同士だが、魔女に頼めば何とかなるらしい。流石、ナギリの選んだ番だ。
    森に奥に住んでいる魔女は突然訪ねて来たカンタロウに無茶ぶりをされて頭を抱えたらしいが、どうにかこうにかして、カンタロウとナギリの間に子供が出来る魔法を掛けてくれた。直ぐに砂になるが、魔女は凄い奴らしい。

    魔法だけでは産まれないのだと、カンタロウが言うので、ナギリは発情期の季節の間、カンタロウとたっぷり交尾を重ねた。
     その甲斐あってか、発情期の季節が終わって暫くすると、カンタロウとナギリの住む小屋の周りを、小さな狼達が駆け回るようになった。小ぶりな耳や尻尾をふりふりしながらカンタロウに抱っこを迫るナギリに似た小さな狼の姿にカンタロウの口元は緩みっぱなしだった。
    ナギリはカンタロウに似た狼が良かったのだが、どうしてだか産まれた子供は皆、ナギリにそっくりの狼ばかりだった。カンタロウに似た狼が欲しいなら、また魔女の所にお願いに行ってから沢山交尾をしなければならないらしい。魔女の魔法がどんなものか詳しい事は知らないが、初めての子育て真っ最中のナギリは、そんな些細な事を気にしている余裕などなかった。
    小さな狼達は、まだ牙も爪も生えそろっていない弱い生き物だ。森の中にいたら、たちまち捕食されてしまう。時々小屋の外に出て遊ばせてやるが、ナギリは小さな弱い狼達の事が危なっかしくて心配になり、直ぐに他の生き物に見つからないよう、小屋の中に連れ戻してしまう。
    カンタロウはそんなナギリを安心させるように、子育て中の狩りは、自分に全面的に任せて欲しいと請け負ったので、ナギリは外敵が入って来ない安全な小屋の中で、小さな狼達の世話をするようになった。子供達が大きくなると、カンタロウに似た狼の子供が欲しかったナギリとカンタロウは、また子作りに励んで新しい命を授かった。今度はカンタロウに似た狼が沢山産まれたので、ナギリはとても喜んだ。
    新しい命が産まれると、先に産まれて大きくなっていた子供達も子育てを手伝うようになった。カンタロウが住んでいた小さな小屋では狭くなってきたので、カンタロウは小屋を増築した。カンタロウとナギリだけが住んでいた小屋は、子供達の数がどんどん増えてすっかり賑やかになった。

    森で一人ぼっちだった狼のナギリは、カンタロウと沢山の子供達に囲まれて、ずっとカンタロウの小屋に住み着き、二度と一人で森に戻る事はなかった。

                                     【完】




    毛玉物語


     チビは狩人のカンタロウと狼のナギリの間に産まれた一番小さな狼だ。今日は大きくなった兄達が森で狩りをする日だった。でも、チビは小屋で子守と一緒に留守番を言い付けられてしまった。チビはまだ小さいから、狩りには行っちゃいけないんだって。
     チビのおててはふわふわで、ぷにぷにの肉球が堪らないのだと、カンタロウはチビのおててを触る度に幸せそうな顔をする。チビはそれがちょっと嫌だ。チビのおててには、まだ大きく強い狼のナギリみたいに鋭い爪が生えていない。牙と爪が立派にならないと、狩りには行っちゃいけないって兄達は言うんだけど、自分だけ子守に来てくれた絵の上手い眼鏡の奴とお留守番はつまらない。
    だから、チビはこっそり隠れて狩りについて行くことにした。
     チビは小さいから、隠れるのは得意だ。眼鏡が寝ている隙に小屋を抜け出し、誰にも見つからないように、そ~っとそ~っと静かに足音を消して、初めての狩りで浮かれてはしゃいでいる兄達の匂いを追って森の中へ駆け出した。

     兄達が狙うのは、森に大量発生したニホンオッサンアシダチョウという外来種のダチョウらしい。ガイライシュが何かチビには分からなかったけど、狼のナギリ達が沢山狩って食べてしまっても問題がないんだってカンタロウが言っていた。カンタロウも街の人達に退治を頼まれたから、今日は猟銃を持って狩りに参加している。チビはうんと小さい頃、カンタロウが狩りに行く時に胸のポケットに隠れて、カンタロウが狩りをするのを見た事があった。カンタロウには鋭い爪も牙もないけれど、猟銃っていう武器を使って獲物を仕留めていく姿はカッコイイと思った。あの姿が今日は見れるかもしれない。兄達やナギリも、爪や牙を使って狩りをするのだろう。その姿を想像してワクワクしながら、隙があれば自分も狩りに参加してやると、チビはぺろぺろとおててを舐めた。

     ドドドドドドと騒がしい足音が聞こえた。ニホンオッサンアシダチョウは群れで行動する。兄達も集団でダチョウに襲い掛かったが、どの個体も強くて狼なんてちっとも怖がらなかった。゛エーー!!と大声で鳴きながら突進してくるダチョウに兄達が苦戦しているのを、チビは茂みに隠れてハラハラしながら見守っていた。そんなチビの所にも、ダチョウが一匹突っ込んで来た。チビは勇敢にもダチョウに立ち向かったが、パンチやキックが全く効かず、ダチョウに吹っ飛ばされてしまった。ダチョウに歯が立たなかったチビは、大口を開けて迫って来たダチョウが怖くなってしまい、背を向けて逃げ出した。追い掛けて来るダチョウから逃げ回ったチビは、どんどん森の奥に迷い込んでしまった。チビは一人で森の奥まで来たことがなかった。ようやくダチョウを隠れてやり過ごし、ホッと一息ついて辺りを見渡してみたけれど、兄達の姿はどこにも見当たらなかった。目印になりそうなものもなくて、お家の小屋はどっちに行ったら辿り着けるのかも分からなかった。
    「あお~ん、あお~ん……」
     遠吠えの真似をして鳴いてみたけれど、チビはまだ遠吠えも下手っぴだった。兄達の匂いを探して森を彷徨ってみたけれど、同じところをぐるぐる回っているみたいだった。
    チビは、森で迷子になってしまった。チビが迷子になってから随分時間が経ってしまい、森はどんどん暗くなってきた。チビが怖くなって震えていると、森のもっと奥から美味しそうな匂いが漂って来た。お腹が空いていたチビは匂いに誘われるように森の奥へ奥へと進んで行った。暫く行くと、森の奥にはお菓子の家が建っていた。チビは大喜びでお菓子の家に走り出した。

     大混戦となった若い狼達とダチョウの戦いは、ダチョウ駆除の依頼を受けたマタギの女性と退治人達の加勢によって鎮圧された。全てを自分達だけで仕留める事は出来なかったが、初めての狩りの獲物を持って小屋に戻った狼達は、末っ子のチビが居なくなっている事に気が付いた。
     大慌てで森に探しに行こうとするナギリをなんとか説得し、カンタロウは森に戻ってチビを探し回った。これまでも他の子が似たような事をして迷子になった事があった。恐らく、狩りについてきていたのだろうと、ダチョウの群れと遭遇した辺に戻り、一番小さな足跡を探して、カンタロウは暗い森の中をライトを片手に進んで行った。
    「おや……こちらの方向は……」
     小さな足跡の先には、森の奥に住む魔女の家があった。魔女の家には灯りがともっており、カンタロウがノックすると中から扉が開けられた。
    「いらっしゃい。待っていたよ」
     魔女はカンタロウを家の中に招くと、ソファーの上を指さした。丸々とした魔女の使い魔であるアルマジロのふかふかのお腹に抱き着いて、すぴ~すぴ~と寝息を立てながら眠っているチビの姿を目にして、カンタロウは安堵した。
    「お腹いっぱいになったら、寝ちゃったんだ」
    「ご迷惑をお掛けしました。申し訳ありません。明日、お詫びにダチョウの肉を沢山持ってくるであります!」
    「いや、うちのも沢山貰って帰って来そうだし、冷凍庫がダチョウの肉だらけになりそうだから遠慮するよ」
     それなら、お詫びの品はカステラにしようか、帰ってからナギリと相談しようと決めて、カンタロウは眠っているチビを起こさないように、そ~っとアルマジロの上から抱き上げた。

    「さあ、帰りましょう」

     その日、チビは赤い頭巾を被った可愛いアルマジロと仲良くなって、二匹で森を駆け回る幸せな夢を見たのだった。

    【完】




    【本には書かない蛇足】

    ・狼ナギリは性知識があまりありません。
    ・狼ナギリは自分が子供を授かって産んだと思い込んでおりますが、産んでいません。
    狼ナギリは雄です。カンタロウも産んでません。

    狼ナギリは乳も出ません。
    出ないのにちゅうちゅう吸われた事はあります。これについては後付けです。素敵なイラストを見たんです。狼ナギリは乳首を毛玉に吸われました。出ないけど。陥没乳首は狩人カンタロウが育てたので吸いやすくなってました。どんだけ吸いまくったんだ。

    おっぱい出ない方もいますからってカンタロウが粉ミルク買ってきてそれをあげました。

    ・狩人カンタロウがお腹をさすったりしながらピロートークで授かったように話をして、寝ている間に産まれましたよとか言って勘違いを色々誘発させています。腹が黒い。

    ・子供はカンタロウが魔女さんにお願いして、オータム的な所で何とかして貰いました
    ・狼の要素はナギリに似た子供にしか出ません。
    ・実際は二人の子供ではなく、クローンです
    ・狩人カンタロウと狼ナギリの間に本当に子供が産まれたら、兄弟じゃ無理だけど、クローンなので大きくなったら狩人カンタロウ×狼ナギリのペアが増えます。
    ・クローンの寿命は短いので、狩人カンタロウと狼ナギリが無限増殖して森から溢れたりはしません。年頃になると番になり小屋から出て暫く二人っきりで蜜月を過ごしてひっそりと居なくなります。まれに長生きして森の魔女に子を求めに来るペアもいます。

    ・何故そんな事を?→狩人カンタロウが狼ナギリさんを小屋から出したくなかったからです。弱い子供を守る為、安全な小屋に狼のナギリさんは自分からこもるようになりました。
    森には一人でなければ行く事もありましたが、子供が多い時期に小屋が増築され、快適になり、だんだん小屋の中にいる時間が増えます。

    ・何故雌にするなり、男性妊娠にしなかったのか?→官ナギの子が別の誰かと番になるのを避けたかった。クローンにするのを最初に決めていた。

    ・授乳について。授乳は出産経験して、一時期それらのネタが辛くて見るの無理となっていて、今回は無しでいくと決めていたから。しんどいんだ。長期間の睡眠不足は気が狂う。

    人様のを見る分には何の問題もないし、女体化やオメガバースでなら書くのもありだと思ってる。

    ・クローン云々やここに書いた蛇足は書くつもりはなかった。自分の中で遊んでるつもりが、毛玉物語ネタが書きやすくて沢山出してしまい、色々本文に説明ないと変な事なるかもと書き足しました。

    以上

    取り敢えず、楽しんで読んで頂けたなら嬉しいです。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏👏💖💖☺🌠💒🙏💞💞🐺💖💖💖💖💖🐺💘🙏👏👏👏😍☺☺☺🐺❤❤❤❤❤❤❤💖💖💖💖💖🐺💖💖💖💖💖💖💒💖💖💴😭💴💴💴💴💴💴💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    ゆき(ポイピク)

    DONE宇宙警察カンタロウ×元殺し屋忍者ツジタと地雷ロボ・マルの話。
    殺し屋忍者陵辱が混じりますが、うちは物凄くぬるめなので激しめがお好きな方は各自脳内でハードプレイに変換して下さい。可能な限りカンタロウのtntn以外入れたくなかったんです。人工知能含めフィクションです。

    ところでバイオカジキ丼とかある世界の料理ってどんなのでしょうね?バイオブロッコリー丼?流石にカンタロウ泣きそう。
    宇宙警察カンタロウ×元殺し屋忍者ツジタと地雷ロボ・マルの話 地雷として爆破する運命から逃れた地雷ロボ・マルは第二の人生を食道楽に費やす事に決めた。
     食欲旺盛なマルに付き添いながら、殺し屋忍者もまた殺しを生業とする忍者集団から抜けてただの忍びのツジタ(偽名)となり、マルの胃袋を満たす新たな食を求めて宇宙を渡り歩いていた。
     全宇宙に指名手配されている殺し屋忍者を捕まえる為にあちこち彷徨っていた宇宙警察のカンタロウは、宇宙嵐に遭いマルと離れ離れになってしまったツジタと出会い、彼が自分の探していた殺し屋忍者とは気付かないまま、宇宙嵐によって飛ばされてしまったマルを探すのを手伝った。
     途中、宇宙ジャングルに生息する触手型生物にツジタが襲われ、彼のぴっちりとしたスーツが溶かされあられもないお姿を目にしてしまった事もあり、カンタロウはツジタを意識してしまうようになった。
    5195

    ゆき(ポイピク)

    MOURNING没供養。新しい生活に馴染むのに必死で、1人での生活、生きてるだけで精一杯で他人との恋愛についてまだ考えられるような余裕がなかった時の辻田さんにアプローチしまくってフラれたカンタロウが、娯楽を楽しめる程度に生活に余裕が出来たり、他者との人間関係に意識が向くようになるまで待ってリベンジするような話が書きたかったが途中で失速した没です。
    付き合うにはまだ早かった ケイ・カンタロウは辻田にフラれた。

     正確には彼が辻斬りナギリだと判明した後、それでも辻田さんが好きです!と告白した後に、VRCを出た後は本官ちで一緒に暮らしましょう!と言ったのだが、嫌だ無理だと断られたのである。
     長い観察期間に問題を起こす事もなく、これ以上の過度な付き纏いはストーカー扱いになるぞと上司や同僚達に叱咤され、カンタロウは泣く泣く辻田への過度な接触を控えるようになった。
     同じ新横浜の街に暮らしている身であり、退治人見習いになって仕事をするようになった辻田と吸血鬼対策課のカンタロウはお互いの仕事現場が被る為、仕事中に街中で出会す事は多かったが、プライベートでは全く会えずにいた。
     顔見知り以上、友人以下。辻斬り被害者と加害者である部分を取っ払ってしまえば、カンタロウとナギリには同じ街で暮らしているだとか、吸対と退治人見習いとしての仕事上の関わりしかなく、カンタロウからは兎も角、ナギリからカンタロウに仕事のない日まで会わないかと誘われるような事もなく、このまま一時のお付き合い(辻斬り捜査)で終わってしまうのかと、カンタロウは未練たらしく辻田への想いを捨てられずにいた。
    1616

    ゆき(ポイピク)

    MEMO
    蕎麦屋官ナギ(そばにいたいといってくれ)60歳近くになって官。父が定年退職したら蕎麦屋をやりたいと言っていたのを最近になって自分もその気持ちが分かるようになったであります!なので退職したら高尾山の麓で蕎麦を打とうと思うので、その時が来たら…と言われて一緒に蕎麦屋をやりませんかと言われると思っていたナは見た目が出会った時と変わらぬ若々しい姿のままだった。現場から退いた官とは違い、まだまだシンヨコでもベテランの退治人として現役で活躍していた。ずっと憧れていた退治人になり、シンヨコのヒーローになれたナさん。そんなナさんを本官の我儘で引退させるなんて駄目でありますねと、食べに来て下さいと言う官にナはえっ?と困惑した。てっきり着いて来て欲しいと言われると思っていたのが突き放されたように感じたが、それは日に日に増していった。二人で暮らしていた家から徐々に物が減って行き、とうとう官は一人で蕎麦屋を初めてしまった。将来を約束していた訳ではなかった。ただずっと一緒にいるのだと思っていたナは仕事に身が入らず、官が開いた蕎麦屋をこっそり覗きに行った。あんな奴が一人で店なんか出来るはずがない。四苦八苦していたらほらな、俺が居ないと駄目だろうと手を貸してやろうと思っていたのに、官の店には既にパートのおばちゃんがいて店は十分回っていた。お前!お前!!俺以外の奴を店で雇ったのか!とブチギレるナ。感情がぐちゃぐちゃになり店をぶち壊してやりたくなったが次第に捨てたれたんだと思って蕎麦は食わずにシンヨコに逃げ帰った。暫く元気がなくなり休業状態になったナを心配して会いに来た丸とドに吐き出しながら、ずっと同じ姿だから駄目なのか?同じように老けないと一緒に居られないのか?と言うナ。ちょっと違う気もするけど試してみたら?と見た目を変える方法を聞いて官と同年齢ぐらいの爺さんに変身するナ。この姿で会いに行こうかと思うものの、自分以外の女を連れ込んだ官に感じた怒りが忘れられず、やはりあの店は潰す!と官の蕎麦屋の隣に自分も蕎麦屋を開店させて官が作るより美味い蕎麦を作って潰してやる!店も一人で切り盛りしてやる!!と奮闘すると、何と!お隣のお蕎麦屋さん大繁盛であります!本官も頑張らねば!!とより一層奮起してしまいライバル蕎麦屋としてバトル事になってしまう官ナギ?官ナギになってねぇわ!
    1738

    related works